【第1話】追放と最初のスープ
おれの名前はルカ・クロス。
S級冒険者パーティー《白銀の牙》に所属していた——といっても、戦士でも魔法使いでもなく、ただの“飯炊き”だった。
強くない。スキルもない。誰でもできる雑用係。
それが、おれの肩書きだ。
——だった、の話だ。
役立たずはいらない、と笑いながら追放された。
命がけで支えた仲間に、あっさり捨てられた。
終わった、と思った。
でも。
【ユニークスキル《無限料理庫》が覚醒しました】
おれは気づいてしまった。
——世界最強の飯炊きは、すべてを支配する。
どんな魔物も、どんな貴族も、どんな裏切り者も——おれの一皿で跪く。
これは、最弱と笑われたおれが、
誰にも縛られず、誰にも奪われず、
仲間と、美味いメシと、ほんの少しのざまぁを添えて、
異世界で好き勝手に生きる物語だ。
おれの料理で腹を満たせ。
おれのスープで膝をつけ。
おれの食卓から、すべてが始まる。
「ルカ、お前は今日限りでパーティーを抜けろ。」
ギルドの奥の会議室で、パーティーリーダーのレンが冷たく言い放った。
オレ、ルカ・クロスは最弱の料理担当。
戦えない、魔法も微妙、ただの食材運びとして、S級パーティー《白銀の牙》に居候していた。
「……はは、冗談だろ?」
思わず乾いた笑いが出る。
だって、昨日までレンも仲間も「お前のメシが一番うまい!」って笑ってたじゃないか。
「役立たずは要らないってだけだ。お前の料理の味なんて、スキルで複製すれば済む。」
背後で控える仲間たちは、誰もオレを見ない。
見張り役の女魔法使いのエリナだけが、何か言いたげに唇をかみしめていた。
気がつけば、オレの装備と食料袋は外に放り出されていた。
追放された。
路銀もなし、行き場もなし。
オレの頭の中で、ずっと眠っていた文字が淡く光った。
【ユニークスキル《無限料理庫》が覚醒しました】
……は?
突如、空中に青い画面が浮かび上がる。
《無限料理庫》
・あらゆる食材を無限生成できる
・料理スキルすべて最大
・料理によるバフ効果を自由付与
……え、チートすぎない?
試しに周りを見渡すと、腹が減って力尽きかけていた野良犬が一匹いた。
オレは手を伸ばす。
「【無限料理庫】……《ポタージュ・オブ・ヒール》」
目の前に湯気を立てたスープが現れた。
犬に差し出すと、がつがつ飲み干して、みるみる毛並みがつやつやになり、尻尾を振り出した。
「すげぇ……。これ、全部オレの?」
裏切られた悔しさが、じわじわと笑いに変わっていく。
よし。
オレは誰にも頼らない。
美味いもん食って、たまにチートで魔物を追い払って、誰よりも自由に生きてやる。
ついでに——
オレの味を舐めて捨てた《白銀の牙》には、最高の“ざまぁ”をプレゼントしてやろうじゃないか。
こうして、最弱料理人の最強スローライフが始まった。
次回は 村にたどり着いて、腹ペコ美少女(獣人)を拾う 乞うご期待!




