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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第四章
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転職のすすめ

とりあえず……過去編終了。

「ここは……あぁ、夢の中だ」

『夢ではないわ!起きなさい、勇者!!』

 呟きに応えるように女性の怒鳴り声が鼓膜を震わせる。顔を上げればプルンと揺れる大きな胸があり、覗き込まれるように顔が間近にあった。

 薄絹だけを纏った豊満な肉体の絶世の美女に、押し倒されているシチュエーションだが……。

「寒くないですか?で…神様で合ってますか?」

『……つまんなぁい!』

 拗ねたように美女が離れる。起き上がった彼は周囲を見回し、見覚えがあるな。と、認識する。淡く白く輝く上も下もない空間にいた。

「僕に用ですか?」

『調子狂うわ……魅力ないのかしら? 貴方達から見れば神様かも、でも違うわ。だって、この世界の概念にはないもの』

 会話するために、心象に最も残る姿を取るそうだが、様々なパーツを無作為に集め構成したのは、心象が全くなかったためらしい。そして、美女は“理”に沿った存在と言った。

 どう呼べばいいのかと問えば、“世界”と答える。曰く、召喚された勇者達の共通認識なのだそうだ。

「では、世界様。僕に何の用があるんですか?」

『貴方のお陰で歪みは浄化されたわ。勇者としての役目は終わったの、だからここにいる……』

「それで?」

『今後の事だけど、貴方にはジョブチェンジして貰う必要があるの』

「魔王になれってことでしょう?でないと、元の世界には戻れない」

 美女--世界はガックリと項垂れた。

 過去のどの勇者よりも冷静で物分かりが良すぎる上に、穏やかな反応しか返さない。魔王同様に勇者の動向を観察してきた彼女は、改めて目の前の青年--救世至人の異質ぶりを痛感した。

 そういえば、最上位の魔王は目の前の青年を確か--“善意の簒奪者”と呼び、元の世界で最も巨悪冷酷無比だと評していた。と思い至った。

 しかし、このままいては、新たな歪みが生じかねない。サウファ・アーレム--この世界についてのレクチャーをするために、世界は気を取り直して彼と対峙した・・・。


 

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