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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第六章
81/141

若干短め

 規模からすれば国とは呼べないが……かつて存在した魔王の承認により、認められているその国を統治するのは美しき女王。召喚された勇者を伴侶とし、魔王に願って不老を得た。

 が、老いを知らぬが故に孤独であり、勇者との間に子供は出来ず……温もりを求めるようになる。最初は兎も角、度を過ぎ苦言を呈されても収まらず……寵を得ようとする者が後を絶たぬ事態に、内乱が起こり女王は治政120年を迎えたところで、地下へ幽閉された。

 新たな王が立って100年余り過ぎ、5回の代替わりが済んだ頃、魔王は不在となった。

新たな勇者が召喚されたが、儀式を執り行ったのは女王。勇者は、クルヴァーティオ浄化を成し遂げ、“理”に沿って新たな魔王となった。

 女王はその功績を盾に王と貴族達を粛清し再び国を統治する。が……不老という非日常は、なったその日から、知らぬ内に彼女を狂気に導いていた。

 そして、世の趨勢と情勢の変化がその治政を難しくする。帝都フロリネフとの友好を築いていた王の死。魔王の威光を笠に着た(そう見えた)無謀な執政に、覇王アフト・クラトルは自ら大軍を率いて侵略を開始した。

 まともな軍も防備もなく僅か1日で陥落し、入城した彼の眼前にいたのは、たくさんの幼子に囲まれた女王だった。

「可愛いでしょう?この子達が私の民。そして、我が夫との子--テロー・グロリア。とてもそっくりなの、ふふふ…ヒッ!何を--や、止めてぇっっ!?」

†††††

「狂気に憎悪と慟哭が加わって女王は堕ちてククーロ・ストゥーレガになった。不死ではないから肉体は滅んだけどねぇ……託卵されたのは血縁で他にいなかったからかな?」

「……」

 セラスは微動だにしない。ショックが大きいのは明らかで、声の掛けようがないアゴニだった。

「じゃあね、ゆっくりとお休み--堕ちたいなら、止めないよ」

 瞬きをする間もなくラヴァン・ソルティスは姿を消した。

 顔を覆うセラスにいたたまれず、部屋を後にする白魔技は気付かない。うつむくセラス・エクエスの変化に、魔王の科白の意味に・・・。


 

 


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