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没落寸前貧乏男爵令嬢に転生したのでコスプレスキルを使って脱貧乏を目指していたら、犬並み嗅覚の年上侯爵様に溺愛されました。  作者: しろまり


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41.お茶会でも有効なコスプレのスキル

こうしてトラヴィス様にエスコートされた私と、その後ろについて来るトーマの三人で会場内に入ると、早速ツークエ伯爵が話し掛けてきた。


「トラヴィス様。本日は、お越しいただきありがとうございます」

「こちらこそ、お招き感謝する」

「そちらが、もしかして」


簡単な挨拶を交わした後、ツークエ伯爵の視線は私に向いた。


「あぁ、彼女が私の婚約者のアネット・ウィンターだ」

「初めまして、アネット・ウィンターと申します」


私は侯爵家に来てから学んだカーテシーを披露する。


「これは、これは。可憐なお嬢様ですな」

「あぁ、可愛らしいだろう」


感心するツークエ伯爵に、トラヴィス様も満足そうに頷いている。


どうやら、カーテシーは完璧だったようね!


ちょっとトラヴィス様が発した単語に顔が赤くなりそうになるけど、これは社交辞令ってやつよ。本気にしてはいけないわ。


特に今日は、トラヴィス様は正装していて格好良さに磨きがかかっているから、笑顔を向けられるだけで頬が熱く……いえ、気にしない、気にしない。


いくつかトラヴィス様と言葉を交わしたツークエ伯爵は「それでは、ごゆっくり」と言い残して去って行った。“連れてくるように”と招待した割には、ツークエ伯爵は私に興味がない様子。そのことが少しだけ胸に引っかかる。


ともあれ、これで今日の目的は果たしたわね!と思ったのだけど、むしろ“ここから”だったみたいなのよ。


ツークエ伯爵が去った後、別の人が挨拶に来た。その人が去ると、また別に人が挨拶に来る。これが無限ループのように繰り返された。


流石は侯爵様。挨拶の波が引かないわよ!  “ささやかな茶会”で、これ程とは!


これが、もしもターンス伯爵のパーティー程度の規模だったら、どうなっていたことやら……怖いわ。


あ、こうなる事が分かっていたから、トラヴィス様はターンス伯爵のパーティーで変装したのね。トラヴィス様が目立ってしまっては、同伴者の私がターナー夫人をじっくり観察できないもの。


ふぅ。


それにしても、こうも挨拶が続くと、ずっと微笑み続けるのも疲れてしまうというか、笑みを貼り続けられないというか。気を抜いたら表情が落ちてしまうわ。


あぁ、これがイベントのコスプレだったら平気なのに……そうよ! コスプレイベントだと思えばいいのよ。


道行く人の視線、集まるカメコ、その期待を裏切らないように、コスプレしているキャラクターを常にキープし続ける表情管理。それと同じよ。この茶会の場はイベント会場、挨拶に来る人達はカメコと思えばいいのだわ!


では、早速イメージしてみましょう。


『私はトラヴィス様の婚約者で、未来の侯爵夫人というキャラクター』


うん、良い感じよ。

これなら、いけるわ!


私はスッと表情を作って、応対していく。秘策を得た私は、その後の挨拶の波を苦なく乗り切ることが出来た。


******


暫くすると、あらかた挨拶し終えたのか、人波が落ち着いた。


「頑張ったね、アネット。疲れただろう?」

「いいえ、大丈夫ですわ」

「そうかい? ……もしかして、演技しているのかな?」


あら、トラヴィス様には演技だと分かってしまったの?


「ご明察ですわ。よく気づかれましたわね。もしかして、他の方々も?」

「いや、他の人は気づいていないだろう。よくアネットを見ている私だから、気づいただけだ」


他の人に気付かれていないのなら、いいのよ。ん、トーマ? そんなキョトンとして、どうしたの?


側に控えていたトーマは私達の話しを聞いて「演技……?」と呟いている。


「しかし……ハハハッ、どんな役柄を演じているんだい?」

「トラヴィス様の婚約者で、未来の侯爵夫人というキャラクターですわ」


肩を震わせ始めるトラヴィス様に、私は設定を伝えた。


「まさに、その通りだが……そういう役だと思えば、アネットは疲れ知らずということか」

「まぁ、そうですわね。なりきっている間は、集中しているので平気ですわ」


後が大変なのだけどね。ドッと疲れが押し寄せるのよ。だから乱用は、お勧め出来ないわ。


「もしかして、変な所でもありましたか?」

「いや、完璧な侯爵夫人だったよ。アネットの演技力は素晴らしいね」


目元に薄っすらと浮かべた涙を手で拭うトラヴィス様。


何が、そんなに可笑しかったのかしらね?


「それは、それとして。人が少ない場所で、少し休もうか」


そう言った時、トラヴィス様の背後からツークエ伯爵が現れた。


「トラヴィス様、庭をご覧になられませんか? 今日のために見頃の花で整えております」

「それは、いいな。では、庭を散策させてもらおうか」


トラヴィス様の目配せに私は頷いた。庭へ向かう私達にトーマも続こうとすると、少し青い顔をしたツークエ伯爵は申し訳なさそうに告げる。


「あの、使用人の立ち入りは制限させていただいておりまして……」

「そうか」


トラヴィス様に一瞥されたトーマは、スッと一歩ほど下がる。

庭に出ると、確かにツークエ伯爵の言う通り、見頃の花が咲き誇っていた。


「綺麗ですわ」

「あぁ、綺麗だ」


そう言うトラヴィス様の視線は花に向けられていない気がするのだけど? きっと気のせいね。


庭の中程まで進むと、ひときわ綺麗な花が咲いていた。思わず駆け寄った私は、トラヴィス様との距離が数歩ほど離れる。その時、トラヴィス様は誰かに話し掛けられた。


どうやら知り合いのようね。トラヴィス様の表情が明るいことから分かるわ。それにトラヴィス様が私を呼ばないということは、挨拶しなくても大丈夫なのでしょう。


そう判断して、私は花を観賞することにした。暫く花を愛でていると、その先に飲み物が置かれたテーブルがあるのに気付く。


そういえば、ちょっと喉が渇いたわね。


どうやら勝手に飲んで良いようで、通り掛かった夫人が躊躇いなくグラスを手にしていた。


それなら、私もいただこうかしら。


私はテーブルに近づく。

そこには気泡が浮かぶ液体が入ったグラスがあった。


これは、きっとシャンパンよ! 絶対、飲んではダメ。だから私は、こちらをいただきましょう。


手に取ったのはシャンパンの横にあるグラス。濃いオレンジのトロッとした液体で、豊潤なフルーツの香りがする。


きっと果物のジュースね!

マンゴージュースな気がするわ。


近くのベンチに座ると、早速グラスに口を付けた。


甘くて美味しいわ!

これはトラヴィス様にも勧めましょう!


喉が乾いていた私はグラスの中身を一気に飲み干すと、再びテーブルに向かう。空になったグラスを置いて、おかわりとトラヴィス様の分のグラスを手に取るとベンチに戻った。トラヴィス様を見ると、楽しそうに談笑している。


まだ時間がかかりそうね。


私は綺麗な花と美味しいマンゴージュースを堪能した。

お読みいただき、ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾

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