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「シェルト様?顔色が宜しくないですが……大丈夫ですか?」
いつもの様に、シェルトが洗濯物を手伝ってくれていた時だった。流石に恥ずかしいので、衣類は自分で洗っているが、他のシーツなどはシェルトが手伝ってくれている。
「あ、あぁ。ちょっと、疲れていてね。大丈夫だよ、ありがとう」
そう言って笑うシェルトは、明らかに無理をしているのが分かる。アイリーンは、眉を寄せ心配そうにシェルトを見遣る。
「本当に、大丈夫だから。それより、コレを干したら少し早いけどお茶にしようか。今日は君の好きな焼き菓子をっ……」
「シェルト様っ⁈」
その場に蹲るシェルトにアイリーンは、駆け寄った。
「い、今人を呼びますからっ」
外の護衛を呼びに行こうとしたアイリーンの腕をシェルトは掴んだ。
「いや、大丈夫だから……少し、疲れてる、だけなんだ」
「ですがっ」
「大丈夫、だよ。ごめんね、手を貸して貰えるかな」
アイリーンは不安に駆られながらも、シェルトの言う通りに手を貸し家の中に入った。シェルトをベッドに寝かせ、水を取りに行く。冷たい布を用意して、顔の汗を拭った。少し前までのアイリーンなら、こんな些細な事でも1人では出来なかったし、機転も利かなかっただろう。そう思うと可笑しくて、苦笑を漏らす。
「シェルト様……」
「ごめんね、少し寝かせて……」
そう言ってシェルトは、目を閉じ眠った。初めてシェルトの寝顔を見た。これまでシェルトは、この家で寝たことがない。
目を閉じてから程なくして、寝息が聞こえてきた。アイリーンは、濡れた布で額の汗を拭っていく。すると気持ちがいいのか、辛そうだった表情が和らいだ。
シェルト様……。
アイリーンは、シェルトの手を握った。最近、こんな事が多い。日を増すごとに増えている。寝込む程になるのは今日が初めてだが……。
シェルトは、ただの疲れだと言っているが……本当にそうなのだろうか。信じたいのに、不安だけが募っていく。
「シェルト様、私は貴方に何が出来ますか……」
アイリーンは、ため息を吐く。今日はこれで何度目か忘れた。最近シェルトが来ない。最後に会ったのは5日程前の事だ。最後に会った時、かなり身体の具合が悪そうだった。
あの日、寝込んでしまったシェルトだったが、夜にはやはり帰って行った。
「シェルト様、まだ動いては……」
「大丈夫、だよ。大分、楽になったから……ありがとう、アイリーン。お休み」
また、聞く事が出来なかった。無理をしてまで、帰る理由……そうまでして、ここに泊まらない理由を……。
「シェルト様……どうしてですか」
帰って行くシェルトの後ろ姿に、アイリーンはそう呟いた。
悪い癖だ。こんな弱気ではいけない。明日、シェルトが来たら、絶対に聞いて見せる!とアイリーンは決意したものの、肝心のシェルトが来ない……。今まで1日も欠かさずに来てくれていたのに。やはり、シェルトの身に何かあったのでは。
1人悩み頭を抱えていたその時、扉が開いた。アイリーンは、勢いよく立ち上がり扉へ駆け寄る。
「シェルト様⁈」
「すまない、シェルトではないんだ」
「へ……」
意外過ぎる人物が現れ、アイリーンは思わず間抜けな声を上げた。
「王太子、殿下……何故」




