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100回目の契約結婚 〜今度は殺される前に、旦那様を暗殺します〜  作者: 河野章


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第6章:最後の晩餐、あるいは毒なき処刑台(ベッド)

 契約終了、最後の日。

 ダイニングを支配していたのは、刺すような緊張感ではなく、拍子抜けするほどの静寂だった。テーブルに並ぶのは、最高級の鹿肉のローストに、ルビーのように輝く赤ワイン。エルナはその傍らに立ち、手の中に隠した呪毒の小瓶を、ドレスの隠しポケットの中で握りしめた。

 だが、キリアンが口にした料理にも、差し出されたワインにも、死の香りは微塵もしなかった。


 カチャリ、と銀のナイフが皿に触れる音だけが響く。キリアンは淡々と、しかしどこか慈しむように食事を進めていた。

「……毒は、入っていないのね」

 エルナの問いに、キリアンは手を止め、漆黒の睫毛を揺らして彼女を見た。

「今日という日の主導権は、君にあるべきだ、エルナ。私が君を殺すのではない。君が私を殺すか、あるいは私が君に殺されるのを待つか……。この一年で、君は十分にその権利を獲得した」

 彼はまるで、聖餐を終えた殉教者のような清々しさで微笑んだ。エルナの胸を、言いようのない焦燥が焼く。

(この人は、私が殺すことを望んでいる。私の手で『完成』されることを待っている……!)

 喉を通るワインは、毒よりも熱く、重く、彼女の腹の底に溜まっていった。



 寝室の重い扉が閉まった瞬間、キリアンの理性は完全に灰燼に帰した。

 彼は逃げようとするエルナを乱暴に壁に押し当て、その細い手首を頭上で片手の中に封じ込めた。もう一方の手が、高価なシルクのドレスの襟ぐりに指を掛け、一気に引き裂く。悲鳴のような布擦れの音と共に、月光の下、陶器のように白いエルナの肢体が剥き出しになった。

「エルナ、私のエルナ……。これが最後だ。明日、私が死ぬとしても、今この瞬間だけは、私のものだと言え」

 キリアンの飢えた眼差しは、もはや獲物を屠る獣のそれだった。


 彼は跪き、露わになった彼女の豊かな乳房を、大きな掌で押し潰すように鷲掴みにした。柔らかな肉が指の間から溢れ、白い肌にどす黒いほどの紅潮が刻まれていく。キリアンは、その先端――恐怖と期待に硬く立ち上がった乳首を、逃がさぬよう熱い唇で捉えた。

「ん、ぁ……っ、キリアン……ひどいわ……っ!」

 荒々しい舌使いが、敏感な先端を執拗に転がし、吸い上げる。エルナは背中を反らせ、拘束された腕を虚しく動かした。キリアンは空いている手で、未だ蹂躙されていない方の乳首を指先で捻り、転がし、時には肉を千切らんばかりの力で引き絞る。

「あ、あああぁっ! だめ、……そんな……っ!」

 激痛に近い刺激が、エルナの脳髄を直接揺さぶった。快感と痛みが泥のように混濁し、彼女の膝はガクガクと震え、腰が意思に反して淫らに揺れ始める。

 キリアンはそのまま、引き裂かれたドレスの裾をさらに捲り上げた。黒い革手袋をかなぐり捨てた彼の素肌は、熱病に冒されたように熱い。その指が、既に透明な蜜に濡れ、煮え立つような熱を孕んだ秘丘へと迷いなく沈み込んだ。

「やぁっ! あああ゛っ! そこは、触らないで……っ!」

 エルナの懇願を無視し、彼の長い指が感度の頂点――充血して硬く勃起したクリトリスを捉えた。漆黒の爪が薄い粘膜をかすめ、柔らかな襞を強引に割り、最も敏感な核を執拗に、暴力的なまでの速さで擦り上げる。

「んやぁ……あ、あ゛ああっ!! ひあぁぁ゛あああっ!!」

 エルナの視界が火花を散らして弾けた。99回の死、その冷徹な記憶さえも、この剥き出しの「生」の快感の前では無力だった。彼女の足元は完全に崩れ、キリアンの漆黒の髪を振り乱した頭に縋り付くしかなかった。内部の粘膜が激しく波打ち、侵入する彼の指をねっとりと締め上げ、溢れ出した蜜が彼の掌を、そして壁をドロリと汚していく。

 キリアンはエルナを抱き上げ、シーツが冷たく光るベッドの中央へと放り出した。

 広がる銀髪、乱れた肢体、そして屈辱に濡れたアイスブルーの瞳。キリアンは自らの猛り狂う怒張を解き放つと、エルナの華奢な脚を折れんばかりに割り開かせ、逃げ場を塞ぐようにその中央に陣取った。

 結合の瞬間、エルナは雷に打たれたような衝撃に、喉を鳴らして仰け反った。

「あっ! キリアン、あ、あぁぁあああ……っ!!」

 今夜の彼は、殺意という名の情欲を纏った生そのものだった。突き上げる衝撃は背骨を突き抜け、脳髄を白く、熱く塗り潰していく。エルナの秘部は、彼の巨大な猛りを受け入れるたびに激しく鳴動し、過去99回の冷たい死の感触を、一つずつ焼き払っていくかのように狂おしい熱を帯びた。


 そして、ついに運命の瞬間が訪れる。

 キリアンはエルナの細い腰を力任せに浮かせ、その自由を奪うように、全体重をかけて彼女を押し潰した。

「もっと奥へ、……お前の、一番深い、誰も触れたことのない場所を、私で満たさせてくれ……!」

 彼の剛硬な先端が、女の聖域――その奥に潜む子宮の入り口を、暴力的にこじ開けるように、力任せに突き入れられた。狭いs急行が悲鳴のようにきしみながらキリアンの命の象徴、太い男根を受け入れていく。尋常ではない力でこじ開けられた子宮が震えてとうとうキリアン大須の先端をぐっぷり咥え込む。

「ん、あ、あああぁぁぁっ……!! キリアンッ! きりあんっ! いやぁああ゛ああああっ!!」

 エルナは、内臓を直接掴み出されるような、恐ろしくも神々しいまでの蹂躙感に絶叫した。

 未だかつて、どのループのキリアンも踏み込まなかった、命のゆりかご。

 そこは、生命の源であり、変化の象徴。

 キリアンの熱い拍動が、子宮の薄い粘膜越しに、エルナの魂に直接ダイレクトに伝わってくる。ひくつく子宮の内膜はキリアンに絡みつき柔らかな襞はキリアンを包み込む。

(侵される、……私の、私だけの神域が、この、私を殺し続けた男に、汚されていく……!)

 エルナの脳内では、100回分の凄惨な死の記憶が走馬灯のように駆け巡り、目の前の暴力的な快楽と衝突して、彼女を精神の崩壊へと追いやっていく。

(殺したいほど憎いのに。私のすべてを奪った怪物なのに……。どうして、こんなに温かくて、愛おしいの? この奥深く、私の中心が、彼の熱を吸い取って、離したくないと鳴いている……!)

 葛藤は、もはや絶頂へのまきでしかなかった。

 彼女の子宮は、侵入者であるキリアンを執拗に締め上げ、彼の精髄を一滴残らず搾り取ろうと、飢えた獣のように狂おしくうねった。肉壁が波打ち、彼の硬い隆起の一つ一つに吸い付き、剥離を拒む。

 エルナは、キリアンの太い首筋に腕を回し、その強靭な肩に深く、深く歯を立てた。肉を食いちぎらんとするその痛みさえ、キリアンにとっては最上の求愛だった。

「ひあああっ! だめ、そんなに、奥までぇ、……私が、私でなくなってしまう……っ! キリアンっ!!」

 キリアンは獣のような咆哮を上げ、彼女の子宮内へ、命の奔流、彼女への執着や恋着とともに熱く濃い精液を叩きつけた。

 ドクドクと、脈動するたびに熱い液体が子宮を埋め尽くしていく。

 それは死の静寂を打ち破る、強烈な生の肯定。

 エルナの身体は弓なりに反り、意識の境界が完全に崩壊した。

 真っ白な視界の中で、彼女は確かに感じていた。自分の最も深い場所で、キリアンという猛毒が、100回分の絶望を糧にして、新しい命の種火となって灯ったことを。

 二人は、互いの体温と、溢れ出した体液の海の中に沈み込みながら、一つになったまま離れようとしなかった。エルナの子宮に残るキリアンの熱は、もはや消えることのない刻印として、彼女の魂を永遠に、そして生々しく縛り付けていた。

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