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ジャイアントアントVSウィル、トマソン、ジョン、モーガン

少し長くなってしまいました。お付き合い下さいませ。

 ジャイアントアントは主に荒野に生息する魔獣で、単体での討伐ランクは4に分類される。

 それは戦闘に慣れた中堅の冒険者であれば十分に狩れる事を意味する。

 但し、あくまで単体に限った場合であり、ジャイアントアントが討伐ランク通りの強さである事は少ない。

 なぜなら、ジャイアントアントは群れを形成する魔獣だからである。

 社会性を持ち、ワーカーやソルジャーといった様々な役割を担った蟻達がクイーンを中心に活動する。

 雑食性であり、餌に対しては貪欲で、連携して上位の魔獣を襲う事もよくあった。

 巣からはぐれた個体でもない限りは単体で活動する事はなく、群れの規模によってランクが変動する。

 人里近くに巣を形成されれば甚大な被害が出る可能性が高く、場合によっては国主導の討伐戦に発展する事もあった。


 故に、ジャイアントアントの強さは個体値ではなく、群れの規模で判断しなければならない。

 発見報告と討伐の証明だけで懸賞金が付くような、危険な魔獣なのである。



▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 微かな雷光が尾を引いて。

 次の瞬間、トマソンが姿を現したのはジャイアントアントの傍らであった。


「せいっ!」


 逆袈裟に振り抜かれた棍が蟻の魔獣の関節部を切り裂く。

 瞬時に移動したトマソンを追って周りにいた魔獣が向きを変えるが、その時には既に彼の姿は魔獣の背後に移動していた。

 ブースト系の魔法の中でも高難度と言われる雷の身体強化魔法。

 その魔法を使いこなし、敵を雷速の体術で仕留めていく。

 それが、トマソンが【雷光】と称された所以であった。


「ふんっ!」


 人の丈程のジャイアントアントに魔力の刃を突き立てて、トマソンが後方に飛び退いた。

 残った魔獣がトマソンを追って走り出す。


「ジョン!」

「任せろっ!」


 追い越すように擦れ違ったジョンが赤熱を帯びた双剣を振るって、追撃に来た蟻の魔獣達を一刀の下に斬り伏せていく。


「相変わらず、エグい速度だなぁ……」

「蟻の魔獣をバターのように斬っといて、どの口が仰るのやら」


 迫るジャイアントアントを全て斬り伏せ、軽口を叩くジョンにトマソンが笑みを浮かべた。

 ジャイアントアントの体表は硬く、物理攻撃は効きにくい。

 ジョンは双剣に熱属性の魔力を纏わせて、その硬い体表をすんなりと焼き斬っていた。

 近場にいた魔獣は狩り尽くしたのか、ひと呼吸の間が開く。

 だが、周囲から魔獣の気配が無くなったわけではない。

 二人が警戒を緩める事はなかった。


「はぁー……」


 離れて見ていたウィルが、二人の強さに感嘆の声を上げる。


「じぃも、じょんおじさんも、つよいー」

「ウィル様、まだいらっしゃったのですか?」


 ウィルに気付いたトマソンが少し驚いたような顔をした。

 隣りにいたジョンも同じような顔をしている。

 救出した人々は避難を開始していた。

 ウィルも一緒に移動を開始したかと思っていたのだが、まだ残っていたらしい。

 もっとも、索敵と援護の為にエジルとラッツは避難民を先導しており、傍に控えているのはモーガンとウィルの分身二体であった。


「まだにげてくるひと、いるかもー?」


 ウィルは新たに逃げてくる者にも動けない者がいるかもしれないと思い止まったらしい。

 そういった者がいないように、トマソンは動ける者だけ避難するように指示を出していたのだが、ウィルは気づかなかったようだ。

 ウィルのこの行動はウィルの純粋な優しさから来たものなのだ。

 トマソンはウィルの行動を少し誇らしく思いながら、ウィルの頭を撫でた。


「うっ?」

「ご心配には及びません。ウィル様はお早くお屋敷にお戻りになって奥様を安心させて上げてくださいませ」

「かーさま、しんぱいしてるー?」

「はい。とても……泣いておられましたよ?」

「うぃる、わるいことしちゃたな……」


 トマソンの手に身を任せながらしょんぼりするウィル。

 ジョンとモーガンも苦笑いを浮かべた。


「さぁ、ウィル様、戻りましょう」

「うん……」


 モーガンに促されて、小さく頷いたウィルがクレイマンに跨ろうとして、動きを止めた。


「じぃたちはー?」

「しばし、ここに残ります」

「あぶないよー!」


 魔獣が暴れる街に二人で残ると言うのだ。

 普通は危険である。

 だが、ウィルは知らなかった。

 自分の家に勤める執事と門番がどれほど強いかを。

 一般的な魔獣は強さによってランク付けされているが、それは騎士や冒険者も同じ事である。

 大雑把に分けると上位、中位、下位となる。

 更にその中でもランク分けされているのだが、今は端に置いておく。

 トマソンもジョンも、上位の中でも一目置かれる程の猛者であった。

 そうでもなければ二つ名など称される事などないのである。


「我々は大丈夫ですから、ささ……」


 ジョンがウィルを無理やり納得させて送り出そうとした時だった。


「助けてっ!」


 若い女性が息を切らせて左手の建物の影から飛び出してきた。

 その後を追って蟻の魔獣が姿を現す。

 魔獣の追撃を避けてきたのか、服はボロボロで所々血が滲んでいた。

 疲労困憊でよろめく女性に魔獣の牙が迫る。


「ひっ!」

「いかんっ!」


 女性が引き攣った悲鳴を上げるのと、トマソンが地面を蹴るのはほぼ同時だった。

 雷速で離れた距離を瞬時に詰めたトマソンが魔獣と女性の間に割り込んで、魔獣の牙を受け止める。


「くっ……!」

「トマソンさん!」

「じぃ!」


 ジョンが慌ててトマソンの元へ走り出す。

 ウィルもその後を追いかけようとしてモーガンに止められた。


「はなしてー!」

「駄目です、ウィル様!」


 暴れるウィルをモーガンが必死に抱き止める。

 今、ウィルが行っては邪魔なだけなのである。


「ぐぬぬぬぬっ……!」


 トマソンが次第に押し込まれていく。

 ジャイアントアントは強靭な顎と自身より重い物を難なく持ち上げるパワーを有している。

 対してトマソンの使用している雷属性の身体強化の恩恵は速度の大幅増加と驚異的な反射神経が主な能力であった。

 いくら身体を強化しているといっても、真正面からの力比べでは分が悪いのだ。

 だというのに。


「た、助けて、誰か……!」


 反対側の小道からもメイドが飛び出して来た。

 小さな女の子の手を引き、その腕には赤子を抱えている。

 そして、メイドの背後から迫るジャイアントアント。

 モーガンは慌ててウィルを地面に降ろした。


「来たれ、土の精霊! 石塊の魔弾、

 我が敵を穿て岩石の砲撃!」


 モーガンの突き出した掌の前に先端の尖った岩石が生成され、高速で撃ち出される。

 岩石の魔弾は狙い違わずジャイアントアントを捉えたが、強固な体表に弾かれて足を止める迄には至らない。


「こっちだ! 早く!」


 モーガンが手を上げて走り出すと、メイドはウィル達に気付いて走る方向を変え、ウィル達の方へと向かって来た。


「ああっ……!」


 小さな女の子がバランスを崩した。

 慌ててメイドが少女を立たせるが、その間にもジャイアントアントが三人に追いついてくる。

 赤子のか細い泣き声が無情に響いた。


「くそっ!」


 間に合わない。

 そう分かっていても、モーガンは走りながら剣を抜いた。

 だが、そこからどうすればいいというのか。

 メイドに駆け寄る時間はない。

 このまま目の前でメイドや少女が噛み殺されるのを黙って見るしかないのか、と。

 モーガンが破れかぶれで、更に魔法を放とうとした、その時――


「だめーっ!」


 ウィルが叫んだ。

 そして、次の瞬間、走り出したウィルの姿が忽然と消えた。

 微かな雷光を残して。


「えっ!?」


 自分を追い越すように脇を抜けていった雷光にモーガンが驚きの声を上げる。

 それはトマソンが使用した雷属性の移動術と同じ残光であった。


(なんとかしないとっ……!)


 ウィルにとっても咄嗟に出た行動だった。

 動作が先か、思考が先か、分からなくなる感覚。

 ウィルは間違いなくトマソンと同種の身体強化魔法を行使した。

 だが、ウィルは一つ思い違いをしていた。

 雷属性の身体強化魔法、そこから繰り出される移動術は空間転移ではない。

 瞬動や縮地と称される事が多い歴とした体術なのである。

 魔力強化による筋力の反射、魔力誘導による雷速への到達、その速度に耐え得る障壁の展開、着地点への姿勢制御。

 それらが合さって初めて成功するのである。

 ウィルの魔法能力は高いが、身体能力は三歳児のそれ。

 高等な移動術を行使出来るレベルにはない。


(あえっ……!?)


 結果として、ウィルは移動に失敗した。

 端的に言うと止まれなかった。

 移動方向に吹っ飛んで、障壁を展開したまま蟻の魔獣に頭から突っ込んだ。


「…………っ!?」


 ドガンッ、という衝撃音と共に蟻の魔獣が後方に吹っ飛ばされる。

 メイド達は無事に難を逃れ、モーガンの下へ辿り着いた。


「なんっ!?」


 衝撃音に驚きつつ、何かが飛んでいった先を見上げるモーガン。

 くるくると回りながら宙を舞うウィル。


「エエエエエッ!?」


 一瞬の内に訳のわからない状況に叩き込まれたモーガンが頭を抱えて絶叫した。

 ウィルは衝突した勢いで、空に向かって弾き飛ばされたのだ。

 モーガンが叫んでいる間に、ウィルに飛ばされた蟻の魔獣が身を起こした。

 驚いた事に前脚の片方が千切れ飛んでいた。

 いつの間にか新たな技が生まれたような気がするが、魔獣は健在だ。

 再度、モーガンやメイド達を餌と認識して襲い掛かって来ようとしている。

 一方、上昇を終えたウィルが重力に従って落ちてきた。

 高さは優に建物の屋根を超えている。

 そのまま落下して地面に激突すれば、おそらく命はない。


 窮地を脱したメイドも少女も、あまりの事に口をポカンと開けたまま、ウィルを見上げていた。


 トマソンに助けられ、這い出すように距離を置いた女性もポカンとウィルを見上げていた。


 ウィルの分身達もウィル自身の驚愕を表すようにポカンとウィルを見上げていた。


「ああ! ええっ!? もう! クッソ!」


 一番近くにいたモーガンは混乱した。

 起き上がったジャイアントアントはこちらへの攻撃態勢を既に整えている。

 その状態でウィルの救出と魔獣の迎撃を同時に行わなければならない。

 ウィルが介入しても事態は相変わらず急を告げていた。

 だが、一つだけ事態は好転した。

 時間が出来たのである。

 態勢が整うまでの時間が。


「ハアアアッ!」


 不利な状況に陥っていたトマソンの下へ到達したジョンが赤熱を帯びた双剣を振り抜いた。

 ジャイアントアントの強固な右前脚を容易く切り裂き、距離を取ろうと後退する大蟻の動きに合わせて更に踏み込んだ。


「逃がすか!」


 真横に払った一撃が残った前脚を斬って落とす。

 体を支え切れなくなって、ジャイアントアントの頭が下がった。


「セリャアッ!」


 勢いを殺さず一回転したジョンがそのまま上段から剣を振り下ろした。

 脳天から切り裂かれたジャイアントアントが断末魔の鳴き声を上げる間もなく絶命する。

 その時には既にトマソンがウィルに向けて走り出していた。


「モーガン様は魔獣を!」


 トマソンに気付いたモーガンが気を持ち直して、残りのジャイアントアントに剣を向けた。

 背にメイド達を庇い、距離を取るように走り出す。


(つくづく損だな……土属性は!)


 そんな風に胸中で毒づきながら、モーガンがジャイアントアントとの距離を詰める。

 土属性の魔法は物理的に強力な魔法が多い。

 非常に優秀な能力だ。

 但し、地形に影響を受けやすかった。

 舗装された街中や生物に位置付けられるダンジョンでは最大限の力を発揮できないのだ。

 その代わり、土属性は身体強化系魔法の膂力上昇や硬質化が優秀な為、高価な超重装備を用いて前衛職に付く者が多かった。

 一般的に魔法使いとして括られると、土属性の魔法使いが少ないのはその為だ。


 モーガンはパーティリーダーとして指揮を取るため比較的軽装備で中衛を務めていた。

 彼にはクレイマン生成やゴーレム生成があったし、身軽に動けるアタッカーの方が都合がよかった事もある。

 結果として、モーガンは土属性の身体強化を最大限に活かせる装備を有していなかった。

 それは然程強くない魔獣に対しても攻撃手段が少ない事を意味する。


(やるっきゃねーか!)


 土属性のブーストを纏って、モーガンがジャイアントアントに突っ込んでいく。

 魔力で剣を硬質化し、真正面から剣を振り下ろした。

 ガキンッ、と甲高い音が鳴り響き、モーガンの剣がジャイアントアントの牙の根本に食い込む。

 ジャイアントアントは意に介さず、そのまま前への圧力を強めてモーガンの剣を押し返した。


「こ、のぉっ……!」


 モーガンが負けじと前に重心を込めて押し込む。

 お互いの力が拮抗する中、ジャイアントアントがモーガンに噛み付こうと牙を伸ばした。


(させっかよっ!)


 噛み付かれないよう牙を躱し、空いた口の前に片手を翳したモーガンが叫ぶ。


「来たれ、土の精霊! 石塊の魔弾、

 我が敵を穿て岩石の砲撃!」


 ありったけの魔力を込めた岩石の弾丸が凄まじい威力で射出され、ジャイアントアントの口内へ飛び込んだ。

 外殻が強固な蟻の魔獣も口内はそうもいかず、内部から蹂躙されて崩れ落ちた。


「ウィル様は!?」


 息づく間もなくモーガンが振り向くと、トマソンが落下してきたウィルをしっかりと受け止めたところだった。


「……っ? …………っ!?」


 ウィルが頭を抑えたまま、トマソンを見上げる。

 目に涙を浮かべて、驚きの表情のまま、プルプル震えている。

 いったい何が起きたの、と言わんばかりの表情だが、見た目に怪我をした様子もなくトマソンは安堵した。


「ウィル様、あまり爺を驚かさないで下さいませ。いいですか? ブーストはウィル様自身の体を鍛えなければ使えないのです。ウィル様が大きくなられるまで、今しばらくご使用は控えて下さい」


 真面目な顔をしたトマソンに諭されて、ウィルは頭を抑えたままコクコク頷いた。


「お分かりになられましたか? よろしい。では、ウィル様はウィル様の務めを全うして下さいませ」


 コクコク。

 まだショックから立ち直ってないのか、ウィルが無言のまま頷いた。

 トマソンがウィルをゆっくりと地面へ降ろす。

 トマソンから離れたウィルは分身達に女性と赤子を抱いたメイドを運ぶ様に指示をした。


「きたれ、きのせーれーさん! たいじゅのほーよー、なんじのりんじんをいやせせーめーのいぶきー!」


 ウィルが詠唱して女性の傷を癒やす。


「えっ? ええっ!?」


 女性もまさかウィルに傷を癒やされるとは思っていなかったらしい。

 驚きに目を見開いたまま、ポカンとしてしまった。

 その事に突っ込む者もおらず、女性が隣りにいたメイドに視線を向けると、メイドも同じような顔をして目を見開いていた。

 そんな女性を尻目に、ウィルはモーガンの所まで行くと、小さな女の子と一緒にモーガンの腕に抱えられた。

 腕の中で向き合ったウィルと少女の目が合う。


「あっ……ありが、とう……」


 しばし見つめ合った末、そう言ってきた少女にウィルが目を瞬かせる。

 ウィルはようやく気を取り直したのか、にへらっ、と笑みを浮かべた。


「うぃる、びっくりしちゃった」


 照れた様に頭を抱えるウィルに少女はきょとんとしていたが、釣られて笑みを浮かべた。


「わたしも……びっくりしたわ」


 可笑しそうにクスクス笑う子供達。避難を開始したモーガンは二人を見ながら、


(いいや、一番びっくりしたのは間違いなく俺だ。そこは譲れねぇ……)


 密かにツッコミを入れていた。



▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



「やっと行ったか……」


 ウィル達が角を曲がって姿が見えなくなると、ジョンは小さく嘆息した。


「相変わらず、はちゃめちゃだなぁ……王子は」


 心臓に悪いと思いつつも、ジョンの表情には人の良さそうな笑みが浮かんでいる。


「もう少し、時と場合を選んで頂けたら安心して見ていられるのですが」


 落ち着いた佇まいでウィル達を見送ったトマソンは少し遠い目をしていた。

 その心中が穏やかでない事を付き合いの長いジョンは気付いていた。


「で、どうするんです? 雷速歩法まで真似するなんて、私の中では想定外なんですけど?」


 実の所、雷属性を用いた瞬動術を完全に使いこなせる達人はそう居ない。

 フィルファリア王国においてはトマソン一人しかいなかった。

 トマソンが微かに笑みを浮かべる。


「いずれ、教える事になるでしょうな。ウィル様が望めば、奥義の全ても……」

「雷光の後継の誕生、か……」


 ジョンの呟きに、しかしトマソンは首を横に振った。


「そうはならないでしょう……ウィル様は、何というかその程度では収まらない、もっと大きな事を成し遂げてしまうような気がします」


 大国に二人といない術の使い手に贈られた称号をその程度とは恐れ多い気もするが、ジョンはトマソンと同意見だった。


「さて、こっちの方はどうしましょうかね?」


 ジョンが背後を振り向く。

 通りの先、建物の上、脇道からぞろぞろと蟻の魔獣が姿を現す。

 先程とは違い、ポツポツと大きい個体も見える。

 ソルジャータイプのジャイアントアントだ。


「当然、ここで狩れるだけ狩ります。お屋敷に向かう魔獣共を引き付けられるでしょうし、わざわざ戦いの場をお屋敷に近付ける必要もありません」


 もし仮にここを抜けて屋敷に向かう魔獣がいたとしても、ラッツ達を送り出した今、屋敷には十分な戦力が整っている。


「りょーかい」


 ぬるく返事を返して、ジョンが双剣を構え直す。

 二対多数。

 だが、先程と違い、守らなければならない者は避難している。

 二人を留めるモノはもう何もないのだ。


「斬って斬って、斬りまくるぜ!」

「我らが王都に手を出した害獣共よ、きっちり引導を渡してくれる!」


 足並みの揃わぬ大蟻とはいえ、ソルジャータイプ数体を含む大群。

 上級討伐規模の群れを相手に二人の戦いが始まった。


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