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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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二十九話『二人』


 俺は完璧じゃない。そんなこと、わかりきっていた。でも、完璧でありたいと願い、完璧であろうともがき続けた。いつも乗っている電車なのに、走る速度がなんだかいつもより早く感じるのは、俺の焦りのリズムと一致するせいか。でも俺は止まれない。ここで止まれば俺はサユリを失うことになる。それだけは嫌だ。たとえ世界が敵になろうと、誰かに後ろ指を指されようと、直接誰かに"犯罪者"だと罵られようと、俺の辞書に"立ち止まる"なんて文字は無い。『如月学園前~如月学園前~~~』電車のアナウンスと共に降車する。俺は…サユリが死なないために、一生誰かを殺し続けなきゃいけないのかな。俺の人生は誰が保証してくれるんだ。サユリも俺が裏でこんなに苦労しているなんて知らないんだ。


「カガミ。今日は誰を殺す」俺の周囲をグルグルと浮遊しながら催促してくるホノカ。邪魔だ。思考が回らなくなる。「なあ」俺の顔の正面までホノカが来ては、「辞めろ」と静かに呟く。「なんだ。こんなに可愛い美少女が近くまで来たのに話の一つ聞いてくれないのか」つまらなさそうに言うホノカに、「サユリ以外は美少女だと認めない」と俺はその話題に興味が無いと言わんばかりに答える。「そんなにお前はサユリが大事か」「嗚呼」間髪入れずにサユリが大事だと言い切っては、ホノカは「妬けるな」と黙って先を歩く俺を後ろから見つめる。


 夜の街を進む。連続殺人事件の影響か、夜中に出歩いている人間はいない。「ッチ…」ここまで防犯対策をされると苛立つ。いっそ鍵が開いてる家を探して入るか???…いや、軽率な行動は避けるべきか。…だが防犯カメラさえ無い家なら下手に街で人を殺すより効率的、その上空き巣と勘違いさせる事も可能だ。…該当する家を探そう。 ちらちらと遠くから家を探す。「なにをしている。挙動不審だな」俺の行動の違和感を察知したホノカに不審がられる。「いや、家を探してるだけだ」「家???」興味を持つホノカ。「街を出歩いている人間を襲うだけだと限界がある…昼間や夕方に行けたらいいんだがその時間帯は母さんがいてなかなか行動を起こしづらい……」俺が悩んでいると、防犯カメラが無い家を見つける。


「都合よく鍵が空いていればいいけどな」家の柵を飛び越えて敷地に入ると、「不法侵入。罪を重ねたな」とホノカは笑う。「そんなこと言ってる場合か」と言いながら先に進んでは、やはり鍵がかかっている。車はある。中に人はいるだろうか。ギリギリ中が見えそうな窓から覗き込む。そこには寝ている老夫婦が。いける。「ホノカ、お前の力で窓を割れないか」ホノカに小声で問いかけると、ホノカは「できる、だが人を小道具のように使うのは──」と言いかけた。ホノカの声を遮るように続く「じゃあ任せる」俺の言葉の後、ホノカは窓ガラスの前でパンパン、と二回手を叩いた。パリン!と一気に割れる窓ガラス。「すごい…」だが呟いている場合では無い。俺は窓からその老夫婦の寝室に乗り込む。


「な、なんだお前はぁ!!!!!」目覚めた男性が声を裏返しながら起き上がり逃げようと叫ぶが、俺はその男性の腹を勢いよく刃物で突き刺す。男性は「みよ…みよこ…」と女性の方に手を伸ばしながら壁に凭れズルズルと姿勢を崩しながら横に倒れる。みよこ、と呼ばれた女性も、なるべく楽に男性の元へ行けるように頭の横からナイフを突き刺して一撃で仕留める。ここまで綺麗に死なれると俺の罪悪感も薄れるどころか、少しばかり達成感さえ覚えてしまう。「カガミ」ホノカの声に振り返る。「返り血がついてるぞ」ホノカの言葉で、ようやく状況に気づく。「いやぁ、困っちゃうな」笑いながらホノカに言った後、上裸になり洗面台を借りてTシャツを洗う。


「いいのか。家族がいるかもしれないぞ」ホノカの注意に、「大丈夫」と答える。「さっき遠目に玄関を見たけど、靴は二足しか無かった。家族が帰ってくる可能性はあっても、今すぐ帰ってくる確率は低いだろうし、そもそも家族が住んでる形跡はあまりないから。洗面台の歯ブラシとコップも二個ずつしかないし」と説明する。ホノカは「あの一瞬でそこまで見ていたのか」と感心する。「すごいでしょ???」Tシャツをドライヤーで乾かしながらホノカを見る。「その評価の求め方、子供みたいだな」ホノカは俺に視線を返しながら笑う。「辞めてよ子供なんて」遺体を横に、そんな話を繰り広げていればTシャツも乾いてくる。その上、終電も間近だ。「そろそろ帰らないと」まだ少し湿っているTシャツを着ては、ホノカが「それ、どうするんだ」と遺体を見ながら言う。「そうだな…」俺は少し悩んだ後、老夫婦の身体を重ねた上で優しく布団をかける。「仲良く二人で安らかな夢を見ていてね」老夫婦の遺体に声をかけたあと、窓から出る。帰り道、「ねえ、ホノカって能力でどこまで出来るの」と問いかける。ホノカは、「さあな。頼まれた事はやる。頼まれなかった事はやらない」と答えた。「ホノカの能力の詳細知りたいんだけどな…」とうずうずする俺を見て、ふっと笑うホノカ。「頼まれた事はやる。この意味わかるか?」ホノカの問いに、「え???」と首を傾げる。「意味深なのやめろ」俺が言うとホノカは、「お前みたいな主人公気取りの"厨二病"に教える義務はない~」と煽りながら先を浮遊していく。「おまっ、それ俺がお前に言った…!」浮遊するホノカを追いかけながら言っては、ホノカは「自分が言った言葉は自分に返ってくるぞ~~~!」と女子高生ギャルのような声色で俺を揶揄いながら駅の方向へ飛んで行った。ホノカを追いかけ駅まで辿り着いては、「はぁ、はぁ, はぁ,」と息を切らす。壁に手をついて蹲っては、「体力無さすぎるだろ」とホノカに突っ込まれる。「…俺にも浮遊能力くれ…半死神ってなんで来んな中途半端なんだ」ベンチに座りながら愚痴っては、「死神になれば出来るぞ???」とニヤニヤこちらを見ながら「羨ましいだろ~」と自慢してくるホノカ。「いっそ死神になれたらいいんだけどなぁ…」そんな事を話しているうちに電車が駅に到着する。そろそろ自宅に帰らなければ。


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