表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第三章
119/141

アディリザの長い日

一寸切り替(^^;)

「本当に滅亡したのか?」

 信じられないと若干15才の少年王エディ・レイラーンは呟いた。

 王都エディルは砂漠との端境にある。繁栄の礎であった迷宮がなくなってからは衰退の一途を辿ってはいたが、隊商氏族がガドル・パーディアに入るための拠点であり中継地としたことで、都として位置づけられている。

 最大の交易相手は青王都ディアルト。交易とは名ばかりの搾取とガドル・パーディアの異変によって亡国の危機に陥っていた。

 だから、その報せは歓喜と戸惑いをもたらした。

聖域(ヴァスリーサ・マクル)が解放されたのを機に滅ぼされたそうです……それから、勇者がクルヴァーティオ浄化に赴いているとの情報があります」

「…っ!異変は、クルヴァーティオ化だったのか?」

 盛大な溜息と共に玉座に背を預ける若き王に、王政補佐の宰相ソートゥリアはゆっくりと頷いた。

「……交易は砂王都(アディリザ)、元々の相手だからいいか?」

「どうでしょうか?王はかなりの高齢だったと記憶しております。それに、ディアルト滅亡は唯一の砂漠の民

によって成し遂げられたとの報告がありましたゆえ--もう少し様子を見るべきかと」

 宰相の科白を思案し少年王エディはその提案を了承した。

 砂漠の迷宮フスーフィリ・カルクルのクルヴァーティオ化が、本当に勇者によって浄化されるかは保証がない。又、青王都ディアルト滅亡させたのが、街の民と揶揄される砂王都アディリザの意向でないとすれば……。

「焦ることはないか--暴君がいなくなったんだ、エディルの立て直しを早急に図るぞ!手を貸してくださいね。宰相……いえ、叔父上殿」

†††††

「様子はどうです?」

「カディス王は寝室に引き籠もったまま姿を見せず、重臣達も様子がおかしいらしい」

 砂王都アディリザに常駐させている彼の養子(ムスコ)--アクト・クラトルが送ってきた書簡に目を通し、疲労の滲む科白を“砂塵の鷲”族長フロリネフは吐いた。

 高齢であり玉座に背を預けていた姿を思い出せば、容易く想像はつく。もう少し持ってくれれば……老王カディス・ロウゲの懇願に明確な答えは出せてはいない。先延ばしは想定外の事態で出来なくなり……。

「謁見するしかないようだ……守りは頼むぞ」

 書簡をクシャリと握り潰し駱駝を駆った、族長フロリネフ・サクル以下3名の砂漠の民だった・・・。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ