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7.7.別行動


「チームは俺と万巳君、そして梶原君と小間井君だ。俺たちは須原博物館を調べる。残りの二人は周辺に住んでいる人の様子を調べてみてくれ」

「よ、様子……?」


 それが依頼の内容なのかと、小間井は少し不思議そうな表情をして首を傾げた。

 確かに何も知らないのであれば、この仕事に何の意味があるのか分からないだろう。

 万巳もまたその一人だ。


 隣で聞いて考えてみるが、それに何の意味があるのかまったく理解できないでいた。

 だがこれは非常に重要な事だ。

 一体どれくらいまで浸食されているのかを把握する必要がある。


「えーと、様子ってどんな様子を調べるんですか?」

「人として変な動きがないか確認してくれるだけでいい。異常がないに越したことはないが、念のため。あと、ムトゥーラという星を調べてくれ」

「人の様子と、星ですか……。これだけ聞くと、何の関係性があるのか私にも分かりませんね」

「分からないように言っているんだ。知らなくていいなら、そっちの方がいいからな……」

「……そうですね」


 この人は、未だに人に気を使っている。

 それが少し寂しかったが、それが彼の優しさなのだ。

 すべて自分で抱え込む必要はないのだが、どうしても抱え込もうとしてしまう。


 そのことを少し寂しく思いながら、梶原は頷いた。

 与えられた任務を遂行するだけだ。

 それで彼の助けになるのであれば、自分は動くつもりである。


 小間井の方を見てみると、少し浮かない顔をしている。

 納得できる部分が少ないのでそれも仕方がないだろう。

 後で何とか会話をして説得することにする。


「万巳君。こっちはこっちで仕事をするよ。横原から貰った仕事も形だけとはいえやっておかないとね」

「もうあの人怖いんですけど」

「俺もだよ。まぁなんとかなるさ」


 こちらがやることは、須原博物館での素行調査だ。

 これは万巳がやってくれる。

 八樫はそれとはまったく違うことをしなければならない。


 観察。

 これが八樫のしなければならない仕事だ。

 有用かどうかは分からないが、一番影響下にあるであろう須原博物館の従業員には注意を払っておかなければならない。


「ま、仕事内容はこんな感じかな。十六時にまた集まろう。宿は取って行くから、そっちは仕事に集中して欲しい」

「分かりました。じゃあ早速見てきます。行きましょう小間井さん」

「え、あ、はい」


 二人は八樫の車から降りて、自分の車に歩いていく。

 それを見届けた後、八樫と万巳も準備をした。


「んじゃ、行こうか」

「はい」



 ◆



 小間井は梶原の車に乗った。

 二台で行っても邪魔になると思ったので、一台で行くことにしたのだ。

 それに何も知らない小間井を一人にしても、不自然なところを見つけるのは難しいだろう。


 車を発進させ、とりあえず周辺を見て回ることにする。


「……梶原さん?」

「何ですか?」

「え、あのすいません、怪異ってどういうことですか?」

「その通りの意味です」

「んーー? もうちょっと詳しく説明してもらえますか……?」


 小間井は今回の仕事内容に疑問しか抱いていない。

 これに何の意味があるのか。

 はっきり言ってしまえば遊びに付き合わされているような気がしてならなかった。

 もう少し詳しい説明がなければ、今回の仕事をまともにやる気にはなれそうにもない。


 どうせ説得しなければならないなと考えていた梶原は、小さく頷いてから説明をする。


「私も今回の事件、何が裏にいるのかは分かりません。ですが、それが引き起こす悪影響は大勢の人の死に繋がります。八樫さんはそれを止めるつもりで、私たちを呼んだんです」

「怪物が何かしようとしているって事ですか?」

「端的に言えばそうなりますね」

「それ信じる人いるんですか?」

「私は信じています」


 大真面目にそう言った。

 間髪入れずに帰って来た返答に、小間井は少し困惑している様だ。


 なんだか変な仕事に首を突っ込んだなと小間井は少し後悔した。

 お金がもらえればもうこの際何でもいいかと思い、深く考えるのは辞めることにする。


 できれば早く終わってくれないかなと、心の奥底で考えるのだった。

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