42話 アン・シャーリー、めたんの外形をしたルキフェルに説教される
フィリップス先生に怒られたので、学校に行くのはしばらくやめ、ふてくされて輝く湖水で釣りをしていたおれ、アン・シャーリーは、あまりのきらきらぶりに、ギルバートにもらったサングラスをしといてよかった、と思いながら、精神的にたそがれていた。
「この前は学校で大変だったね、アン・シャーリー」と、突然誰かから声をかけられた。アクセントが少し変なんだよな。「たいへんだった↑ね」みたいな感じ。振り向くと、あまりモブキャラにはふさわしくないくらいの美少女がいた。
髪は鮮やかなピンク色で、肩を少し超える長さ。ふわっとしたドリル状の巻き髪が左右対称に配置され、頭頂部には小さなリボンやヘアピンが飾らている。前髪は、左側がすこし長いというわずかな違いの特徴があった。目は大きくてキラキラしていて、鮮やかな青色が印象的である。ファッションはホワイトロリータ・スタイルで、純白のフリルやレースがたっぷりあしらわれたドレス。ドレスの長さは膝丈程度で、ふんわりとしたシルエットだ。袖や裾には繊細なレースが施され、リボンや小さな花のモチーフがアクセントとして散りばめられている。全体的に、清楚で愛らしい印象を与える姿であると同時に、元気で親しみやすい雰囲気と、金持ちっぽい造形美があった。
「でも、よく考えてごら↑んよ、アンは自分が美人でないとか、学校の男子や先生はひどい、って落ち込んでるけど、そんなことでいいの? ダイアナだけじゃなくて新しい友だちもたくさんできたし、ギルバートは赤い髪をからかったけど、馬鹿な視聴者以外には、アヴォンリーに赤毛差別なんかあるなんて思ってる人もいないんだ↑よ。もっと図々しく、前向きに生きるんだよ。ねえ、アン、あなたは誰かのために生きてるの? あんなふうに生きられたらな、とか、だから自分は、って落ち込んだり、世間や世間のせいにしたり、自分は間違ってない、って強情張ったりして、何かが変わるわけじゃないんだよ。あなたの価値はあなた自身のもので、それが正しいとか間違ってるとか、いいとか悪いとかじゃないんだから。この物語はアン自身の物語で、あなたが主役なんだよ。高層ビルが歪んだり、海底の高速道路が水没したり、豪華スタジアムが雨漏りしたって、ネットでディスられるだけの話じゃない。引きこもっていても、地球は自転しているし、世界は動き続けてるんだよ」
「あ、ありがとう、めたん」と、おれは感謝した。外形描写はAIに書いてもらった四国めたんの流用だし、説教は2000回ぐらいしか視聴されていないYouTubeの動画を参考にしているみたいだし、そもそもおれはアン・シャーリーで、ずんだもんではない。説教している相手の中身も、外形がいくらでも変えられる、ただしブサイクになることだけはできない、いつもの堕天使・ルキフェルだけれども。
それからおれと、めたんの形をしたルキフェルは、日が暮れるまで釣りを楽しんで帰った。
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闇の夜鳴きそば屋とようやく対決することができたのは、それからしばらく経った、生ぬるい夜のことである。




