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表現が難しい……特に、戦闘描写が
「「「あ゛ぁぁぁ……!!」」」
叫びとも何とも判断つかない咆吼が大気を振るわせる。憎悪と呪詛に満ちたそれに禍々しい……負の性質を帯びた闇属性の気配が吸い込まれるように集まった。
それを糧に異形と化した勇者は《復活》し、獣と思しき頭を左肩に生やした上に、2本の腕が失われたその姿は、おぞましさを増す--ボッ!残った3本の手の中に火・氷・雷属性の光球がそれぞれ浮かび上がった。
「「「死ねぇ--!!!」」」
放たれる3種の魔法。エロエ・ヴァイスの《防御》は持ちこたえることが出来ず解除されたが、そこにあるのは純白の外套のみで至人の姿はない。戸惑いが一瞬の注意を奪った。
「--絶て」
ヒュイン!!マウロサを丘陵へ運んだ風のドゥーフは、大気と満ちる水を縦方向に切断しながら、その延長線上にいた異形の勇者を圧倒し真っ二つにすると、渦を巻いて飲み込んだ。
ドゥーフは元から存在しており、魔技や聖職者の望みや手伝いをしているのは彼等。だが、人は彼等を認識していないし、声や姿を知ることもなかった……しかし、勇者と呼ばれているこの人間は違った。
彼等の声を聞き、自らの存在意義を忘れ果てていた彼等に、新しい形を与え存分に能力が奮えるようにしてくれた。
十二分の働きを--世界を構成する要素の1つを味方にした彼に、勇者であることに溺れ鍛錬を怠ってきた彼等は、敵にすらならなかった。
「む、だ…だぁ--!?」
飲み込まれ気圧が低下し真空状態に近い中、將人の覇気がドゥーフを弾き散らし……勇者達は吼える。しかし、彼等はその場で硬直した。
「治してあげよう--」
囁くような科白に視線を転じれば、目と鼻の先にエロエ・ヴァイスがいた。
「《治癒》」
露わになった白皙に嵌まった2つの宝玉は、感情の欠片もなく無慈悲なまでに澄んでいる。エロエ・タドゥミール--將人は額に伸びた至人の指に気付かない程の衝撃を受け、エロエ・ジェメオース--吹雪と一颯は三日月を描く口角に釘付けになった・・・。




