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しかし妻は、顔はこちらを向いているのに、身体は背中を向けていたのだ。
首が百八十度回転している。
無理やり首を回しているのではない。
ごく自然にそうなっているのだ。
呆気に取られてみていると、妻が舌打ちをして言った。
「また失敗したか」
そして妻は、俺の目の前からあっという間に消えた。
その後、妻の姿を見たものは誰もいない。
娘と歩いていた。
寂しいところを。
すると娘が突然に言った。
「呼んでいる」
娘は走り出した。
女子中学生にしては、足は速い。
そして私は、その時足を怪我していた。
杖で歩くのがやっと。
娘を追えなかった。
――どこいったんだ。
考えていると、娘が帰ってきた。
――!
娘の半そでの服から出ていたのは、手ではなかった。
足だ。本来手があるべきところに、足が生えているのだ。
そしてスカートからのぞくもの。
それは手だった。
スカートの下から手が生えているのだ。
――なんだ、これは。
私は言いようのない恐怖に襲われた。
気づくとその辺に落ちていた棒を拾い、娘の頭を殴りつけていた。
棒は頭にきれいにヒットした。
「また失敗したか」
娘もどきはそう言うと倒れた。
見ているとそいつは人型の白いぶよぶよしたものになったが、やがて溶けるように消えた。
その日以来、娘を見たものは誰もいない。
終




