表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第四章
45/141

「《極光雨(セラス)》!」

「《雷縛鎖(カティナ・レイ)》!」

 エロエ・ジェメオースの魔法が上空に放たれる。鬱蒼と生い茂る樹海を抜けた2つの魔法は、放物線を描いて標的に降り注いだ。

 吹雪の魔法はファメス・パウクをズタズタにし、藻掻く巨躯を一颯の魔法が網となって封じ込める。もぞもぞと蠢くそれらは、逃れようとするが抜けられず薄気味悪い不協和音の叫びを上げた。

「《燦焱柱(アドゥール)》!!」

「《霊風漸(ウィド・シャヴル!」

 新たな魔法が放たれ、ファメス・パウクは焼かれると同時に切り裂かれ塵と化しては、ボロボロと崩れていく。巨躯は見る間に崩れ蠢くがその動きは鈍い……。

「《破妖光閃》!」

 エロエ・タドゥミールは、勇者としての特性“煉獄主(マトファル)”が顕現し、將人が一閃する度にパウクは次々に滅ばされ、終には残骸すら残さずに消滅した。

「や、やったね……」

「凄いやぁ--勇者だよ!」

 死闘を制したと歓喜する3人の勇者だったが……異変に気付いたのは一颯だった。

 剣を支えに膝を着くエロエ・タドゥミール。兜と甲冑の僅かな隙間から、這い出したのは一匹のパウク--青ざめる彼を怪訝に思う間もなく、將人は剣を手放してのたうち回りパウクが何匹も這い出して……。

「!?」

 突然の恐怖に吹雪は意識せず魔法を放ち、エロエ・タドゥミールは業火に包まれた。

「ひぃ!」

 業火に焼かれる將人から糸を引いて這い出てくるパウク。魔力さえあれば幾らでも増殖出来るという事実は、エロエ・ジェメオースを恐慌に陥らせ正常な判断力を失わせた。

「…め。こ、のぉ……がぁ!」

 火達磨になったエロエ・タドゥミールは起き上がろうとしてそのまま動かなくなり、エロエ・ジェメオースは少しでもパウクから遠ざかり次々に魔法を放った。

 奔放に伸びる樹木が壁となり逃げ場をなくす。魔法を浴び続けたことでパウクは数を増し、黒い絨毯が2人の少年に向かってきた……。

「馬鹿な真似しやがって--《破妖光閃》!」

 黒い絨毯が2つに分断され、その先には將人が立っている。甲冑はあちこちに煤が付いており、焼かれたことを示していた。が、エロエ・タドゥミールは怪我も火傷もしているようには見えなかった。

「死んだんじゃ……」

「だと、思ったがなぁ--話は後だ!」

 何度も必殺技を振るう將人は、別人のように強くなっており唖然とするしかない。ガサリ……樹木が揺れた。

「《氷刃》!」

 一颯の魔法に引き千切られたのはギャンベイル--吸血蔦。生い茂る樹木の間を縫って、何本もうねうねと伸び……3人の勇者は背中合わせで戦わざるえなくなった。

「こいつ等は俺が殲滅する--そいつ等まで手は回らない!」

「任せて!」

「分かった!一颯、手を貸して--」

 吹雪の黒杖に一颯の手が重なり、勇者としての特性“聖贄(オーフェル)”が顕現した。

「「《焔光蛇神(フェイレート)》!!!」」

 火炎の大蛇がエロエ・ジェメオースを守るように囲み、その頭は8つに裂けてギャンベイルを樹海毎火に包む。そこかしこから上がった悲鳴が音の刃となり、彼等は切り裂かれた。

 血飛沫と共に倒れ意識が飛ぶ--が、頭だけが揺り動かされた感覚と共に、2人は生きていることに戸惑う。しかも、素養だけでなく身体能力や体力も向上し……2人は、某キャラクターのようだと思ったのだ・・・。



 

 

 


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ