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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
第二章
117/141

描写が難しい……(_ _)

『なぜ…斬ったの?痛いの嫌なのに…怖いのに……ねぇ?ねぇ……なぜなのぉ?』

 にっこりと笑いながら涙を流す少女。に“彼”は後退る。記憶にある姿よりも成長しているが、泣いているのは間違いなく最愛の娘。しかし……剣を振るい肉薄した勇者も又、“彼”の娘だ。どちらが本物なのか?どちらも偽物なのか--混乱し恐慌に陥った。

『--パパぁ?パパでしょう……会いたかったのぉ!』

 追い打ちを掛けるように、舌っ足らずな幼女そのままの口調で歩を進める少女--勇者。両手を広げ抱きつこうとする様子に、心臓を鷲掴みにされるような恐怖を覚え--。

--く、来るなぁ! 《十字波動(ディージェ・ニャヴァ)》!!--。

 パニックを起こした“彼”は刀を振るう。上段から振り下ろし返す手で横に一閃した。

 “彼”が勇者として身に付けた、素養を乗せた最強の魔剣--は、大きな破裂音が刃と化して切り裂き、振動による熱風で塵と化したのはビクビクと痙攣を繰り返していたカターク・ティスの屍体と床一面に散らばる血や肉塊で……程なくしてがらんとした無人の空間に静寂が満ちていった。

『本物--ではなくても、半分は持って行くとは』

 音ではない“声”。空気が揺らぐように渦巻いて影法師が立ち上がり、実体を伴う……その姿貌に“彼”は何度も瞬きを繰り返し息を呑むしかなかった。

 目の前に居るのは愛娘である勇者ではなく……。

『我は魔人シャリ・アハ--アトラールの主。偽りの勇者。いや人形よ、“理”を歪めるか?』

--娘は……美織はどこだ!!--。

 様々な人物の顔が次々に現れては切り替わり、その度に外見そのものが変貌していく魔人は、正確に“彼”の正体を言い当てた。

 “彼”が、魔王ファウダ・ウルティオが自らの死を持って世界に復讐するために、作りだした存在。かつて勇者だった篠頭勇司を、そっくり写し記憶を焼き付けたフィギュアであることを……。

『知りたくば我を倒せ!』

--娘を帰して貰うぞ--。

『我は倒す術を持たぬ……だが、足止めは出来よう。人形に遅れは取らぬゆえ--』

--帰せえぇぇ!--。

 迷宮内の異物--死にかけの冒険者を利用した盾は、消失してしまったため、身を守る術はないに等しい。魔人と言えど、ダメージが大きければ回復不能となり死は免れない……実際にそういう状況にあった。

『《闇影盾(オプス・スレィト)》!』

 本物なら素養は隠しようがなく瞬殺されている。人形ゆえに隙が生まれ致命傷にはならなかった。

 ならば、尽きるまで翻弄し逃げられぬように捕らえてくれよう--魔人シャリ・アハは全能力を解放し、迫り来る人形勇者(フィギュア)を剣撃を受け止めた・・・。




 


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