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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第二章
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 ヒョオオオォォゥ……。フォウオオォォォ……。錆び付いた門は、ギシギシと音を立ててゆっくりと開いた。

 足を踏み入れると、風とは異なる空気の流れが渦巻く。耳元を行き過ぎるそれは、気の弱い者なら逃げ出すだろう死者の声に違いなかった。

「――光あれ!」

 エスト――白魔技の呪句に《光小精(ヌール)》が現れその光が廃園を包んだ。

『ひぃ――!』

『止めろぉ……!!』

『きゃあぁぁぁ……』

 苦痛を叫ぶ死者の声が彼等を離れ、追いやられるように廃館に吸い込まれていく。ゴトン!音を立てて石の墓標は倒れ、ガラガラと崩れていった。

『おぉ……見つけた、ぞ!!』

 重々しい声なき“声”がすると、彼等の周囲の空気が渦を巻く。いつでも攻撃できるように態勢を整えたタレー達の前に姿を現したのは、長い髭を蓄えた老人――血塗れのローブを纏った魔技のなれの果てだった。

『――者よ。立ち去れ……眠りを妨げてはならぬ、応えてはならぬ……立ち去れ!』

「払え!」

 《光小精》は一行の盾となり魔技に飲み込まれたが、魔技が風船のように膨れ上がり四散する。死者の声――死者や亡霊の集合体は、魔人や魔獣と違って闇属性に近いだけの存在。元が魔技であろうと、光属性は弱点でしかなかった。

「迷宮の前にお化け屋敷か……難儀じゃの?」

「頼りにしている」

 タレーの一言にエストが破顔し呪句を唱えた。

「《光流(スゥマ)》!」

 小さな光の粒子が一行を包む。闇属性に対する結界を張り、死者の声が吸い込まれた廃館に向かう“鷲獅子の鈎爪”だった・・・。






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