(番外14)ルキフェル、ゲームに参加する
「んー、司法試験受けようなんて思ってる人はみんなできるんじゃないかな」と、キザメガネのシンキバ、仮想世界のギルバートは、前髪をさらっ、と書き上げながらいい、シナノは、シンキバの対戦相手であるミノワを、お姉ちゃんはすごいです、と熱く語った。
法学系にとってこういうのは、理系が元素記号と基本成分を覚えるぐらいのことなんですかね、日本国憲法丸暗記。
「にゃ」と、リンド部の部長であるレイチェルの膝の上でごろごろしていたハチワレネコのハルキ、その実態は神様よりイケメンである堕天使のルキフェルが言った。
リンド部には情報はいろいろ集まるんだけど、メインはコイバナみたいで、特定個人の恋愛経過や人間関係はともかく、どこに住んでて資産は推定どのくらい、みたいなことは、話さないことはないけど、お互いあまり聞かないことにしているらしい。各個人のしでかしたネタ、たとえば教会に花飾りのついた帽子をかぶった子がやってきた、みたいなおもしろ・ドジネタは普通に待っても、ねえ聞いたレイチェル、ハチワレって堕天使のフキフェルなんだって、的な、どう考えても嘘に思えるような真実は回らないのである。
「ん、おまえもやってみるの」と、レイチェルは言った。
ルキフェルが日本国憲法を知っているとは思えない。古代ユダヤ教の戒律とかローマ法ならともかく。
30分ぐらいになって、シンキバとミノワの「日本国憲法かるた」は1/3ぐらい終わっており、どうも疲れが見えている。基本的に全部やるってことはなくて、ランダムに40〜50枚のところで、今日はもういいか、って感じでやめにしているらしい。今日は、ということは、毎日とは言わないにしても、定期的にやってる、ということだな。
ハルキは、向き合っているふたりと90度的に交わるポジションの、レイチェルとは反対のところに、手、じゃなくて前足を軽く曲げたかっこうで座っている。
「すべてし」
ふたりが動くのより早く、ハルキが動いて、ぱし、とはじくような感じで先手を取る。
『第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。』
そんな調子で、ハルキは5枚ほど立て続けにふたりを出し抜くと、もう飽きた、という感じであくびをすると、丸くなって眠ってしまった。
ネコの耳と反射神経に、ヒトは勝てるわけはないんだけど、ネコのやる気、モチベーションは不安定だし、持続しないのである。
中学校、この付属校においては中等部のニャニャミ、なんでこんな言いにくいハンドルを自ら選ぶのか、は、予習・復習が一段落ついたらしく、AIと問答しながら創作のプロットを考えているらしい。勉強のサポート役としてはAIは、間違ったことを堂々と言う以外は、人をムカつかせることもなく最適だけど、創作はオリジナリティの部分で劣っているから、そのままでは使えんよね、と、作者も言っていた。




