【第4話】夜の襲撃と、最初の“ざまぁ”
夜。
村の畑の隅に、薪で焚き火を起こしていた。
ハクは周囲をぐるぐる巡回している。
ミナは膝の上でウトウトしながら、時々耳をぴくぴく動かす。
「……寝てていいんだぞ。」
「……やだ。ルカおにいさんが魔物に食べられたら……やだ。」
「誰が食われるかよ。」
オレはそっとミナの頭を撫でる。
耳の先がほんのり赤くなるのが、たまらなく可愛い。
森の奥で、枝が折れる音がした。
——来たな。
闇の向こうに、赤い目がいくつも光った。
森狼の群れだ。普通の村人じゃ絶対に勝てない凶暴な魔物。
「ハク。」
ハクが牙をむき出して一声吠える。
森狼たちは唸り声を上げて一斉に飛びかかってきた。
「——《無限料理庫》。
出番だ。」
オレは空中に手をかざす。
「《爆裂スパイス・ミートボール》。」
手のひらに肉団子大の熱球が現れ、オレはそれを狼の群れに投げ込む。
——ボンッ!!
鈍い爆発音とともに、狼たちはひっくり返り、煙の中に転がる。
倒れた狼の身体は見る間にスパイスの香りを放ち、
骨も残さず《無限料理庫》に吸い込まれていった。
「料理人のくせに……随分派手じゃねえか……。」
オレは肩をすくめて笑った。
ミナが目を丸くしてオレを見つめる。
「……すごい……! 本当に一瞬で……!」
「ほら、怖くないだろ。」
ミナは泣きそうに笑って、オレにぎゅっとしがみついてきた。
狼の肉は無事、明日のシチューになる。
村の畑も無傷だ。
その頃——
遠く離れた王都の宿屋で、レンと《白銀の牙》の連中は、
分配した食糧が底をつき、食べ物を求めて言い争っていた。
「おいレン、あの料理人を追い出すんじゃなかったな……。」
「黙れ! 誰があんな役立たずに頼るか……!」
汚れた皿の上に残った干からびたパンが、虚しく転がっていた。
ざまぁは、まだ始まったばかりだ。




