表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第二章
15/141

訪なう者と問い掛ける者

……テーマはお化け屋敷

――――我が元に訪なう者よ。応えを示せ……我に問え。我が問い掛けに応えよ! 応えなくば……――――。

†††††

「見るからに……怪しげだな」

「――死と退廃の気配に満ちている。あれが迷宮の入口らしい」


 春季に相応しく陽光は穏やかに降り注ぐ。薔薇のアーチとゲートを抜けた“鷲獅子の鈎爪”一行は、目の前の光景に呆然と立ち尽くした。

 人々が行き交う大通りは、薄桃の大理石と黒曜石を敷き詰められている。通りの端は煉瓦と可憐な花々で区切られ、動物を模したトピアリーが等間隔に並んでいた。

 流されるように大通りを進むと、見上げんばかりの噴水がある広場に出た。

 清冽な清水が光の反射で煌めき人々が思い思いに憩い語らう。子供達の歓声に視線を流すと、大道芸人が様々なパフォーマンスを繰り広げていた。

 噴水の先には窓のある丸い形をした……乗物だろうか?巨大な円盤につり下げられ、ゆっくりと上がっていき、一番高い所からゆっくりと下がっていくのが見える。

「――“大観覧車”っていうらしい。あの中に入って外の景色を見るんだがな、鳥になったような気がするぜ」

「最初は怖いけど、あの天辺にいくとそれは……」

 羨望と恍惚、歓喜の表情が全てを語っている。不意に魔技の言葉を思い出したタレー。

「依頼が終わるまではお預けだ。魔技はこの先にある道を右に行けばいいと言っていた、な」

「山って言うのかな、登らなきゃいけないんじゃない?」

 噴水広場を越えると、秤と剣を持つ女人像が鎮座する小広場があり、そこは十字路の起点になっていた。

「方位としては東、登るのは決定したよ」

「行くぞ!」

 声を掛けてタレー率いる“鷲獅子の鈎爪”一行は、女人像が持つ天秤のある方の脇道に足を踏み入れる。脇道は程なく坂となって森の中へ続き……行き着いた先には、錆び付いた鉄柵に囲われた廃屋敷が在った。

 見たことのない様式の構造物は、広い敷地の墓地の中に打ち棄てられ、朽ちるままの様相。振り返れば鬱蒼とした樹木で下の方は見えず、喧噪や歓声も届かなかった・・・。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ