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第一話「魔導神姫クォーツ・ナイツ最終話 お兄ちゃんが来た!」

〇妖魔王の作った異空間

嵐の吹く異空間内。爆炎が立ち上っている。

羅生門あすか、室町こと、安土りく、変身状態でボロボロに傷ついている。

あすか、絶望の目で爆炎を見上げる。

あすかのN「私は羅生門あすか。16歳の青春を捧げた、私たちクォーツナイツの1年が今……終わろうとしています」

爆炎が晴れる。爆炎の中から巨大な妖魔王レツアークが現れる。

妖魔王「ククク……残念だったなァ~、クォーツナイツの小娘ども」

妖魔王、目を光らせてクォーツナイツを見下ろす。

妖魔王「聖水晶の力を得たとはいえ、所詮は虫けら。虫の命なぞ我には届かんということだ」

あすか「虫……けら?」

あすか、目を見開く。

あすかの回想。ストーリー開始前、ナイト・オニキスが光になって妖魔王に特攻、大爆発したシーンを思い出す。

室町こと「違うッ! あの人は……ナイト・オニキスは、虫けらなんかじゃないッ!」

こと、鋭い目つきで声を荒げる。

妖魔王「虫だ。お前たちはか弱く小さく儚い虫けら」

妖魔王の巨体が僅かに前進。

妖魔王「1万年いきた我にとっては、100年も生きられぬお前たちは虫以外の何者でもない」

妖魔王、平然としている。

クォーツナイツたち、反射的に後ずさる。

安土りく「じょ……冗談やないで、こないなラスボスゥ……」

りく、怯えている。

りく「しょ、正直ィ……世界観違うで! こんなん!」

あすか「落ち着いて、りくちゃん!」

あすか、りくに向かって叫ぶ。

あすかのN「オニキスさんが命をかけたんだ! きっと、どこかに突破口が……」

あすか、冷静になろうとするが焦っている。

妖魔王「希望を抱く虫けらァ……哀れよのぉ~~!」

妖魔王が手を掲げる。魔力が迸る。

魔力の流れが4つに分散し、地面に衝突。

衝突箇所に妖魔王と同サイズの再生妖魔四天王が出現する。

妖魔王「絶望せよ! 希望を捨てろ! これが! お前たちの結末だ!」

蒸気をまとう再生妖魔四天王、目を光らせる。

妖魔将ブンレーツ「ヒャッハハハハ! 妖魔将ブンレーツ、ここに復活いたしましたァ!」

妖魔将マッソー「マッソー! 妖魔将マッソー!」

マッソー、筋肉を見せつける。

妖魔将スピーダッ「妖魔王様のお力で我らは新たな肉体を得たり……」

妖魔将カッターナ「今度こそ微塵切りにしてあげるわ、クォーツナイツ!」

巨大な妖魔将たちの影が、クォーツナイツに覆い被さる。

クォーツナイツ、全員が絶望の表情。

こと「私たちが倒した妖魔将たちが復活……?」

りく「もうアカン……おしまいやぁ……」

りく、その場にへたり込む。

あすか「ち、違う……。みんな、諦めないで! 私たちはいつだって──」

あすか、仲間を励まそうとするが表情は硬い。

妖魔王「で、今回も都合良く奇跡など起こせるかね?」

妖魔王、あすかの言葉を遮って。

スピーダッ「いついつも都合良く友情だの愛だのでパワーアップして」

カッターナ「逆転勝利してきたけどォ……」

ブンレーツ「もうお前たちにはなーーんも、ねぇ! ヒャハ――ッ!」

マッソー「マッソー!」

マッソー、筋肉を見せつける。

あすか「あ、ああ……」

あすか、絶望の呻き声。

あすかの心に去来する過去の回想シーン。

クォーツナイツの1年間の戦いの記憶を思い出す。魔法少女らしい明るくキレイでご都合主義の勝利と販促シーンの数々。それらのイメージが砕け散る。

あすかの胸元。変身アイテムの聖水晶にヒビが入る。

ブンレーツ「はははははははは!」

スピーダッ「ククククク……」

カッターナ「ほほほほほほほほ!」

マッソー「マッソソソソソ!」

再生四天王たちの嘲笑が響き渡る。

マッソー、筋肉を震わせている。

妖魔王「終わりだ、クォーツナイツ! 細胞の欠片一つ残さず! 消えされぃ!」

妖魔王が手を振り下ろす。四天王への攻撃命令。

命令を受けたマッソーが身を乗り出す。

クォーツナイツたちにマッソーが迫る。

あすかのN「助けて……誰か……」

あすか、絶望の表情。胸の聖水晶のヒビが広がっていく。

マッソー「マ~~ッソ~~!」

マッソー、巨大な拳をクォーツナイツに振り下ろす。

あすかのN「誰でもいいから……助けて!」

絶望するあすかを、マッソーの拳の影が覆う。

その時、上空の異空間が砕け散った。

外の通常空間から超高速で飛来するロケットパンチ。

ロケットパンチが横合いからマッソーの頭部に衝突、消し飛ばす。

マッソー「マソ?」

マッソー、自分が死んだことも分からず、声だけ残して絶命。

ロケットパンチ、急降下。そのままマッソーの胴体を粉砕する。

爆発するマッソーの胴体。

爆風がクォーツナイツたちに降りかかる。

あすか「きゃあああああ!」

こと「ううううう!」

りく「なんやねん、もおおおお!」

クォーツナイツ、爆風を耐え抜く。

妖魔王「なにぃ!?」

妖魔王、驚愕の表情で上空を見上げる。

上空の異空間の亀裂から、巨大な影が落下してくる。

ロケットパンチは影にドッキング。

巨大な影は妖魔王にキックを叩き込む。

激突の火花が飛び散る。

とっさにキックを防御した妖魔王の右腕から骨折の音。

妖魔王「うおおおおおおお!?」

妖魔王、絶叫して後に吹き飛ぶ。

着地する巨大な影。大質量の着地で地面から土砂が盛大に吹きあがる。・

カッターナ「妖魔王様!」

ブンレーツ「きっさまァ……何者だァ!」

残る妖魔四天王たちが巨大な影に注目する。

巨大な影の両目が光り、アースラゴゥ・クガイの全体像が露わになる。

羅生門ナガト「アースラゴゥ……」

アースラゴゥ・クガイの外部スピーカーから、ナガトの声。

あすか「えっ……この声……?」

あすか、クガイを呆然と見上げる。

あすか「おにい……ちゃん……?」

あすか、困惑している。

こと「えっ、お兄さん……?」

りく「あすかのお兄さんて……」

こと、りく、共に困惑している。

ナガト「こいつはアースラゴゥ! スーパーロボット・アースラゴゥだ!」

アースラゴゥ・クガイ、妖魔親王に向かって拳を構える。


〇アースラゴゥ・カーマのコクピット内(同時刻)

上東院瀬織がシートに座っている。

上東院瀬織「うふふふふふふ」

瀬織、余裕の表情で邪悪に笑っている。


〇アースラゴゥ・トーカツのコクピット内(同時刻)

国分寺蛮次がシートに座っている。

国分寺蛮次「ひ、ひひひひひひひ!」

蛮次、狂喜の表情で笑っている。


〇妖魔王の作った異空間(同時刻)

カッターナ「人間の作ったロボットだとぉ? ふざけるなァ!」

カッターナ、剣を抜いてアースラゴゥ・クガイに襲いかかる。

カッターナ「マッソーごときを倒した程度で図に乗るな! あやつは所詮、筋肉し

か取り得のない愚物! 我らの中では一番の小物よ!」

カッターナの剣がアースラゴゥ・クガイに迫る。

クガイ、動こうとしない。

スピーダッ「カッターナの剣は全ての物質を魔力で切断する。人間の兵器の装甲

なぞチーズケーキを切り分けるようなものだ」

ブンレーツ「所詮、学習能力のない虫けらだぜ~~! 人間どもの武器なんざ、俺たちに効くワケねぇのによォ~!」

スピーダッ「いかにも。1年前に、人間どもの軍隊が壊滅したというのにな」

ブンレーツ「見ろ、あのデクノボウを! カッターナの動きに反応できねぇじゃねぇか~~! とんだノロマのガラクタだぜ~~!」

妖魔四天王、全員がアースラゴゥを侮っている。

クガイ、猛スピードで鉄拳を繰り出す。

カッターナ、反応できずに剣を鉄拳で砕かれる。

クガイの鉄拳、そのままカッターナの胸を貫通。

カッターナ「う、動きが……見えな……」

カッターナ、爆発四散。

爆炎の中にクガイのシルエットが浮かび上がる。

ナガト「こいつはお前らを倒すために作られた! 人間をナメるな、侵略者ども!」

クガイの外部スピーカーからナガトの声。

あすか「やっぱり……アレ、お兄ちゃんが……乗ってる」

あすか、戦慄の表情。

ナガト「そうだ、あすか! お兄ちゃんが来た! お兄ちゃんが! 助けにきたぞぉぉぉぉぉ!」

外部スピーカーからヤマトの声。

あすか「いやぁぁぁぁぁぁ!」

あすか、羞恥で耳を塞ぐ。

こと「あすかのお兄さんって、確か……」

りく「ウチらがあすかの家に行った時、いつも家にいてる人で……」

こと、りく、困惑したまま回想に入る。


〇あすか自宅・リビング(過去)

あすか「今日はみんなで作戦会議よ!」

クォーツナイツの3人が私服でリビングに集まっている。

作戦会議というより女友達のパーティーといった様子。

ガタリ、と二階で物音。

りく「あれ~? 誰かおるん?」

あすか「あ~……二階は、お兄ちゃんの部屋がね……」

あすか、気まずそうに言葉に詰まる。

こと「あすかのお兄さん……ですか? 私は小学生の頃に会ったきりですね」

りく「ほぉ~~ん? ほな、挨拶くらいせなアカンな」

あすか「いや……それはちょっと……」

りく「ええやんか~? ウチ、めっちゃ興味わいてきたわ~お兄さんのこと~」

こと「そうですね。せっかくお邪魔したのですから、ご挨拶を──」

あすか「やめて!」

あすか、強い口調で言葉を遮る。

静まりかえるリビング。

数秒後、あすかが事情を話し出す。

あすか「お兄ちゃんね……色々あって、大学中退して……就活にも失敗して……それからずっと、家にいるの」

りく「えっ」

こと「えっ?」

あすか「同じ家にいるのに、もうほとんど顔も合わせないの……。ご飯もお風呂も、ぜんぜん別の時間。話もしない」

リビングに気まずい空気が充満する。

りく「あのー……お兄さんは、なにをしてらっしゃるんです……?」

あすか「わかんない。仕事なんてしてない。たまに郵便局に行くみたいだけど、たぶんネットオークションでオモチャ買ってるだけ」

りく「はぁー……オモチャ……」

りく、それとなく察して目をそらす。

こと「お兄さんは……何歳でしたっけ?」

あすか「にじゅう……ごさい」

こと「ん、ンン……分かりました。はい……」

こと、返す言葉が見つからずに適当な返事で済ませる。

ゴト……と二階で遠慮がちな物音がする。


〇妖魔王の作った異空間(現在)

りく「無職で引き籠りのお兄さんが、なんでロボットに乗っとんねん!?」

あすか「知らないよぉ! それと言い方ア!」


混乱するあすか達の頭上で、クガイが敵に向かって

走り出す。

ナガト「あすかぁぁぁぁぁ! お兄ちゃんはなあ! お前たちを助けるために! ずっと頑張ってきたんだ!」

アースラゴゥの外部スピーカーからナガトの声。

あすか「はぁぁぁぁぁ!?」

ナガト「クォーツナイツを支援するためのクラウドファンディングを立ち上げ! こんなこともあろうかと通信空手で体を鍛え! なんだかんだでロボットのパイロットになった!」

あすか「なんだかんだって何よぉぉぉぉ!」

あすか、クガイの背中に向かって叫ぶ。

こと「……ん?」

こと、上空に浮かぶ小さな物体に気付く。物体のレンズに光が反射している。

こと「ドローンカメラ……?」

異空間の上空には複数のドローンカメラが浮かぶ。クォーツナイツとアースラゴゥを撮影している。

残る二体の妖魔将に突進するアースラゴゥ・クガイ。

ナガト「うおおおお! ソルニウム・ナックル!」

クガイがロケットパンチ発射。

ロケットパンチはブンレーツを狙っている。

ブンレーツ「なめるんじゃねェェェェェェ!」

ブンレーツ、二体に分裂してロケットパンチを回避。

ナガト「なに!?」

ブンレーツ「俺の能力は分裂! 無限分裂!」

ブンレーツ、どんどん分裂していく。全て同サイズの完全コピー。

ブンレーツ「しかも! いくら分裂してもパワーは落ちねェ! 全てを同時に倒さない限り、俺は不死身よォ~~!」

勝ち誇るブンレーツの分身たち、クガイを取り囲む。

瀬織「ホホホ……では、わたくしにお任せあれ」

瀬織、コクピットでレバーに手をかける。

瀬織「セパレーション、ゴォ!」

瀬織がレバーを引く。

アースラゴゥ・クガイの全身がモジュールに分割される。

瀬織「リ・コネクション! コンプリート! アースラゴゥ・カーマ!」

一瞬でモジュールが組み変わり、アースラゴゥ・カーマに変型。

ブンレーツ「なぁにぃ~~? 姿が変わったァァァァァ!?」

ブンレーツの分身たちが一斉に驚く。

ナガト「ユーハブコントロール!」

瀬織「アイハブコントロール♪ ですわ~~!」

瀬織、狂気の笑みで操縦開始。

瀬織「ほほほほほ……下等生物のごとく分裂するのですわね~? キモ♪ 迅く迅く死んでくださいまし♪」

瀬織の両目が赤く光る。

モニタ上に大量のマルチロックオン表示。

カーマの全身の砲が展開する。

瀬織「パーティクルブラスター・ナラカ!」

カーマの粒子ビームが、全てのブンレーツの分身を消し飛ばす。

ブンレーツ「バカなァァァァァ! たった一撃でぇぇぇぇぇ!」

最後のブンレーツが断末魔と共に消滅。

周囲は粒子ビームの火柱に包まれる。

瀬織「ほほほほ……害虫駆除完了~♪」

コクピットで瀬織、余裕の笑み。

その最中、迫る危機予感する。

瀬織「おっと……」

瀬織、僅かに機体を逸らして不可視の攻撃を回避。

カーマの脇を突風が通過。

スピーダッ「我が攻撃を避けるだと……?」

突風の正体、スピーダッが急停止する。

瀬織「ま~、予知という奴ですわ。あなたの動き、大体わかります」

スピーダッ「貴様、異能者……否、人間ではないな」

瀬織「さあ~? どうでしょうねぇ~?」

瀬織、とぼけながら攻撃。

カーマの頭部バルカン発射。

スピーダッは超高速機動に入る。

瀬織、火器管制をマニュアルに切り替え、敵の未来位置を予測して照準。

バルカンがスピーダッに直撃。体制を崩す。

スピーダッ「我に当てるだと……?」

スピーダッ、動揺する。

だがバルカンでは決定打にならない。

瀬織「は、動きが鈍れば十分なんですわよ」

瀬織、カーマのミサイルランチャーを展開。発射体制に。

蛮次「おい待てェ! 俺に殺らせろ~~!」

蛮次が遮って叫ぶ。

蛮次「一発殺らせろぉぉ~~!」

蛮次の大声が、アースラゴゥ・カーマのコクピットに響く。

瀬織、大声に眉をひそめる

瀬織「チッ、分かりましたわよ。見せ場は平等に。セパレーション!」

瀬織、ミサイルをバラ撒きながら変型を操作。

スピーダッ、牽制のミサイルを回避する。

瀬織「ユーハブコンロール!」

蛮次「アァァァァイ! ハァァァァァブ!」

アースラゴゥ・トーカツに変型完了。機体が咆哮する。

蛮次「アースラゴゥ・トーカツゥゥゥゥゥ!」

すぐさまスピーダッの超高速攻撃が迫る。

スピーダッ「そんな図体で、我が神速の攻撃についてこれるワケが──」

スピーダッの攻撃がトーカツに激突。

その瞬間、スピーダッの腕がトーカツの牙に噛みつかれる。

スピーダッ「な!?」

スピーダッ、攻撃を牙で止められ驚愕。

蛮次「つ・か・ま・え・た」

蛮次、狂暴に笑う。

トーカツの牙が、横方向に超高速回転。

蛮次「アクセル・メガデスロールゥゥゥゥゥ!」

噛みつかれたまま回転させられ、スピーダッの全身がバラバラに引きちぎられ、絶命。

スピーダッ「ばげものぉぉぉ……!」

蛮次「はーっ! テメェが弱いだけだぜっ!」

蛮次、嘲笑ってスピーダッの残骸を投げ捨てる。

蛮次「さぁ~て、残るはァ!」

瀬織「あそこでブッ倒れてるぅ──」

ナガト「妖魔王レツアーク! お前だけだ!」

妖魔王、尻もちをついて戦慄してている。

妖魔王「バカなぁ~……我が力を分け与えた再生四天王が、3分と経たずに全

滅だとぉ~~?」

妖魔王、絶望の目でアースラゴゥを見る。

視界がぐにゃりと歪む。

妖魔王のN「魔界に生まれて1万年。俺は最下級妖魔から、ここまでのし上がってきた! 何度も屈辱を味わった! 下げたくない頭も下げた! 土を舐めてきた~~!」

妖魔王の回想。

悲しき過去のイメージが脳裏に去来する。


妖魔王のN「好きでもない奴と友達ゴッコして! コネを作って! ムカツク野郎をヨイショして! 好みでもない女と結婚して! コツコツコツコツ実績つみ上げて! 魔界のトップに立って、人間界侵略に5千年! 5千年かけてきたんだぞ! 俺は~~!」

妖魔王の全身からオーラが噴出。

折れた右腕が再生する。

蛮次「お、なんか復活してるっぽいぜ?」

瀬織「きっと哀しき過去……の回想ですわね。パワーアップイベントですわ~!」

ナガト「そうこなきゃ、バトルは盛り上がらないもんな!」

上空のドローンカメラがレツアークを撮影している。

妖魔王、大量のオーラを出しながら立ち上がる。

妖魔王「やらせはせん! 貴様らごとき100年も生きられぬ虫けらにィ! 我が1万年の妖魔生を否定されてたまるかァ~~!」

妖魔王の全身の装甲と筋肉が盛り上がる。最強戦闘形態。

瀬織「ほほほ……たかが1万年で大層な口をきくこと」

蛮次「ヘッ、追い込まれてから年齢マウントする奴にロクな奴ァいねぇ」

瀬織と蛮次、狂暴な笑み。

コクピットに通信が入る。

ゴッドハンド博士「プロデューサーからの要望じゃ。アースラゴゥ・クガイでやれ」

蛮次「おいおい、トーカツで十分殺れるぜ?」

ゴッドハンド「オメーのトーカツはゲテモノなんだよッ! 初陣なんだから、正統派のクガイでいけぇい!」

蛮次「わーったよ! オラ、いくぜナガト! ユーハブコントロール!」

蛮次、しぶしぶ変型。

ナガト「オーケー! アイハブコントロール! アースラゴゥ・クガイ!」

クガイに変型完了。

妖魔王「ポッと出のロボットごときィ! 我が厄満魔王剣で斬り殺してくれるわぁ~~!」

妖魔王、巨大な魔剣を召喚し装備。

ナガト「ならばこちらも! ソルニウム・ソード!」

クガイ、剣を取り出して構える。大仰なポーズ。

ナガト「妖魔王、お前に教えてやる!」

ナガト、外部スピーカーから挑発。

ナガト「お前にとっては人生をかけた最後の戦いだろうが、俺たちにとってこの戦いはエンターテイメント!」

妖魔王「なにィ~~?」

ナガト「見ろ! お前の無様な姿は全人類に見られている! お前は晒し者なんだよ!」

妖魔王、上空のドローンカメラに気付く。

全世界に配信されるイメージが流れる。

エモバズモブ1「殺せ~! 早くクソ侵略者をブッ殺してくれよ~~!」

エモバズモブ2「魔王様、超焦りまくっててウケる~! 小物ォ~~っ!」

エモバズモブたち、配信動画の映るパソコンとスマホに熱中。

妖魔王「おっごごごごご……え、エンタメぇ~~?」

妖魔王、白目を剥いて激怒。

妖魔王「ならば貴様らの首を晒し者にしてくれるどわァァァァァ!」

妖魔王、怒りの突進。

瀬織「ほほほ! 佳境ですわ~~!」

蛮次「分かってんだろうな、ナガト!」

ナガト「もちろんだ!」

ナガト、狂暴な笑みで操縦。

クガイと妖魔王が激突。

妖魔王の剣がクガイの胸を貫いた。

だが、それは敢えて攻撃を受けるピンチの演出。

ナガトは寸前で攻撃を見切り、紙一重で急所をそらす。

クガイのコクピットにまで到達した妖魔王の剣が、ナガトの横をかすめていく。

ナガト「ヒヒッ」

ナガト、狂暴な目で微笑。

直後、妖魔王の右腕がクガイの剣で切断される。

妖魔王「うおおお! まだだァァァァ!」

妖魔王、残った左腕にオーラをまといパンチ。

クガイ、それをパンチで迎え撃つ。

クガイと妖魔王のパンチが激突。

妖魔王「負けん! 負けんぞぉ! 俺は強い俺は強い! 無敵無敵無敵ィ! 人間ごときに! 妖魔王レツアーク様は負けんのどわァ~~!」

妖魔王の全生命力をかけたパンチ。

クガイのパンチが押し負け、装甲が砕けていく。

妖魔王「フハハハハッ! 勝った! 勝ったぞッ!」

妖魔王、勝利を確信して笑う。

クガイの腕の装甲が完全に吹き飛び

装甲に代わってドリルユニットを装着。

妖魔王「なぁ~にぃ~!?」

ナガト「ウォォォオ! ドリルラッシャ──!」

クガイのドリルパンチが妖魔王の左腕を粉砕。

妖魔王「嘘だぁぁ~~! こんなことがぁ~~!」

妖魔王、両腕を失って悲しみの絶叫。現実逃避。

クガイの腹部が展開し、エネルギーを放出する。

ナガト「エナジョン・ストリーーム!」

クガイの腹部から放たれる重力電磁竜巻エナジョン・ストリーム。

ストリームが妖魔王を上空に吹き上げ、電磁場と重力で拘束。

妖魔王「こ、こんなことが……あって、たまるかぁぁ……」

妖魔王、体を力場で捩じられながら悲鳴。

クガイ、地上からロケット噴射で急上昇。

剣を振りかぶり、妖魔王へと切り下ろす。


ナガト「必殺! ソルニウム・デイブレイク!」

クガイの必殺剣で妖魔王は両断される。

妖魔王「こんな奴……世界観が……違うぅぅぅ……」

妖魔王、爆発四散。

全世界の視聴者が熱狂する。

動画サイトとSNSがサーバーダウン。

妖魔王が死に、異空間が崩壊していく。

周囲の風景が都市に変わっていく。

クガイ、余剰エネルギーを放出しながら地上に降下。

あすか、クガイを見上げている。

あすか「あ、ああ……ああ……!」

あすか、呆然自失。

ナガト「あすか! お兄ちゃんはやったぞ! あすかぁぁぁぁぁ!」

ナガト、クガイの外部スピーカーから喜びの叫び。

あすかの背後、こと、りくが立っている。

りく「なんや……これで魔導神姫クォーツナイツは最終回かい」

りく、呆れがちに呟く。

こと「お兄さん……かっこいい……!」

こと、頬を紅潮させている。ときめいている。

あすか「わ、私たちの1年間が……終わり? これで終わり……?」

あすかの視界がぐにゃりと歪む。

あすか「こんな、ポッと出のロボットに……全部かっさらわれて……」

ナガト「そうだ、あすか! もう戦いは終わったんだ!」

ナガトの喜ぶ声。

あすか、その場に膝をつく。

あすかのN「私たちの1年間は……なんだったのよぉぉぉぉ……!」

あすか、絶望する。

クガイとクォーツナイツたちを撮影していたカメラの映像が途切れる。

配信終了。暗転。


〇次回「ナガトの危機! 復縁迫る幼馴染! 宇宙超甲虫ガラパゴスα登場」


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