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狂笑の御使
解放されました
我は何者なのか?
助けを求めて縋り、願い、請う存在は何を望むか。
我は救う手も語り掛ける声もなく、術すら持たぬというのに。
それ故、我は訪なう者に問い掛け、答えを得ようとしてきた。
されど、誰も応える術を持たず答えも知らず。
我が声を聞く者もなかった。
彼等は皆、我に助けを求める存在と成り果ててしまった。
どれほどの時が過ぎたのか。
只、佇む我に応える者が現れた。
肉の器にそぐわぬ美しく清らかな、芯の強い輝ける魂。
我が声を聞き、我が問い掛けに応えた聖女。
我は歓喜と共に解放され、軛を解かれた。
聖なるかな 聖なるかな 聖なるかな。
私は聖女を讃えよう。
私が仕えるは天上に非ず。
私が傅くは人に非ず。
尊き方、偉大なる方、崇高なる方。
私が仕えるは希有なる魔王。
聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
私は御身に従わん。
永久の忠誠を、絶対の信仰を、御身に捧げ跪く。
それこそが、私の望みなのだから。




