表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】シンデレラ・パーティ~溺愛王太子が開く壮大な王太子妃選抜パーティ(出来レース)ヒロインの都合は無視  作者: buchi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/48

第4話 家出決定

従姉妹のエミリが足音も高くバタバタと部屋を出て行ってから、私は呆然として考え込んだ。


始末するとはどういう意味だろう?


まさか殺されるのだろうか。


……おかしいとは、思っていた。


だって、ご飯の量が少なすぎる。


私はやせっぽっちで背も高くないけど、それでもあの量では普通だったら生きていない。どういうカロリー計算しているのかわからないけど。


料理番は意地悪なので、私が困った様子をしているのを見ると楽しそうだった。


バーバラ叔母は親切な人ではないから、料理番にも結構ひどい仕打ちをしていた。理由もないのに、料理にケチをつけたことも、一度や二度ではない。ストレスが溜まっていると思う。

でも、だからって、私に食事をくれないのはあんまりだ。生死に関わる。


私に魔力が無かったら、もう、ずっと前に飢え死にしていたかもしれない。

それくらい、冷遇されていた。


「まあ、そんなことにはならないけどね」


いつの間にか、小麦粉や蜂蜜や、スープ鍋の中身がなんとなく減っていたはず。ばれては面倒だから、そんなにたくさんは持ち出せなかったし、デザートのような使用人にも人気の料理はパクるのが難しくて、甘いものは食べられなかったけど。



魔法は、オリビア伯母さまに教わった。


伯母は父の姉で、美人で優秀で、隣国マグリナの大侯爵家に堂々と嫁いだ。

(この結婚について、フリージアの王家は、後で、大失敗したと後悔したらしいけど)

たまに母国へ里帰りすることがあり、そんな時は、私は大喜びで伯母に遊んでもらっていた。


魔法は本当におもしろい。

伯母がいない時は書物で学ぶしかなかったが、伯母が来た時には大歓迎して、わからないところを聞いたり、知らない魔法を教えてもらったりした。


従兄弟たちが男の子ばかりだったせいもあってか、伯母は、私をとても可愛がってくれていた。


「リナはすごいわ!」


伯母様は、よくほめてくれた。褒められるってことは、とてもうれしい。


「リナ。でも、黙っておきましょうね。あなたの力を悪用しようとする者が現れたら困るから」


魔力を持つ者がいる。

それは、ほんの身内だけしか知らないロビア家の秘密だった。


新参者で、素性もよくわからないバーバラ夫人とエミリが、この秘密を知る由もない。


明日、あの親子は、王宮に参上するそうだ。

バーバラとエミリは、この婚約の本当の意味を知らないから、平然と婚約者の差し替えを申し出るのだろう。


エミリを見ている限り、魔力のカケラも感じられない。


魔力のない娘など、絶対に王家に相手にされないと思うのだけど。


だから、おそらく婚約者の差し替えはうまくいかない。

多分、バーバラ夫人たちは、理由がわからなくて、激怒して帰って来るだろう。


「うーん。まずいわ……」


八つ当たりが心配。特にエミリ。彼女はとても感情的だ。何をされるかわからない。


私は決心した。


長らく計画していたプランを、ついに実行に移す時がきたのだ。


こんな家、出て行ってやる。



たった一人、ロビア家に残った忠実な使用人は、古くから仕えている総執事のセバスだけだった。


どうして彼が、ロビア家に残ってくれたのか、わからない。

彼ほど優秀なら、他のおうちでも引く手あまただと思う。


私は、セバスにだけは、家出の決意を伝えた。

どんなに止められても絶対に出ていくつもりだ、こんな家。


「すばらしいご決断でございます。お嬢様なら、どこへ行っても大丈夫です。暮らしていけます」


セバスは、家出に太鼓判を押した。


「は……」


……あのう、私、薄幸の美少女で、大事に大事に育てられた深窓の姫君なんですけど? 家出、止めないの?


「リナ様のことは、お小さい頃から見ておりました。おばあさまや伯母様に似てらっしゃいます」


ええと、私のおばあさまは、夫である公爵亡きあと、広大な公爵領をまとめ上げ、改革に次ぐ改革を実行して、ただでさえ名門の公爵家の名を全国に知らしめた女傑なのですが。


まあ、それもあって私と王家との婚約話が順調に進んだように思う。


オリビア伯母様も、堂々たる大魔法使い。


「私におばあさまや伯母様のような実行力はないと思うのですけれど。まあ、婚約者はエミリにお譲りするとして」


エミリと王太子殿下との婚約は、実現しないのではないかしらと思うけど、お譲りする件に関しては、全然悔しい気持ちにはならなかった。


だって、私は婚約者のイアン王太子に、会ったこともなかったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

並んでいる☆をクリックして、応援してもらえると、励みになります

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ