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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第六章
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「《絶対防御》」

 それを耳にした瞬間、俺は思いっきり弾き飛ばされた。

 バチィ!ヴンッ……!背中の方で何かが弾けたと思ったら、圧倒的な質量と重量を持った何かが、俺を押し潰し--バキッ!メキィッ!ぐしゃ‥‥っ!その音が最後になった……。

                       ◆

「逃げよ!!」

 なにものをも通用しない《絶対防御》が軋んだ。

 勇者が飛ばされた先の空間がねじ曲げられていく。直ぐさま解除し完全避難を命じて迷宮閉鎖の手続きを取った。

 管理放棄でペナルティーになるが安全を最優先に--圧倒的な質量と重量を持った何かが、空間を押し広げるように出現した。

 音のない軋みを上げて大気が震え、木々が薙ぎ倒され地面が大きく抉れていく。破壊され残骸となった迷宮とその管理地もねじ曲げられた歪みに呑み込まれて……。

                       ◆

 誰かしらの悲鳴が上がった。

 突然の勇者乱入、暴挙によりクルヴァーティオ浄化は失敗し、エンジール・ファソナが歪みに呑み込まれていく。ねじ曲げられた空間から出現した巨大な何かは、アルヴァロ・マーロ自体を呑み込んでしまう程の質量と重量を持っていた。

 ズ…ズゥオン!!大地そのものの鳴動が静まったとき、そこにある存在(モノ)に誰もが絶句する。山と呼ぶには低く、丘と呼ぶには高い……異質すぎる丘陵が、アルヴァロ・マーロのど真ん中に出現したのだ・・・。

†††††

「……なるほどのぅ。災難じゃったな」

「……にしても、土地ごと引き込むなんてとんでもないわね」

 ヘレシャー・グァナンが労い、クランクルム・サチェドゥーズが呆れたような科白を吐いた。

「スェターナ・サート--Satan of the gardenと、名付けたのは貴公か?」

「彼に会ったんだね。彼はあのテーマパークそのものなんだ……世界様に似た性質(タチ)の存在で、僕は何もしてない--彼の名前は付けたけどね」

 ナスヤーニ・メシュケルの問いに答えるラフマ・キナウ。迷宮そのものが自我と意思を持つなど、想像だにしないが……件の道化師と対面した後なら、すんなりと理解出来る魔王達だった。

 サウファ・アーレムの魔王1人と迷宮が2つ消滅し、新たな迷宮が1つ出現した。

 通常ならセットになっている魔王消滅は1人ではなく2人、新たな迷宮が出現しても魔王不在は確定している。しかし……不在の魔王が、あくまでも1人だったのは僥倖であり、幸運と言える事態だった・・・。




 

 



 

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