決戦
これを入れなければあと1話で、最終回です。
最後までお付き合いください。
俺達は今、本部の目の前に来ている。
「い、いよいよですね」
俺は、緊張して声が上ずってしまった。
それを聞いた若村さんが笑いをこらえながら
「そ、そうだな」
と言った。
「ちょっ!若村さん!笑わないでください!!」
そう言ったら、とうとう若村さんは我慢しきれなくなって大笑いした。
大笑いをしている若村さんをよそに、もう一度不気味にそびえたつ本部を見直した。
「どうした?」
「い、いや。今からあそこに乗り込むんですよ。やっぱりちょっと緊張します」
「ははっ、まぁ仕方ないけどな。でも、もう決めた事だし」
「まぁ、そうですね。・・・よしやりますか!」
「そう、その意気だ!」
ロビーでは、とんでもなく強そうな男達が、数百人ぐらいいたのだが2人で数分位で倒してしまった。
「なんだ、骨がねぇなぁ~」
「そうですね」
2人は、倒れている男達に見向きもせず、上へあがった。
エレベーターの中で、若村さんは、いきなり話始めた。
「本当はな・・・お前を選んだ理由は違うんだ」
「えっ?」
「お前に話した時は‘上が普通の男子が良い’といったろ。でも、本当は違う」
「どういうことですか?」
「それはな、‘俺’が普通の男子が良いと言ったんだ。・・・上は、運動神経抜群の奴が良いと言った。俺も最初はそう思った。だから一回は、それで鍛えたんだ。本当はこの部隊は大勢いたが・・・お前は、分かんだろ」
「あぁ、生意気になったんですね」
「あぁ、そうだ。それであいつらは、自分の強さに甘えて‘特訓’をさぼったりしていた」
(あれならさぼりたくなるよな)
そう思っていると、若村さんが少し悲しげな口調で話を続けた。
「その時に、‘大事件’が起こったんだ」
「‘大事件’?」
「お前は、知らないだろうな。その事件で、俺達の部隊が出ることになった。敵は、ある国の元傭兵部隊だったで、俺達以上に特訓をしている奴らだったかもしんねぇ・・・。でも、その時は自分達が強いと思っていたから俺の命令を無視して突入して行った・・・」
「負けたんですね」
「お前、察しいいなぁ」
と若村さんは悲しい笑顔を浮かべながら言った。
俺は続きが気になった。
「それからどうなっ・・・」
そう言いかけた時、エレベーターが、止まった。
「また、今度な」
若村さんは、笑いながら言った。でも俺には、無理やり作った笑顔にしか見えなかった。
ドアが開いた瞬間、上の連中はびっくりするくらいくつろいでいた。
「な、何だお前らは!?」
俺達は、唖然とした。
「・・・若村さん、俺達の上司って・・・」
俺が言いたいことが分かったのか、若村さんは
「俺に聞くな。俺だって初めて会ったんだから。ほとんど手紙だったからな」
「ど、どうしてここにいるんだ!?下の奴らは!?」
「あのザコどもなら倒しましたけど・・・」
「なっなに!?」
「で、今からあんたらを倒すんです」
「なっ・・・。ちょっ、ちょっとまて!金ならたくさんある。それで許してはくれないか?」
「若村さん、これって」
「死亡フラグだな。間違いなく」
「えっ?」
上の奴らが口を開いた瞬間に、若村さんはもうそいつの目の前まで来ていて、
「命が金で買えるならどんだけでもいただきますが、無理なのでね」
と、満面の笑みでそう言って、そいつの腹にこちらが見ても痛いほどのパンチを食らわせた。
そこからは、もうお祭り騒ぎみたいな感じだった。
鮮血が飛び(上の連中)、うめき声が絶えず(これも上の連中)、ばたっ、ばたっ、と次々に倒れて言った。そして最後に残った奴に若村さんは、
「次こんなことしてみろ、全員これよりも素敵な事にしてやるよ」
と、またしても笑いながら脅迫した。
それから、俺達は普通に正面玄関から出て行き、大犯罪者となってしまったのだった。