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100回目の契約結婚 〜今度は殺される前に、旦那様を暗殺します〜  作者: 河野章


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第4章:血と蜜と肉体の聖餐(せいさん)

 毎晩、寝室では二人の攻防が繰り広げられていた。

 キリアンは、喘ぐエルナの腰を両手で掴み、力任せに自分の方へと引き寄せた。  

 彼の指は、彼女の柔らかな臀部に深く食い込み、陶器のような肌を真っ赤に染め上げていく。手袋を脱ぎ捨てた彼の掌は、熱病に冒されたかのように熱く、その熱が触れるたびに、エルナは電気に打たれたような快感に身を震わせた。

 キリアンの剛硬な楔が、エルナの秘部を容赦なく割り、その奥底を蹂躙し始める。結合部は互いの体液でどろりと濡れ、激しい摩擦を繰り返すたびに、白く泡立った蜜がシーツに飛び散った。

「あ、っ! あああぁっ! キリアン……っそこ、そこはダメ……っ!」  

 エルナは仰け反り、シーツを指がちぎれんばかりに掴んだ。彼女の胎内は、侵入者であるキリアンの熱を、まるで敵意を剥き出しにするように、あるいは喉を鳴らして歓迎するように、執拗に、ねっとりと締め上げていく。肉壁が波打ち、彼の硬い隆起の一つ一つを、吸い付くように愛撫する。キリアンは、その貪欲な締め付けに耐えるように、喉の奥で獣のような唸り声を上げた。

「逃がさないと言っただろう、エルナ。お前の、この淫らな肉の奥まで、……私のものだ」

 突き上げるたびに、エルナの最奥――受精を待つ子宮の入口が、彼の容赦ない先端に叩きつけられる。その衝撃が伝わるたび、彼女の脳内では火花が散り、意識が遠のいていく。  彼女の胎は、キリアンの重厚な存在感に無理やり押し広げられ、彼の形そのままに作り替えられていくような、圧倒的な征服感に支配されていた。内部の粘膜が激しく擦れ合い、生々しい肉のぶつかり合う音が室内に響き渡る。  

 エルナは、自分の体の中から女としての本能が、泥のように溢れ出してくるのを感じていた。殺したいほど憎い男に、これほどまで無様に、肉の悦びに溺れさせられている。  その屈辱が、逆に彼女の感度を狂わせ、指先までが真っ赤に火照っていく。

「あ、っ、ああ! もっと、もっと奥まで……、私を……私を殺して……っ!」

 エルナの叫びは、もはや悲鳴か、それとも歓喜の産声か。  

 キリアンは、彼女の腰をさらに高く持ち上げ、自らの体重をすべて乗せて、最後の一撃を叩き込むように突き入れた。彼女の狭い通路は、限界まで引き伸ばされ、キリアンの熱い拍動を、その薄い粘膜越しにダイレクトに感じ取っている。二人の結合は、もはや単なる性交ではない。  

 それは、血と精、そして殺意という名の毒を、互いの体内に注ぎ合うための儀式だ。   キリアンの血管が浮き出た腕が、エルナの細い首を再び強く、……死の直前を思い出させるほどの力で締め上げる。

「……エルナ……。お前の、この熱い胎内へ、私のすべてを流し込んでやる。二度と、……他の誰にもこの中を許さないように……!」

 絶頂の瞬間が、津波のように押し寄せた。エルナの胎内が、かつてないほどの激しさでキリアンを絞り上げ、彼の精髄を、喉を乾かせた獣のように欲しがった。    

 キリアンの腰が激しく打ち付けられ、彼の咆哮と共に、熱い奔流がエルナの深奥へと解き放たれる。ドクドクと、心臓の鼓動と同じリズムで、彼の命の種子が彼女の胎内を埋め尽くしていく。エルナは、その熱さに失神しそうになりながらも、彼を離すまいと脚を絡め、彼の肩を血が出るほどに噛み締めた。

「ああ、あぁぁぁあああんっ!!!」

 真っ白な視界の中で、二人のリビドーが激突し、昇華する。  あの日、森で出会った幼い日の自分たちが、この血生臭い情愛の果てに、ようやく巡り会えたような錯覚。  キリアンは、震える手でエルナの顔を包み込み、涙で濡れた彼女の瞳を見つめた。  そこには、殺意でも、恐怖でもなく、ただ、一人の男にすべてを委ねた「女」としての深い愛着が宿っていた。

「エルナ。ようやく手に入れたよ。お前の、……この震える魂を」

 キリアンは、彼女の唇に、血の味のする接吻を深く、深く、落とした。    

 嵐の後の静寂。  

 二人は、互いの体温と、溢れ出した体液の中に沈み込みながら、一つになったまま離れようとしなかった。エルナの胎内に残るキリアンの熱は、消えることのない刻印として、彼女の魂を永遠に縛り付けていた。

 百回目の夜。二人は、殺意という名の純愛にその身を焼き尽くされながら、死よりも深い眠りへと落ちていった。

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