43話 アン・シャーリー、ギルバートにタブレット・アタックをくらわす
仮想世界のうち、この世界でのギルバートは身長190センチぐらいはありそうなスキンヘッドで、サングラスを外してヘーゼルアイズでおれ、つまりアン・シャーリーを、じろ、とにらみ、殴られ慣れているような頭を突き出した。
おれは覚悟を決めてタブレットを持ち、11歳のヴァージン、乙女未満に可能な限りの力でギルバートを殴った。
「いっ…………………………………………………]
ギルバートはうずくまったまま硬直したので、心配になった。
「ごめん、本当にごめん、別にムカついたからとかじゃなくて、ここはあんたが悪いんだから、って言っても許してくれないよね?」
「………………………………………………………」
「もしもーし、生きてる、というか息してる?」
「………………………………………………………ってえ! 痛えなこの野郎! なんで石板、というかタブレットのフチのほうで叩くんだよ! 平たい面で叩かないと割れるわけないだろ」
「あ」と、おれは納得した。
ギルバートの頭はみぞ状に凹み、みるみるうちにそこがふくれて、みぞ上のコブになった。
「じゃあ、改めて。えい、えい、えい!」
念のために液晶画面で2度、裏面で1度殴ってみた。
石板ではないので、タブレットは割れることはなく、少し裏面が凹み、液晶画面はうまいことヒビが入った。
「アン・シャーリー、どうもあなたは癇癪持ちでいけませんね」と、フィリップス先生は怒った。
「罰として黒板に『アン・シャーリーは癇癪持ち』と100回書きなさい」
「eのつくアンで?」
「いや、そこはカタカナでいいよ。でも「癇癪」は漢字で書くこと」
「えー!?」
学校が終わるとおれは、急いで家に帰ってタブレットの付属部品と、画面が割れた本体を梱包しなおし、「初期不良です」というメモを添付して郵便局に持っていったら、翌日の朝に新品が届いた。
さすが中国製である。




