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『俺にラブコメはまだ早かった!!~運命に振り回された俺の青春を返してくれ~』  作者: ミタラリアット


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二十六話『イルカ』


 一通り魚たちも見終わった後、「イルカショーそろそろはじまるって」とサユリが俺の手を引っ張る。俺は「あっ、ぁぁ…」とサユリにされるがままイルカショーの会場へ連れてかれた。列は最前列。「こんな前だと水しぶき来ないか??」と俺が問うと、サユリは「それがイルカショーの醍醐味じゃない!!!」と俺にツッコミを入れる。「イルカショーなんて濡れてこそよ!!!」と言うサユリに、俺は「子供みたいだな」とケッと笑いながら返した。「カガミが中学生っぽくないのよ」と呆れながら言うサユリに、「へいへい、悪かったな」と冷たい態度を取る。


 『こんにちは~~!!!わくわくイルカショ~!!みなさん今からイルカのサユリちゃんをみんなで呼びましょう~!!!』ボサノヴァのリズムで軽快な音楽が会場のスピーカーから流れると共に、ヘッドホンマイクを装着した飼育員の女性が現れる。「サユリちゃんだって!!!!」とイルカと同じ名前である事に喜ぶサユリ。その笑顔を横目に見て満足する。『せーの、サユリちゃぁ~ん!』会場中がイルカの名前を呼ぶと同時に、舞台袖からイルカのサユリちゃんが現れる。ヒレをパタパタと手を振るようにこちらに向けて。「可愛い~♡♡♡」とイルカにメロメロになるサユリ。イルカのサユリちゃんが芸を披露する度に、会場では「お~~!」と歓声が上がる。このショーはたいして何も起こらない、刺激もない、どこの水族館でも見られるような在り来りなもの。淡々とイルカが芸を披露しているだけで、なぜこんなに人々は歓声を上げるのだろうか。まあ、俺は楽しそうなサユリが見られただけで充分に報酬を得た。あれ?俺ってサユリが関わらない世界に退屈してないか。


 開始から役三十分。イルカショーを満喫したサユリは、「イルカのカフェ行きたい!!お昼そこにしようよ!」と水族館の館内を駆け出していく。「あまり走るなよ」と俺が注意すると、サユリは「なんで?」と首を傾げる。「子供にぶつかったりしたら危ないだろ」と俺はそういうと、サユリに片手を差し出す。「ほら」俺がそっぽ向きながら手を繋ぐ事を催促すると、サユリは「ありがと」と俺の手を取る。


 「ねえ、カガミ」サユリは少し恥じらいながら俺の名を呼ぶ。「なに」と俺がその声に反応すると、サユリは「私たちも…カップルに見えてるかな???」唐突に恥ずかしい事を言い出すサユリに、「さあな」と思春期特有のかっこつけたい衝動から言及を避ける俺。「意地悪」と頬を膨らませるサユリに、「そんな顔するなよ」と優しい声色で言う。「いいもん。カガミが本音言うまで待ち続けてあげるんだから」サユリは俺の手を解くと、スタスタ歩き出す。「はぁ、女ってのはわからないな…」聞こえない程度に吐き捨てた後、俺もサユリの後についていく。


 イルカカフェの中に入ると、それなりに混雑していた。カフェ、というよりはなんだかフードコートみたいだ。「カガミはどうする?」サユリがメニューを見せてくる。「じゃあ、サユリと同じやつで…」と俺が言うと、サユリは「カガミはいつもそればっか!」と頭を悩ませる。「私イルカのカレーにするけどそれで問題無いね?」俺に問いかけるサユリ。俺は、「嗚呼」と答え、料理が運ばれて来るのを待つ。


 待っている間、サユリがスマホの画面を見せてくる。「ん?」俺がその画面を見ると、「カガミが好きって言ってたから待ち受けにしちゃったの。なんだかカガミがずっと一緒にいてくれてるみたいでさ」サユリの言葉通り、戦隊ヒーロー、スーパーレッドの写真が表示されていた。「俺なんてレッドに比べちゃまだまだ…」と苦笑する俺だが、サユリは「でも共通点はたくさんあるじゃない。正義感高いし、みんなからモテるし、頭良いし!」とレッドの良いところを的確に語り出す。そこで俺は勘づく。「まさかお前…見てるのか?」俺がサユリに問うと、サユリは「なっ、違うわよ、たまたまよ!たまたま!!!」と慌てる。たまたま見ている割には、やけに詳しいような気もするが。「でも…私にだって…カガミが好きなもの知る権利はあるでしょ?」とこちらを見つめる。サユリにそれを言われてしまうと、俺は一切の反論が出来ない。「当然だ」と俺はそう答えつつ、サユリ相手には折れやすい自分に悔しさを覚える。


 そんな会話を繰り広げているうちに、料理が運ばれてくる。二人分のイルカのカレー。あまりにも可愛らしいそのデザインに、俺は心の中だけで、これをいまから食べるのかと呟く。サユリは、「ご飯がイルカの形になってる~!」と、写真を撮りながら嬉しそうに料理を見つめる。「その写真どうするんだ」と俺が問うと、「バン記者グラムにあげるのよ!」と得意げに語る。「バン記者グラム?なんだそれ」と俺が興味無さげに言うと、サユリは「写真を投稿するSNSよ」と説明する。「カガミって専門的な知識はあるのに知らない事多いよね」何の悪意もなく発せられたサユリの言葉に、俺はもう少し調べることも必要だと気づかされる。「まだまだ俺も未熟だな」と答えると、サユリは「ふふっ」と俺を見ながら微笑む。


 その後、料理をゆっくり食べていると、何やら人の視線を感じ、振り返る。だけど、そこには誰もいない。「どうしたの?」首を傾げるサユリ。「いや、なんでもない」と俺が言うと、サユリは「気になる」と顔を近づけた。「いや、気のせいかもしれないし」本当に気の所為か…なんだか嫌な予感がするが、警戒しておこう。

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