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独り者・三衣

●某日、大阪駅構内にて●



千「絶ッ対ヤダ!」



三「はぁ!?ワケわからへん。何がいらんの?」



千「イヤだからイヤなの!」



三「あかん。お決まりのパターンや」



千「だから折れてよ。

  三ちゃんが折れてくれたら丸く収まるんだからさ」



三「折れるも何も俺は当たり前の選択をやな」



千「うるさーい!ほら、電車来たわよッ」



三「反対方面行きの電車が、やけどなあ」



千「環状線なんだから同じよ同じ!」



三「まぁ、少し遠回りするだけやから問題ないか。

  へいへい。御供つかまつりまひょ」




   ~車内にて~




三「なぁ」



千「んー?」



三「ほんまに何で遠回りしようと思たん?」



千「しつこいなぁ。気分よ。ノリよ。

  次にきた電車に乗ろうとふと思っただけよ。

  三ちゃんだってあるでしょ。気まぐれが」



三「まぁな。それにしても急やったもんやから」



千「心の狭い男は嫌われるよー」



三「別に気にせんけどなぁ」



千「気にしなさいっての」



三「せやけど、俺に彼女が出来たら千づっちゃん困らへんか?」



千「……確かにそうね。んじゃ前言撤回。

  三ちゃんは三ちゃんらしく生きなさい」



三「何で上から目線なんや。ってか彼氏誘ったらええのに。

  ええと思うで。美術館デート。オシャレやん」



千「彼、今日は仕事なのよ。フリーターの辛い所ね。

  そっちこそ一人で美術館に行くくらいなら誰か誘ったら?

  いないの?気軽にデートに誘えるような子」



三「今日はもともと1人で行くつもりやったんよ。

  せやのにどっかの誰かさんが暇やからって勝手に付いてきたんやないか」



千「あたしも行きたかったのよ今回の特別展。

  でも1人はちょっとなって思ってたのよ。

  ねえ、平気なの?」



三「何が?」



千「1人であちこち行くのが」



三「気にならんなぁ、別に。行きたいと思たら行ったらええんちゃうの?」



千「良くも悪くも唯我独尊的な考え方ね。

  ねぇ。まさかとは思うけど……」



三「ん?」



千「カラオケとかも1人で行く時あるの?」



三「あるよ。皆でいくのとはまた違った楽しさがある」



千「バイキングは?」



三「あるなぁ。食べることに集中できるのがええな」



千「焼肉」



三「あるある。ラーメン食べに行くのと変わらんよ」



千「……スイーツCafe」



三「甘党の俺に愚問やと思わんか?当然あるよ」



千「じゃあ……、水族館」



三「ある。カメが見たくなってこの前行ってきた」



千「……遊園地、は流石にない……よね?」



三「何をそんなにおそるおそる聞いとるんや?あるよ?」



千「わーお。びっくりだわ。

  あたし、三ちゃんと友達でいられる自信なくなってきた」



三「お、ついに彼氏から俺に乗り換えか?」



千「乗り換えは3つ先の駅よ。

  三ちゃんに彼女が出来ない理由ちょっとだけ分かった気がする」



三「随分な物言いやなぁ。ま、今は恋愛に興味はないけどな。

  この先どうなるかは分からんけども」



千「今も、でしょうに。

  ま、干物にならない程度には相手してあげる。カワイソーだから」



三「そらどーも。

  千づっちゃんの愚痴ならいつでも聞いたるよ。カワイソーやからな」



千「まぁ、感激だわ。じゃさっそく聞いてよ。昨日ね……」



三「ノータイムで愚痴るんかい」





 無駄は人生において必要不可欠です。

 無駄の言葉の意味と反するのではないか、と?


 無駄【名・形動】

 ・かいがない事

 ・役にたたない事


 三省堂 新明解国語辞典 第四版より


 何も矛盾しておりませんよ?

 役に立たないものを集めない人生など、深みがない。役に立つから集める。役に立ったから無駄ではない。それは大きな間違いです。

 あれこれたくさん抱えて過ごす方が、面白そうではないですか。

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