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【完結】シンデレラ・パーティ~溺愛王太子が開く壮大な王太子妃選抜パーティ(出来レース)ヒロインの都合は無視  作者: buchi


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第36話 マグリナでギルドに登録

なんで、あの伯母様が、王太子妃選抜パーティ(通称シンデレラ・パーティ)なんかに興味津々なのかしら?


私は首を傾げながら、マグリナの王都にある伯母の屋敷に戻った。


フリージアの王都では、イアン王太子のシンデレラ・パーティの話題で持ちきりらしい。


イアン王太子は話題の的。絵姿が売りに出されて、大人気らしい。関心ないし、今は、マグリナにいるから、お目にかかりたくても見られないけどね。


私に言わせれば、なんであんな王子がキラッキラの理想の王子様みたいな扱いを受けているのか、疑問なんですけど。


だって、あの王子様、長年婚約者だったのに、あっさり婚約破棄しているのよ? 割と女性に対する扱いが雑だと思う。


最初の婚約者の扱いがあまり知られていないようだから、人気があるのかもね。



メアリは、マグリナへの二週間の旅に耐えうるよう重装備で臨んだが、私は止めなかった。どうせ衣装などは必要だしね。

だから、いつものあばら家へ出かけて行って、なぜか馬車を降りて、ドアを開けるとその先がマグリナのお屋敷だってことに気がつくと、メアリは文字通り腰を抜かした。


「お、お嬢様ッ……?」


「私も魔力持ちなのよ。絶対の秘密よ」


絶対の秘密の割には、結構、御者や馬や馬車まで移動させている。

馬や馬車はしゃべらないからいいとして、御者なんかはまずいのよね。

あとで忘却魔法をかけるのだけど、それがまためんどくさいのよ。伯母が押し付けにくるはずだわ。


そういやメアリにも、他の人たちと一緒に、忘却魔法をかけていた。

まとめてかけた方が、まだ楽なのよ。


「メアリには、この秘密、教えておくわ。絶対にバラさないでね」


「絶対に秘密にします!」


メアリは覚悟を新たにと言った様子で言った。


「その昔、オリビア奥様に、私の息子の病を治していただいたことがございます。どの医者も助からないと(さじ)を投げたほどひどい病でした」


伯母様は、治癒魔法は使えないはずだけど……?


「その時に誓いました。マラテスタ家及び奥様が大事になさる方々には、絶対の忠誠を誓うのだと。この命の及ぶ限り。完全に信用してくださいませ!」


反応に困る。特に、伯母は治癒魔法が上手くないことを知ってるもので。


「……よろしくね。メアリ」


彼女は大きくうなずいた。


「お任せください! 最高のドレスと最高のダンス教師を手配いたします」


「いや、あの、ちょっと、そうじゃなくて……」


「お任せください!」


メアリは失礼致します!と言うと急いで出かけてしまった。


私はその後ろ姿を呆然と見送った。

せっかくの熱意が、明後日(あさって)の方向を向いて行ってしまった。


「どうしよう……」


……どうしようもないか。


そこで、私は、ここの屋敷の総執事を捕まえて、しばらく奥様がフリージアに滞在されること、私は先にここに戻ってきたことを伝え、これから魔力ギルドへ、ちょっと出かけてくると告げた。


正直、ここの執事(名前はクラウスと言ったが)は、セバス以上に優秀執事だったらしい。


「奥様から伺っております」


彼は重々しく、かしこまって言った。


「何を?」


彼はくるりと後ろを向くと、合図した。


立派な騎士が一人、待ってましたとばかりに、急ぎ足でやってきた。


彼は片膝を地につけて、うやうやしく礼をした。


「お供いたします」


「お供はいらないから」


総執事のクラウスが言った。


「奥様から、アンジェリーナ様は帰ってきたらすぐにギルドに行きたがるだろうから、必ず護衛騎士と侍女を付けるようにと指示がございまして」


侍女? メアリは今、出かけて行ってしまったところだけど?

パッと後ろを振り返ると知らない侍女が一人、優雅にお辞儀をしているところだった。


「ハリエットと申します。アンジェリーナ様の専属侍女にお選びいただき、光栄に存じます」


選んでませんよ? 私、身の回りのことは、掃除洗濯料理、一通りこなせますし?


「もう、馬車が用意してございます。どうぞギルドへお越しください」


用意がよすぎる。何か伯母の手の上で踊らされている気がする。


私はその日、身分証明書は、伯母に仕えている騎士の口添えで何もいらず、アッサリとギルド登録を許された。


お疲れでしょうからと騎士と侍女が主張するので屋敷に早く戻らされ、屋敷に戻ると、メアリとドレスメーカーのデザイナーとお針子数名が、満面の笑顔で待ち構えていた。


メアリがデザイナーに向かって、真剣な表情で言った。


「金に糸目はつけないと奥様がおっしゃいました」


デザイナーは大きくうなずいた。


「かしこまりましてございます」


「隣国のシンデレラ・パーティーですが、ここマグリナでも、すでに戦いは始まっております!」


戦い?


「しかし、王子様のハートを射止めるのは、アンジェリーナ様、お一人です!」


いや、そんな。そんなわけないでしょう。何、言っているんですか? しかも全員真顔で。


「すばらしいドレスと……お嬢様も恥じないように頑張ってくださいませ!」


それって、ダンスのレッスンの話?


そんなものに割く時間はないのだけど! 私はイアンを探したいの!




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