レジーニ(レジナルド・アンセルム)
頭脳明晰、冷静沈着、眉目秀麗、文武両道。
誉め倒しの四字熟語がずらずら並ぶのは、エヴァンの相棒レジーニこと、レジナルド・アンセルムです。
その容姿の良さから、女性からもモテモテですが、当の本人には、モテていることに特別な感慨はありません。
外見は完璧ですが、中身は腹黒いのも、こういった“インテリ系眼鏡キャラ”ならではの鉄板ですね。
辛辣な毒を吐くこともあれば、多種多様な暴言を吐くことも多々あります。それらの矛先は、主にエヴァンですが。
裏稼業の一つ、メメント退治を専門とする〈異法者〉として、アトランヴィル・シティ第九区を中心に活動しています。長年一匹狼を貫いていたレジーニですが、ある日ヴォルフのすすめで、エヴァンとコンビを組むことになりました。
はじめレジーニは、かなり嫌がっていました。それは彼が、他人と深く関わることを避けていたからです。彼の過去に起因することですが、このあたりの事情は「ECHO OF BULLET」で語られています。
過去の経験から心を閉ざし、ヴォルフやママ・ストロベリーにさえも本心を明かさなかったレジーニは、デリカシーに欠ける相棒の登場で、少しずつ変化していきます。
自分の内面に変化が起きていることを、レジーニは薄々自覚していますが、そんなことをはっきりと認めるほど、素直な男ではありません。ツンデレです。
異法者としての新米であり後輩であるエヴァンに対し、レジーニはそれはそれは厳しい態度で教育を施していきます。“躾”は完璧です(第一弾参照)。
アグレッシブに教育的指導を行い、同じミスは「死をもって謝罪」です。相棒の質は己の質、というのが裏社会の通例ですので、先輩の教育法にも熱がこもるというもの。殴ろうが蹴ろうが投げようが突き落とそうが、まったく問題ない相棒なので、若干ストレス解消の捌け口にしているとかいないとか。
ボケと突っ込みさながらなコンビ関係は「ECHO OF BULLET」での出来事を経て、少しずつ対等なものへと変化していきます。
エヴァンを本物の相棒と認め、心からの信頼を寄せるようになるのです。
ただ、そんなことはやっぱり面には出しません。ツンデレです。
内面の変化は、外見にも表れます。まじめな公務員や銀行員のようにきりっとまとめていた髪は、2nd意向はセットしなくなります。スーツを着用し、視力が悪くないにも関わらず眼鏡はかけ続けますが、ヘアセットをやめることで、ほんの少し心が解きほぐれたことをアピールしているわけですね。
上質なスーツに眼鏡、高級なマンションに住んでいるということを、ステータスの一つとして、レジーニは捉えています。それらのステータスが人に与える印象を利用し、自分に都合のいい交渉結果を導くなど、巧みに活用しています。これも、裏社会で生き延びるためのコツです。
レジーニがラッズマイヤーとの決別後、〈異法者〉への道に進んだのは、ラッズに対する憎悪から湧き上がる破壊衝動の抑制と、敢えて危険な場所に身を置くことで死期を早めようとする、無意識下の自殺願望が理由です。
この仕事を紹介したのはヴォルフですが、ヴォルフとしては「何かすることがあれば、死にたいという衝動から、頭が離れるのではないか」という思いを込めていました。
同じ理由で彼は、エヴァンとコンビを組むことをレジーニに進言しています。
メメント退治の仕事に愛用する武器――クロセストは剣の形をしています。
名称の〈ブリゼバルトゥ〉ですが、仏語の“briser”(壊す)と“vertu”(善)をつなげた造語です。
BWRには、こうした仏語をつなげた造語が、専門用語として多数出ています。それらの解説は、またいずれ。
冷気のフェノミネイターを搭載した〈ブリゼバルトゥ〉は、レジーニが異法者としてデビューする時、アンダータウンの主ファイ=ローから買ったものです。元は〈SALUT〉で使用されていたモデルですが、十年前の事件で裏の市場に流れ、武器職人の手で改造が施されています。
さて、レジーニの昔の設定ですが、紆余曲折期間の一部を披露しますと、こうです。
どこかで見たことあるなーと思ったら、そうです、これは関西弁コンビのでかい方、ディーノ・ディーゲンハルトその人です!
実はレジーニの前設定キャラデザを、そのままディーノに使ったんですね。なぜかと言うと、初期のレジーニの性格はディーノそのもの――穏やかで人当たりがよく、腰が低い――だったからです。
では関西弁コンビの凶悪チワワの方はというと、お察しの通り、初期エヴァンを改良したものです。関西弁コンビについては、別項で解説いたします。
レジーニの初期設定についてもう一点お話しますと、ほんとの初期、レジーニというキャラクターの産声があがったその時は、……実はスキンヘッドでした!
つまりエヴァンとレジーニの、ほんとの大元は、ドレッドヘアーの黒人とスキンヘッドの白人という、ごっつい組み合わせだったんです。今のデザインにしてよかったと、つくづく思います。ちなみにスキンヘッド時代には子どもまでいました。妻は早くに亡くしており(ルシアの原型です)、やはり過去の出来事によって心に傷を負っている、という設定でした。
魔法が通用していた前設定だと、妻の残留思念と会うことで過去にけじめをつける、ということだったのですが、これがつまり「ECHO OF BULLET」となって昇華したわけです。
もう一つ裏設定として、レジーニは実は猫が苦手です。猫アレルギーです。
本編とは関係ない裏設定なので、この先本編中にそういった描写が出てくることがあるのかどうか未定ですが、猫の死骸から化けたメメントと対峙した時、少しアレルギー反応が出てどうのこうの、なんていうシーンがあったら、ちょっと面白いかもしれません。
エヴァンとレジーニの性格対比や二人のあり方などは、バディものによくある設定ですが、だからこそこれしかない! という気概を込めてキャラクターを形成しました。
新しいコンビ像ではありません。でも、これこそがエヴァンとレジーニなんです。
少年時代から成人にかけて、辛い経験を重ね、苦しんだレジーニですが、やっと目指していた旅の終着点――“帰る場所”を見つけ、前を向いて歩いていけるようになりました。
そんな彼には、新しい出会いが待っています。
彼女は4thで登場する予定です。