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没落寸前貧乏男爵令嬢に転生したのでコスプレスキルを使って脱貧乏を目指していたら、犬並み嗅覚の年上侯爵様に溺愛されました。  作者: しろまり


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21.よく聞く“飲み過ぎて記憶がない”ってやつ

「うぅん……」


よく寝たわ~と起き上がって伸びをする。

いつもの部屋、いつものベッド、いつもの起きる時間。


ん、待って?


「私、いつの間に帰ってきたの?」


思い出そうとするけど、まったく記憶がない。


えぇと、昨晩は夜会に潜入して、ターナー夫人の振りも上手くいって、指定された庭の西のベンチでトラヴィス様を待って……そこから記憶がないわよ?


あれ、私どうやって帰ってきたの?


よく飲酒の失敗談で聞く“飲み過ぎて記憶がない”って、こんな感じなのでは?

でも、お酒を飲まないのに何故、同じ状況になっているの?


不思議に思って首を傾げた時、部屋がノックされた。入ってきたのはゼノンだ。


「あ、お嬢。起きたか」

「あぁ、ゼノン。あの、私、昨晩の記憶がないのだけど……」

「どこから記憶がないんだ?」

「ベンチで待っていた後の記憶が全く……」

「そうきたか」

「えっ、何があったの? 私ってば何か、やらかしてしまった?」

「やらかしては……いや、やらかしたと言えば、そうとも言える」


『そうきたか』と言うぐらいだから、ゼノンは事の次第を知っているのね。

何、何があったの?!


「シャンパンを飲んだことは覚えているか?」

「えっ?」

「飲んだだろう? シャンパンを」


う~ん?

飲んでないわよ?


私は記憶を辿る。


庭に出る時、確かに飲み物の入ったグラスを手にした。

けれど、それは―――


「私は飲んだのは炭酸ジュースよ?」

「あぁ、やっぱり間違えたのか。あの夜会には未成年はいないはずだからな。主に酒が出されていた。お嬢は酒を飲んだことがないだろう? だから気づかずにシャンパンを飲んじまったんだな」


ゼノンは「誰かに無理やり飲まされたじゃねぇのか心配していたが、杞憂だったな」と呟いている。


前世で飲んだことはなかったし、今世は未成年で飲めないからシャンパンの味なんて私は知らない。


えっ、あの綺麗なゴールド色のシュワシュワした飲み物は炭酸ジュースではなくてシャンパンだったの?!


そうとは知らずに私は美味しいからと一気に飲んでしまったわ。それで酔っぱらってしまったと?


身に覚えのない飲酒によって、よく聞く“”飲み過ぎて記憶がない“をやらかしてしまうとは……ハッ!


「私、何か失態を犯してはいない? 潜入がバレたなんてこと」

「それはないから安心していい。むしろ泥酔したターナー夫人を印象付ける事が出来たから好都合だとトラヴィスは言っていたぜ」


言われて、トラヴィス様に声を掛けられたような記憶が朧気に蘇る。

電波の悪い動画みたいな感じで。


「お嬢、覚えている限りでいいから思い出してくれ。シャンパンを飲んでから、トラヴィスが迎えに行くまでに何かあったか?」

「え?」

「誰かに声を掛けられたり、何かされたりしたか?」


私は再び記憶を辿る。

けれど、特に異変があった記憶はなかった。


「特にないわ。誰も来なかったと思う。ただ、ぼんやりと庭を眺めていただけで。あ、鼻歌を歌ってしまった気はするわ」


そう、あのテーマ曲を。


ほら、ミッション・〇・ポッシブルって変装もするじゃない。

あの精巧な変装マスクを被って。


それを思い出して歌ってしまったのよ。


「ハァ、良かった。それだけが気掛かりだったんだよ。こればっかりは、お嬢本人に聞くしか確かめようがねぇからな。まぁ、お嬢なら酔っていても何かあれば笛を吹いただろうから、何もなかっただろうとは思っていたが」


だいぶゼノンに心配を掛けてしまったみたいね。

ごめんなさい。私が、うっかりした所為で。


きっと大役を果たして気が緩んでしまっていたのね。飲んだことのない味だったのに、貧乏男爵令嬢だから知らないだけだと思ってしまったのよ。


「それにしても、お嬢をトラヴィスが横抱きして戻ってきた時には肝が冷えたぜ」

「えっ、横抱き?」

「そん時には、お嬢は眠っていた。怪我したか、何か盛られたかと焦ったんだぜ? 何故、笛を吹かなかったんだって……お嬢?」


待って、横抱きって言った?

横抱きって、それはつまり姫抱っこ?!


嘘でしょう。


前世と合わせても人生初の姫抱っこが、眠っている時に行われていたですって?! ちょっとちょっと待ってよ~! 女の子なら誰しも憧れるシチュエーションを見逃したというの?!


何だか悔しいわ。

非常に悔しいわ!!


思考に入り込んでいた私をゼノンは黙って見ている。


「あ、ごめん。続けて? それから、どうしたの? 着替えは?」

「侯爵家に戻って、メイドに頼んで着替えさせてもらって帰宅した。あぁ、夜会会場から馬車へはトラヴィスが抱えていたが、侯爵邸の出入りの時は俺が抱えたから安心していいぞ」

「抱えたって、まさか姫抱っこで?」

「ん? あぁ、お姫様抱っことも言うな」


あぁぁ、何てこと!

二度も、いえ四度ではなくって?


夜会→馬車→侯爵家→馬車→我が家ですもの。


四度も自身にされた姫抱っこを逃すとは!

ゼノンは『安心していい』と言ったけど、何を安心しろと?!


「それでは着替えの為にマーサを呼んでもよろしいでしょうか、お姫様」


私の心中を察したのか、執事口調でニヤニヤと笑うゼノン。


お姫様だなんて、わざとらしい!


「呼んでちょうだい!」


苛立ちを晴らすように、私は声を大きくした。


もう絶対お酒は飲まないわ。成人しても飲まないわ。父の事もあるから、お酒とは無縁で生きようと思っていたのだけど。今、確定したわ。間違っても飲まないわよ!


******


こうして、あの夜会での『ターナー夫人泥酔計画』は見事、成功したわ。


誰も疑っていないのよ。ターナー夫人本人ですらね。泥酔した私が目撃されたのも功を奏したみたいなのだけど、記憶がないのに疑問に思わないって凄いことよね。


私は記憶がない間、何か問題を起こしていないか不安だと言うのに。


まぁゼノン調べによれば、ターナー夫人は記憶がなくなるほど泥酔することが度々あるらしくて“あぁ、またか”程度に受け取られているようなのよ。それでトラヴィス様はターナー夫人を泥酔させる計画にしたのね。


お酒って怖いわ。


あの時は誰もいなかったから良かったけど、ウザ絡みとかしていたら目も当てられないわよ。間違って飲まないように、お酒には近づかない。それに限るわ!

あるらしいですね、お酒を飲み過ぎて記憶がないって。

知人(複数名)から「どうやって帰ったのか記憶がない程、飲んだことがある」と聞いて驚きました。

無事、帰宅して良かったですよ。本当。世の中、何があるか分からないですからね。

え、私ですか? 極力、人前で飲酒しないので、そういった経験はないんですよねぇ。というか、飲んでも酔わないんですよねぇ。恐らくですが、アルコールを分解する酵素を持ってないんですよ!

だから(?)、お酒は好き(憧れ)なんですけど、あんまり飲まないんですよね。酔わないから飲む必要を感じないんです(。。)

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