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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』【俺ラブ】  作者: ミタラリアット


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四話『少女』


 「任務ってなんだ!!!!」俺は女の子を怒鳴る。女の子は「偉く感情的じゃないか、遊園地ではクールぶっていたのか?」と俺をバカにする。


 「なぜ今日遊園地にいたことを知っている」俺が問いかけると、女の子は「当然だ。私はお前の全てを知っている」と俺の頭から靴まで視線を動かした。


 なんだ。この女の子は何が言いたいんだ。女の子を映す俺の瞳は静かに震える。だが、サユリを傷つけた事は女の子であれ許せない。


 「今ここでサユリを傷つけたこと、俺に謝れ」俺は女の子に言うが、女の子は「いい優しさを持っているんだな。」と俺を試すように言って、動じない。


 「でも、彼女は地獄に行くべき人間だった」と女の子は淡々と言う。意味不明だ。理解が出来ない。この女の子は一体何者なんだ。


 「なぜサユリが地獄に行かなければならないんだ」俺は拳を震わせながら女の子を睨む。


 女の子は、「彼女には罪がある」と説明するが、俺は「サユリは悪い事なんかしない」と否定する。


 「それはお前が作り上げた虚構だろ」女の子は語り出す。


 「じゃあサユリが何をしたって言うんだ!!!」俺は女の子に怒鳴りつけるが、女の子は「規則で言えない。その真相に辿り着くのはお前だ。」と俺を指さした。


 「死ぬべき人間を地獄へ送る邪魔をした罰、お前に償ってもらう」と言った後、女の子は二回手拍子を鳴らした。


 同時に、俺は少しクラッとする感覚に襲われ頭を抱える。


 「私の名前はホノカ。よく覚えておくといい。」そう名乗るとホノカは消えた。


 「?」俺は一連の流れの意味がわからず、夢かと思ってその場に暫く固まる。


 その後、サユリを迎えに戻る。女の子座りのまま泣き出すサユリ。


 「コンビニに行くなんて真っ赤な嘘じゃないか。」俺がサユリに片手を差し出しては、サユリは「カレンちゃんに嫉妬しちゃったの…ごめんなさい…あなたにとってカレンちゃんはただの家族でしかないのにね」と少し寂しそうな顔で言った。


 俺は、「なんだ。そんなことか。」と笑う。


 「そんなことって…」サユリは本気だったんだよ、と続ける。


 「そんなに俺が好きなんだな」サユリを揶揄うと、「わたし…わたしは、カガミが好き。カガミはどうなの???」とこちらを心配するように見た。


 俺は、「好きだよ。この地球上の誰よりも。」とどこで学んだかも分からない臭いセリフを吐いて、サユリを安心させる。


 「あの女の子…私には罪があるから死ぬべきって言ってた…」サユリは両手で頭を抱える。


 「あの子の事は忘れよう。きっと重度の厨二病か…本当にヤバい人だから。」俺はサユリの背中を摩った。


 サユリは、「うん。」と頷き弱々しく立ち上がる。俺はサユリを支えながら守る。


 サユリを家に連れて帰っては、「遅くなってごめん」と母さんに言った。


 母さんは、「サユリちゃん大丈夫だった?」とサユリ見て「ご飯食べたらすぐお風呂入りなさい!」と風呂を沸かしに行く。


 サユリは食事に手をつける。ゆっくり食事を食べ進め、皿をシンクに置いた。そしてサユリは風呂に入る。


 俺は風呂を待っている間、ベッドの上に転がった。


 天井から現れるホノカ。


 「ほわぁ!!?」俺は思わず情けない声を出す。やはりあれは現実か─────!


 「なぁカガミ。運命って面白いな。」相変わらず厨二病に走っているような事を言う長い緑髪。


 十七歳ぐらいの見た目で、ルックスは可愛らしいが、ここまで頭のネジが飛んでいるとこいつを女として認識することすらできない。


 「さっきから何を言っている。それにその変な登場の仕方はなんだ。ファンタジーじゃないんだぞ。俺の妄想か?ついに俺が頭おかしくなったのか!?あと勝手に俺の家に入るな!」


 ホノカを見てパニックに陥る俺。ホノカはそんな俺を見て愉快そうに笑う。


 「私はお前の運命を書き換えた。」


 俺はその言葉に、「はぃ?」と首を傾げる。


 「一日観察させて貰ったが、お前はどうやら正義感が高くて心優しいが夢みがちで無知な人間。ということが分かった。あとシスコンだ。普通彼女とデート中に妹の話するか?」ホノカは俺に覆いかぶさりながら言う。


 「えっと…。」未だに状況が飲み込めない俺。なんだなんだ。一体なにがはじまろうとしている。


 ベッドから立ち上がり、ホノカはニュースをつけた。


 『日本では現在、犯罪率が低下の一途を辿っています。このような背景には一体────』


 ホノカは映像を俺に見せる。


 俺はその映像を眺めた。


 「犯罪が無いなんていい事じゃないか。誰もが平和に生きていくに越したことなんてないさ」とテレビを消す。


 ホノカは、首を横に振る。


 「私はこの状況に飢えている。犯罪が減ると地獄の仕事も減る。仕事が減るとどうなる?幹部との奪い合いになる。ただでさえ人口が減って地獄に送る人間もいなくなっていると言うのに」


 ホノカの説明に、「地獄だの幹部だの知らないよ、俺はただサユリと」言いかけると、ホノカは「イチャイチャしたいだけか?」と口角を上げた。


 「再度問う。サユリは愛するに値する人間か???」ホノカは俺で遊ぶように問いかけてくる。


 なんだその質問は。


 「当然だ」俺はサユリへの愛を付き合ってから一度も疑ったことが無い。


 ホノカは続ける。


 「人間って奴は愚かだな。自分の知っている情報だけで物事を判断する。やはりお前には無知って言葉がお似合いだ。」


 いきなり現れてはグサグサ毒舌を吐くホノカに、「お前はサユリの何を知っている」と俺の機嫌は悪くなる。


 ホノカは「全てだ。」と不気味に笑いながら返した。


 「カガミ~。サユリちゃんお風呂出たわよ~」階段を上ってくる母さんの声。


 「!???」俺はホノカの方を見るが、ホノカは消えていた。


 「はぁい…」ニュースの映像を消し、風呂のほうへ歩いていく。


 風呂を済ませては、服を着て自分の部屋へ戻る。


 俺のベッドで寝転ぶホノカ。


 「おい、サユリが来るんだぞ」と俺が言うと、ホノカは「寝床ぐらい貸してくれたっていいだろ」と不満気な態度を取る。


「廊下で立って寝ろ。…それと教えてくれ。俺はさっぱり分からない。お前は何者だ」俺が問うと、ホノカは「死神だ」と答えた。


 「死神????」俺は立ち止まる。


 「ははっ…嘘言うなよ」と乾いた笑みが零れるが、「本当だよ。カガミ。私は地獄から来た」とホノカは真剣な表情で説明した。


 「ははッ…死神…ってことは…俺は…死ぬのか???死期が近いのか…?嫌だ…まだ死にたくない!サユリと結婚して幸せになって二人の子供を産んで都内にマンションを買って…」と願望を語る俺。


 ホノカは、「お前は死なない。お前はな。」と強調した。


 「………」ホノカの発言の意図が読めないまま、サユリが「カガミ~。」と俺の部屋へやってくる。


 同時に、ホノカはまた姿を消した。


 「今まで通りカレンの部屋で寝てくれよ。なんで急に俺の部屋で…」こっちも不可解な行動を取ってくる。


 サユリは「ううん、今日はカガミと寝たいの」と既にベッドを陣取ってしまった。


 待て待て待て。情報量が多すぎて俺はもうパニックだ。あの…これ…なに?死神がくれたチャンス…?それとも俺は本当に妄想の世界にいる感じ?


 ま、まぁともかく、本日弐式火神、童帝を卒業…。


 不純な事を考える俺の横には、「スゥ…スゥ…スゥ…」秒で寝息を立てるサユリの可愛らしい表情があった。


 …この子が罪なんて持ってるわけない。


 俺はそう確信すると、サユリを抱きしめて眠りについた。


 その様子を見ていたホノカは、「これぐらいは許してやるか」と和やかな顔で呟いた。

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