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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第五章
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魔王暗殺

 ラヴァン・ソルティスの暗殺未遂からほぼ2ヶ月。ガルディノはテーマパークとして休業期間が明けた。

 試用期間を無事に終え、正式に採用された“御使の羊”とカード使い。入場するのは本当に普通の人々で、彼等のパフォーマンスに歓声を上げ惜しみのない賞賛を送った。

 芸人として過ごすのが日常風景になりつつあるその日、最初に気付いたのはマグスだった。

 観客を選びカードを選ばせ、マグス本人は目隠ししてそのカードを当てる。カードを使ったジャグリングに掌よりも大きいカードがどんどん小さくなっていくマジック……幾重にも人の輪が出来、その中に白い影法師が佇んでいた。

 フードを被っているので顔は分からないが、染み1つない真っ白な装束を纏う存在なんて1人しか思いつかない。しかし、最初の時のような状況になっては元も子もなかったし、本物ではない可能性が高かった。

「そこの…白尽くめの人、お手伝いお願い出来ますか?」

 拒否するかと思ったが、人の輪から出てくる。マグスは用心しつつとっておきのマジックを披露することにした。

「先ずはここに立ってください--今から消失のマジックをお見せします!上手くいったら喝采を!!」

 観客達は好奇心と期待に満ちた眼差しで事の成り行きを見守っている。取り出したのは一抱えもある大きなカード、軽々とジャグリングをしながらぐるりと一周し……短い掛け声と共にカードを放った。

 わぁ!カードに気を取られる観客達。その隙に、隠し持っていた鋭利なピックを白い背中に突き刺した。

「凄い!」

「何処に行ったの?」

「すげぇ!!」

 観客達は割れんばかりの拍手と歓声を上げた。

「どうやったんだ!」

「ねぇ、芸人さんは?」

「こんなのは初めてだっ」

 口々に感想を述べあい離れていく観客達。後に残ったのは散乱するカードのみだった。

                        ◆

「失敗か?」

「止めたんだよ、分が悪すぎた……まぁ、機会は幾らでもある」

 グラウの問い掛けを鼻で笑うマグス。すんでの所で白尽くめの人物は本当に姿を消し、警戒していた返り討ちに遭わず、こうして部屋に戻ってこれた。

(中々だったね)耳元には囁くような声が残っている。魔王を相手にするのだから、そう簡単に成功するはずもなく……。

「当分は芸人でいくさ。やるのは任せた……う~ん、やっぱり寝心地が良いぜ」

 ベッドに飛び乗るマグスだった・・・。

†††††

 何の成果も出せず日が過ぎていく。芸人達のパフォーマンスはますます磨きが掛かり、観客達は引き付けられるが……人気の差が明確になってきた。

 最も集まるのはセアの剣舞。マグスのカードマジックも人気はあったが、セアに比べれば見劣りがするのは否めない。しかし、ラヴァン・ソルティスとの遭遇率は格段に上がった。

 只、狙う機会が中々つかめず彼等は焦りを覚えていた。

「何とか連絡が付いたよ」

 リアから受け取った走り書きに覚悟を決めたグラウは、次に遭遇したときに決行することを決めた。

 マグスとアルデは後方支援に回り、引き付けるのはセア。グラウとロディ暗殺を謀り、リアは成否を確認後ガルディノ脱出を図る--段取りを組み立て機会を待つ暗殺者達だった。



  



          



  

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