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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第一章
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 東の端にあるアトルバスタを含め世界にある国は5つ。何れもが迷宮と地形によって分断され、貿易や交流は隊商氏族に頼る以外の手段がなかった。

 村や街にとっては問題なくても、国ともなれば致命的になる。それを解決したのが、転送陣だった。

 かつて在ったとされる迷宮の管理者――即ち魔王が持ち込んだこの方法を、“理”に沿って改良し国同士で利用するようになったのだ。

 勿論、アトルバスタも例外ではない。テロー率いる一行は、王宮の地下――霊堂にいた。

「これが、最後の旅立ちです。ご武運を!」

 地下霊堂の大理石の床に描かれた転送陣に一行が乗ると、聖職者が声高に咒句――訪問を知らせる《言霊(ヴォス)》を紡ぐ。一行はアルヴァロ・マーロに最も近い小国ドゥーエに光の柱と共に運ばれていった・・・。


「よくぞおいでなされた――」

 ドゥーエの王にして巫女のアリセプテはテロー一行を出迎えた。

 ギルドの報せにより準備を整えていた彼女は、テローの美丈夫ぶりと“栄光の御手”のメンバーが纏う覇気を惚れ惚れと眺める。

「私めは、この度記録係を仰せつかったアトルバスタの聖職にございます。宰相様より親書をお預かりいたしました。」

 同行してきた聖職者より親書を受け取り労った。

「――ご苦労様でした。アルヴァロ・マーロまでは馬を使えば半日ほど……お急ぎでしょうが、村を拠点になされれば良いでしょう」

 作法に則って儀礼は無事に終わり、アリセプテは満面の笑みを浮かべた。

†††††

「夕方には到着しそうだ?」

「即位の儀は一ヶ月後か……仕方ないね。さっさと攻略しようよ」

 今までの実績と経験から攻略に浮き立つ一行に、案内役の聖職者は内心で苦笑する。情報を集めないのかと問えば、ギルドから得た情報で充分だと言われた。

 出現してから半年に満たず、冒険者だけでなく一般者も受け入れるとびっきり奇妙な迷宮だと言えば、だったら攻略しやすいと返された。

「あれが、迷宮に最も近い村ですよ……ひっ!」

 ドゥーエから馬で約半日、案内役は村を取り囲む生垣を目にして安堵する。彼の役目は村に案内すること、やっと終わる……そう思っていた矢先、入口に佇む人影に悲鳴を上げて馬から転げ落ちた。

「どうしたんだ?」

「あぁ、なんて幸せなんだろう!! 最高のお客さんが来てくれたなんて、嬉しいなぁ!」

 大勢の人間が異口同音に、同じタイミングと同じ科白を紡ぐ……そう思ったが、村の入口に立っているのは白づくめの人物唯1人。纏う素養は魔技そのものだったが、白い魔技で思いつくのは1人しか存在しなかった。

「「「!?」」」

「おめでとう! 10000人目の探索者殿にお連れの方々。栄光に至る《祝福》を掛けてあげよう!!」

 その一言と共に総勢18人は消えた。

 へたり込んだままの聖職者の目線に合わせるように魔技は屈み……。

「案内ご苦労様。君は自由だよ?」

 小首を傾げるラヴァン・ソルティスの笑みに聖職者は絶望と共に意識を失う。世界最高峰と讃えられる冒険者達の行く末を思い描いて・・・。





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