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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第三章
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アドエアの受難

連続投稿……内容が暗めになります

 翌日から4人の勇者は冒険に出発した。

 目的地は、試練の洞窟の中層。凶暴で好戦的な魔獣が多く、中堅以上の冒険者でも命を落としかねない危険な場所。

「この転送陣で入口に、初めてですからお供いたします」

 ラグランと記録係だという聖職者マウロサを含めた6人は無事に、洞窟の中層--緑青を葺く青銅の大門の前に着いた。

「楽しみだね」

「腕が鳴るよ!」

「行くぞ!」

 重々しい音を立てて大門が開き6人は足を踏み入れた。

 ランタンに照らされた洞窟内を一行の足音だけが響き渡り、重なるように唸り声が近付いてくる。現れたのは牛ほどもある狼に似た魔獣……將人が剣を抜き一閃すると、鮮血を撒き散らし首と胴体が分断された。

 1頭ではなく群れで襲い掛かってくる魔獣を次々に屠っていると、遠吠えが聞こえ残ったのは魔獣の屍体だけ。どうやら不利を悟って逃げたらしかった。

「--呆気ないな」

「小手調べ……グランダ・ルーボと呼ばれる魔獣に近い、番犬のような獣です」

「と、遠吠えがしたでしょう?あれが魔獣マザラム・ルーボ。群れのリーダーです」

 説明を受け先に進む一行。魔獣の中にはアイテムを落とす者もいると聞き、ゲームそのままだとはしゃぐ吹雪と一颯は--。

「出てこーい!」

「怖くないぞぉ~!!」

 いきなりの大声に誰もが驚く。その声に答えるようにズルズルと何かを引きずるような音が近付いてきた。

「「次は僕達だよ!」」

 姿を確認もせず、先手必勝とばかりにそれぞれが魔法を繰りだした。

 轟音と閃光が洞窟内を駆け抜けていく。至人の魔法が衝撃波を防ぎ一行に被害はない……と、突然明るくなった。

 足下には下へ続く階段があり、その先は闇に包まれている。

「--この階層はクリアしたようですね、下へ行きましょう」

†††††

「性格は兎も角……実力は素晴らしいですわ」

 巫女王アリセプテが報告を聞き感想を漏らした。

 冒険初日にも関わらず中層の4割を攻略し、Lvは6まで上がったらしい。しかし、連携は全く図れていない……手探りの状態とは言え、協力しようとする気配は感じられなかったそうだ。

「完全に攻撃と防御に分かれています。競っているのは3人、記録係によると知られずに魔法を使っているようです」

「確か……“治癒師”でしたね?」

「はい。気付いたのは3人が無傷だったからだ。と……」

(怪我1つしてないよ!)(腕を貫通した筈……勇者補正ってやつだろうな)そのような会話に首を傾げるマウロサは、控えめに佇む勇者の口元の笑みに魔法を使っていたのだ。と、確信したらしかった。

「今回は4人でなければ無理なのでしょう……このまま何事もなく終われば良いのですが」

 一抹の不安を抱きつつ彼等ドゥーエの上層部には、4人の勇者と成り行き見守る以外の手段がなかった・・・。




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