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第二話 特殊諜報員組織『黒猫』本部

俺と火鮫は受付嬢に軽く会釈をして、自分と火鮫の社員証をスキャンした後、右奥にあるエレベーターの中へと乗った。


エレベーター内にある階数のボタンを暗証番号に合わせて打ち、ボタン下から出てきた指紋認証を済ませ、最後に監視カメラでの最終確認を終わらせるとエレベーターが下へと動き始めた。


卒なくこなした残火だったが、この時違和感を感じていた。


(普通俺が乗ったのが分かったら下に動くのに、なんで今日は動かねぇんだ?)


そんな疑問が膨らんでいたが、エレベーターはすぐ本部へと着いた。


_______


特殊諜報員組織『黒猫』本部


エレベーターが開き降りるといつも通りの景色が目に飛び込んできた。 


ガラスで区切られた部屋から見えるのは調査員のPCのデスクトップや、食べかけのカップラーメン、そして猫耳のフードを被った少女が調べ物の最中に寝ていた。


俺は火鮫をおんぶしながらその部屋へと入りその子の椅子にかかっていたブランケットを優しくかけてあげた。


するとその時少女は眠りながらこう言った。


「残火が...二匹.... 残火が三匹.. 残火が五匹 残火が七匹... ふふ、素数だ... 素数で増えてる...」


「なんだコイツ」


俺の目の前でこんな変な夢を見てる白髪で猫耳フードを被っているのは調査員のイリヤだ。 

ある事件で俺が拾いこの部屋で色々な事件の調査や情報を調べて貰っている。


どうやら今日も色々な事件を調べて疲れたのかそのまま寝落ちしてしまったようだ。

俺と火鮫は音を立てないように部屋を出て奥の会議室へと向かった。


__________



会議室に着くとそこには指揮官と阿蒜が座って談笑をしていた。


「俺と火鮫ただいま帰宅です」


俺がそう言うと指揮官と阿蒜は談笑を辞め返事を返してきた。


「あぁ、残火。 今日もお疲れ様だ」


「残火ちゅぁぁん〜、お帰り〜。 ただいまのチューするぅ〜?」


俺はホルスターから本物の銃に似た水鉄砲を取り出し阿蒜の口付近に近づけた。


「お前とキスするのは俺じゃなくてこの銃口だ。 どうだキスするか?」


「やだなぁぁ〜冗談じゃぁ〜ん。 君には最愛の人が居るし、ボクは君になんでか嫌われてるからするわけないじゃ〜ん?」


「別に嫌いではない。 キモい。ただただキモいそれだけだ」


「おぉ〜辛辣ぅぅー。 残火が酷いよぉ〜、指揮官〜」


阿蒜が泣いた演技をしながら指揮官に言うと指揮官は素っ気ない態度でこう返した。


「確かにキモい。 でもそのキモさはお前の魅力を引き立ててるから俺は良いと思うぞ」


「指揮官... そう言うのが一番効くからやめてよ〜、、」


「別に嫌味で言ったわけじゃない。 俺が思ってる事だ」


「だったらまぁ...」


阿蒜はしょぼんとした表情で机の上にあるコーヒーを飲んだ。


俺は俺の席に座り火鮫を膝の上に乗せた。

火鮫が眠たそうにしてるし早めにこの話を終わらせて自室に戻って少し寝かしてやるか。


「それで指揮官、話をするんじゃあなかったんですか?」


俺がそう言うと指揮官は申し訳なさそうな表情を浮かべてこう言った。


「あぁ、今回その件で呼んだつもりだったんだが阿蒜やその他のメンバーと話してそれとなく話はついた」


「結局どうするんすか? この長期に渡る闇バイトの件」


「そう、それの話だ。とりあえずその闇バイトの件は調査員達に一任する事にした。

 イリヤやその他のメンバーがやらせてくださいって言ってきたからな。

 まぁ、インターネットは調査員達の方が得意だからな。 

 それで俺達は俺達で情報が集まるまで各仕事や任務をこなすと言うのがさっきお前が来るまでに会議で話されてた内容だ。 すまないな、、終わったと言う旨を伝えていなくて」


「別にいいですよ、俺は言われた事に従うだけなんで。 それで俺はこの後どうすればいいっすか?」


「自室に戻って一家団欒でもしといてくれ、雑務は阿蒜にやらせておくから」


指揮官がそう言うと阿蒜は飲んでいたコーヒーを吹き出した。


「えぇ!? 冗談ですよね指揮官!!ボク今日任務してきたんすよ?」


「冗談、冗談だ。 

 俺がまとめておくからお前らは休息を取っといてくれ。 いざという時の為に」


「さっすが指揮官〜!! 話が分かるぅ〜!」


「残火も休息をちゃんと取れよ。もうあの時みたいな悲劇は起こらない。

 だからもう少し肩の力を抜いても良いんだぞ?」


俺は指揮官にそう言われて嫌な記憶がフラッシュバックしてきたが、指揮官に心配をかけない為にこう返した。


「家族を守るのが父親の役目、、、俺はそうここで教わりました。 だからそれに従うだけです。

 指揮官もそうでしょう?」


指揮官は俺の言葉を聞き少し微笑んだ後優しい声でこう言った。


「あぁ、、 そうだな」


「じゃあ俺は火鮫をベットに寝かせに行くんで、また何かあったら連絡してください」


「あぁ」


俺は指揮官にそう言った後会議室を出て自室がある方へと火鮫をおんぶしながら向かった。 

火鮫はどうやら血を吸った後疲れて眠ってしまったみたいだ。 


そっと頭を撫でると火鮫はギザギザな八重歯を出しながら微笑んでいた。

俺は幸せという幸せを噛み締めながら長い廊下を歩いて自室へと戻った。


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