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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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二十八話『接続』


 時計台の見学が終わった俺たちは、ホテルへと足を進める。「本当に良かったな~!カガミ、サユリ!」ヒロムが終始ニヤニヤしながら俺とサユリを見るが、正直辞めて欲しい。「カップル成立~~~ヒュー!ヒュー!」だが、このノリが男子中学生の普通のノリなんだろう。俺が乗れてないだけか。別にヒロムみたいになりたいとも思わないけど。「ヒロム、ちゃんと時計台の中見た?ずっと私たち見てたじゃない、」サユリの指摘に、ヒロムは「だってぇ、羨ましいんだも~ん。ミサァ、俺たちもどう~~?」と、ミサを抱き寄せちょっかいをかける。「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」ミサがヒロムの顔面をカバンで叩くと、カバンの中身がバラバラと地面に零れる。「あーあ」そんな二人を見て、俺とサユリは呆然。ミサは「もー信じらんない!!!」と言いながら、化粧品やら財布やらを拾い集める。「カガミ、サユリ、行きましょ」ミサが先頭に立ちホテル方向に向かって歩いていく。「反省しろよ」ヒロムに一言放った後、俺もミサに続いて歩く。「ヒロム、ファイト!!!」サユリも笑顔でヒロムを励ました後、俺の隣に駆け寄る。ヒロムは、「この旅行誘ったの俺なんだけど…」と泣きそうな顔になりながらも、「待ってよ!!!」と俺たちを追いかける。


 確かにそこに、日常があった。一等星のように輝きに満ちた日常が。サユリがいて。ヒロムがいて。ミサがいて。当たり前の日常が確かにあった。俺もヒロムと同じだ。みんなが幸せそうな顔をしているなら、俺も幸せなんだ。そうだ。そうに違いない。過去の思い出、感情がダダ漏れになったところで、空間が割れるように崩壊する。「起きろ」頭上に浮遊するホノカがいた。「…あれ…」記憶が曖昧な俺は頭を抱える。「八十億の人間の中でも輝きを放つ一人になるんじゃないのか。なぜ寝落ちしている」ホノカの言葉に、俺は思考停止する。「…旅行」俺が呟くと、ホノカは、「は?」と首を傾げる。俺はまだ中学生で…さっきまで旅行…えっと…。ホノカは戸惑う俺にグイッと顔を近づける。「…ぇ???…」急にワープでもしたのだろうか。「視線が左寄り。声のトーンは高め。つまり何かを思い出そうとしているのか」


 ホノカの言葉の後、俺は全てが一斉にフラッシュバックする。「ッ!!!!??????」忘れかけてた罪悪感、人を殺した瞬間の映像、警察に見つかるかもしれない恐怖が、何度も何度も脳裏を駆け巡る。記憶と文字が漂う空間に放り出されたかのように、俺は空中で浮遊する感覚を得る。「解離か」ホノカは呟くと、俺の頭を力強く抑えた。そして俺の顔を無理矢理上げる。「斬」その言葉の後、「うぐッ…!!!!」俺の全身に電流が走ったような感覚を覚える。「…」俺は頭をがっくり下げる。数秒後、フラフラしながら起き上がる俺。「…ホノカ、俺に何を…何をした…」先程の刺激で残った苦痛に悶え、息を吐きながらホノカに問いかける。「おまじないさ、精神が安らぐ地獄のおまじない。特別な主人公になるんだろ???なら立派なアシストになるさ。」ホノカが口角を上げながら俺を見下ろす。「…」俺は黙ってただホノカを見つめる。「今日は殺しに行かなくていいのか?カガミ。」


 ホノカに言われるがまま、俺はナイフを握り言葉を発すること無くホノカを連れて歩く。なんだか幸せから一気に目が覚めたみたいだ。それもそのはずか。幸せなんて一瞬の勘違いで人間の防衛反応に過ぎない。この世の大半の出来事が腐っていて人間はその現実から目を逸らしたいだけだ。実に愚かだ。…死ねばいいのに。どいつもこいつも世界の汚さに気づかない馬鹿ばかり。金と欲にまみれた偉い人間ばかりが得をして俺みたいな普通の人間は…。俺だけが…ぁ…俺とサユリだけが得する世界を創りたい。ただそれだけなのに、なぜこうもうまくいかないんだ…。駅に向かおうとした時、肩を何者かに触れられる。「!?」ビクッと肩を震わせながら、俺は振り返る。「すみません、道をお伺いしたいのですが、如月駅ってどちらの方向に」こんな住宅街で、こんな夜に駅への道のりなんて聞かれるはずがない…!!!ホノカはニヤニヤしながらこちらを見る。「ごめんなさい、急いでるので…」若いスーツの男性に、苦笑しながら言うと、男性は、「すみません…」と謝りながらも、口角を上げた。俺はその表情の変化を見逃さない。「…」一体なんなんだ、あいつは。


 少し進んだ先で、ホノカは俺の肩からペッと何かを取る。「発信機」ホノカは発信機を手に取り観察する。「寄越せ」俺はホノカからその発信機を奪い取り、踏みつける。「壊すのか」ホノカは「もったいない」と言葉を付け足す。「逆に利用できるだろ」と言うホノカを無視して、「さっさと行くぞ」と先を歩く。「あいつがポリ公だったらどうする」ホノカの問いに、「父さんを欺けたんだ、警察が俺が犯人だとこんなすぐに辿り着くはずが」俺が焦っているのを見透かしたホノカは、「防犯カメラの映像、女性の証言。それに最初の殺人を家の近くにしたのは失敗だったな。どうするカガミ??日本の警察が甘くないのはお前が一番知ってるだろ。」と俺を煽ってくる。嗚呼、やってやるさ。誰を敵に回そうと、サユリが死ぬ可能性が僅かでもあるのなら。いくらでも手を汚してやる。俺の殺人を無意味になんてしない。「どうする?ここで捕まる可能性があるぞ。それでも殺すか???それとも逃げるか?カガミ。選べ。」ホノカの振りに、俺は真剣な表情で答える。「殺すよ。俺は誰に止められようと殺し続ける。俺は運命に選ばれた人間なんだ。せっかくのチャンス、無駄にはしない」俺の選択にホノカは、「なら進め。覚悟を決めたお前は強い」と満足そうに笑った。


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