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芸術肌・千月

●某日、某美術館にて●



三「退屈やあらへんか?」



千「大丈夫大丈夫。

  三ちゃんこそあたしに合わせてないで好きに見ていいからね?」



三「ん。俺なりに好きにしとるつもりやで」



千「またそうやって変に気を回すんだから。

  あたしも展示が見たくて来たんだから好きに見て回るのに。

  あ、あれかしら?一人じゃさみしいのかな?」



三「そんな訳あるかっ。Mr,お一人様とは何を隠そう俺のコトや」



千「知ってるわよ。一人で遊園地までいっちゃうイッちゃってる人だもん」



三「別に遊びに行った訳やあらへんし、そこまで痛くもないやろうよ」



千「遊びみたいなもんでしょ?

  事情はどうあれ、事実のインパクトを受け入れられない」



三「そやって感情と感覚だけで生きてる千づっちゃんを尊敬するわ」



千「ふふん、もっと賞賛しなさい」



三「遠慮しとくわ。

  じゃ、しばらく別行動な」



千「何よ。褒めてくれたっていいじゃない。

  ってそっち順路と逆だけど?」



三「順番に見て回らんでもええってアナウンスでも言うてたやろ。

  それに、さっきの風景画もうちょっと見たい」



千「やっぱ合わせてくれてたんじゃない。

  馬鹿ねぇ。ほんと」



三「褒め言葉どーも。んじゃ、また後でな。

  見終わったら出口前で集合で」




   ~数十分後~




千「あ、お待ちどうさま。待たせちゃった?」



三「や、別に。それより、千づっちゃんこそ

  俺に気ぃ遣てゆっくり見てなかったんやないか」



千「いやぁ、時間を忘れるわね。

  なんかこう溢れてくるのよ。絵から。何かが」



三「千づっちゃん……。世の中には、言葉にせん方がええもんもあるんやで」



千「ちょっと。今、あたしの語彙の無さを軽く馬鹿にしたわね?」



三「何でそうなるん。してへんよ。感動したんやろ?」



千「違うわよ!!」



三「は?」



千「感動じゃないの!感ッ動した!のよ!!」



三「……たまーに、ラーメンズのネタ仕込んでくるよな」



千「三ちゃん、好きじゃない。これが一番伝わりやすいと思って」



三「よく分かったわ。分かりすぎるほどに」



千「でしょう。うん、来て良かった」



三「たまには美術館もええなぁ。

  直に見ると、絵の奥にある時代やらも見えてくるし」



千「……三ちゃん?」



三「ん?」



千「三ちゃんは一体何を見に来たの?」



三「いや、絵やけども?」



千「そんな穿った物の見方でどうするの!?

  純粋に絵から何か受け取ることが出来ないの!?」



三「せ、せやから当時の時代背景やら、

  作品の生まれてきたヒストリーなんかをやな」



千「そんなのは資料集でも読んでなさい!!

  まさか三ちゃんがそんな鑑賞してるなんて夢にも思わなかった。

  三ちゃん、前に自分でラーメン屋の例えしてたの覚えてる?」



三「覚えとるよ。創業何年、伝統やら秘伝うんぬんやなくて、

  自分にとって美味いかどうか、それがラーメンの価値や。

  っちゅうやつやろ?まぁ、それと同じやと言えば同じなんか」



千「その通りよ。

  絵画そのものから何かを受け取るのが絵画に対しての真摯な態度なの。

  幸い、まだ出口から外には出ていないわ」



三「……つまり?」



千「もう一回初めから見ていきましょう。

  いい?心の目で見るのよ?」



三「どこの拳法師範やねん」






 芸術性。文芸の世界で言えば、芥川賞や三島由紀夫賞なんかが純文学の賞でしょうか。芸術性のある文章とは何か。

 一体なんでしょうねえ?や、これは三衣が未熟である故に定義ができておりません。


 そもそも、定義するとかそういった類のものではないかもしれません。

 理系畑出身の三衣には良く分からない感覚です。だから面白い。


 様々な人が、アクセスもアプローチも違うのに、『言葉』という共通のツールを使って文章が作れる。これは『言葉』というツールの汎用性が異常に高いためだ、と化学科出身の素人文士は思う所存です。

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