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迷宮は世界と共に  作者: 北落師門
新章
103/141

 ピシャリ……頬に当たる冷たい感触に、“豪腕の獅子王”一行は覚醒した。

「《光小精》!」

 リードの杖に光が点り彼等の周囲を照らし出す、彼等がいるのはトンネルと思しき場所。磨き上げられた一枚板のように、床や壁には継ぎ目も何もなくどこまでも真っ直ぐに伸びていた。

 現状に混乱しつつ思考を巡らせ……廃墟群で魔人に遭遇し全滅寸前なのを思い出した。

 しかし、この場所は地上ではなく……死は免れたらしい。カツーン!カツーン!杖を付いているかのような音が反響しながら佇む一行に近付いてくる。迎撃態勢を取るカターク達、リードは光が点る杖を音の方に向け素養を纏わせた。

 大多数の闇に在るものは光に弱い。例外もあるが怯ませることは出来る……《魔法強化(コンフォターナ)》が持続時間を伸ばし光度を上げた。

 ウオォォォゥ……強烈な光に漂白され塵と化すのは、死した冒険者達のなれの果て--呼び水になったかのように、ガシャガシャと音の反響は大きくなり、両方から隊列をなして一行に近付いてくるのは、スケルトンだった。

 ガチガチと歯を打合せ一糸乱れず近付いてくるマウト・セヴェリオ--“死の葬列”に、リードは呪句と共に杖を一閃した。

「任せろ--《極光輪(アクウィ・ローリス)》!」

 虹彩を纏う大小の光のリングが、シャラシャラと音を立てながらスケルトンを粉砕し、塵にしながら左右に道を開く。開かれていく道にカターク達は逡巡したが左を選択した。

 カツカツと足音が反響し闇に吸い込まれる。《光小精》の照らしだすのは真っ直ぐに伸びる、生き物の気配が全くない---スケルトンが殲滅されたトンネル。立ち止まることも出来ずひたすら歩く“豪腕の獅子王”だった……。

                            ◆

 深い闇の中で1カ所だけに光--スポットライトが当たる、キラキラと光を弾く玉座に腰を下ろすのは2人しか存在しないシャン・ディーアル--魔王ファウダ・ウルティオ。目の前には幼女から10代半ばくらいの少女--どれも同じ髪、同じ顔、同じ衣装でそこに在った。

「さぁ、出迎えておいで--遊んでもらうんだよ?」

 完成度の高さに満足げな、暗い笑みで送り出されたフィギュア(ソレラ)は闇に溶けた。

『支度が調いました、我が主人よ--』

 次いで音のない“声”と共に、恭しく膝を折るのは魔王になる前の存在--エロエ・ハエレティ、正確にはそっくり写した男性型のフィギュア。かつての自分の姿を憎々しげに眺め、魔王ファウダ・ウルティオは命じる。最大のペナルティーになるのを自覚して・・・。

 

 

 



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