*。*:゜レアリー論文『磁石』 ゜:。*
私はレアリー・ホワイトウェル。趣味というわけではないが、魔術について色々な理論を組み立て、まとめるために論文を書いている。
先日私は、山口県という地で100円ショップなるお店を発見した。なんと、たった100円で色々な商品がおいてあるのだ。すごい。
ティルナノーグにはない科学の産物の数々に、私はひれ伏すのであった。ははー。
――ということで、今回も魔術理論の一端を皆さんに紹介しようと思う。
もし気に入ってくれたなら、「いいね!」して欲しい。
と言っても、今回はこちらの世界の技術の話だ。皆さんには既知の部分も多いかもしれないが、ご容赦を。
ああそうだ。今回も古川アモロさんとニニコ・スプリングチケット嬢のお二人に、論文の形式を参考にさせていただいた。
また、少し前になるが、海村さんという方に私の大変可愛らしいイラストを描いていただいた。せっかくなので、今回の講座に使わせてもらっている。感謝する。
●今回の講義テーマ
皆さん、磁石というものをご存知だろうか。
ティルナノーグにも似たようなものはあったが、この世界のものは別格だ。
強さも、形も、性質も。
まずは「磁石なんて当たり前じゃん」とか思っている皆さんに、この異常さをぜひわかっていただきたい。
さて、100円ショップで磁石を見ていた私は考えた。
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皆さんも考えたことはないだろうか、もし人間の乳首が磁石だったらと。
もしそうなれば、物語の幅は大きく広がることになる。
そう、例えば。
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新学期早々寝坊して、遅刻しそうな主人公。食パンを加えて走る転校生。
曲がり角でぶつかる二人。生まれるロマンス。
そこに、
「きゃっ、あぶない!」
――ばちこん
おわかりだろうか? 二人はそのまま、抱きしめ合うことになる。
あとから「あっ、あのときの!」なんてことはもう時代遅れ、ぶつかったらそのままフォーリンラブだ。
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磁石には極というものがある。SとNのあれだ。
これが先ほどとは逆に、悲しいすれ違いを生む可能性もある。
「ああトニー、あなたはなんて素敵な人なの」
「おおマリア、君はなんて素敵な女性なんだ」
見つめあい、愛を確かめ合う二人。そして抱きしめあう。しかし。
――くにゅんっ
ああ、なんと切ないことだろう。二人の極は、どちらもS。そう、運命に拒否されているのだ。
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ついでに言うとあの有名なラブシーンは、こうなる。
「おーぷにゅあらーいず」
「! あいむふらいんぐ!」
――ぴよーん。
向かい合った状態で抱き締められるということは、後ろから行けば当然こうなる。自明の理というやつだ。
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変化は恋愛だけに限らない。
磁石の極はどうやって決まるのだろう? もしかしたら性別によって変わるかもしれない。
名探偵は思うのだ。胸ポケットに入っていたドライバーが、私の胸と反応している。
妙だな。もしかしてこれは、加害者が凶器を隠し持っていた際に、乳首の磁力に反応して……。
――はっ、もしかして、男だと思われていた加害者は、実は女!?
そう、推理物のストーリーに、新たな1ページが加わってしまう。
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もちろん、実用的な面もある。
乳首がピップエレキバンなら、なんと、肩がこらないのだ!
巨乳の悩み、肩こりが、なんと乳自身で自己解決できるのである!!
巨乳を手に入れることを人生の目標としている私としては、これは研究せざるを得ないだろう。
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◆フェライト磁石
いわゆる普通の磁石だ。見たことが無いなんて人はいないだろう。
安くて広く普及しているため、一般人の乳首はおそらくこれになることだろう。
が、これには非常に大きな欠点がある。
固いこと、そして、欠けやすいことだ。割れてしまうのだ。
固いだけならともかく、乳首が欠けている恋人など私はお断りだ。次!
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◆ネオジム磁石
これだな、私が100円ショップで見て驚愕したのは。
薄いくせに、驚異の磁力。そして、ぺたんとした愛らしい形と、そのつるんとした手触り。
私はこの磁石が、もっとも乳首にふさわしいと思っている。
しかし、これにも欠点がある。それは、その強い磁力そのものだ。
磁石を二枚ぺたりんとくっつけたことがあるだろうか?
抱きしめられた場合、まずまちがいなくお互いの乳首がぺたこんと引っ付くことになる。
その場合、びっちりはりついてはがせない!あいたたた、痛い!と、ロマンスどころではなくなってしまう。
キスのたびに、いちいち横に滑るようにして体を離さなければならないのは困るだろう?
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◆電磁石
すまないが、これはさすがに売っていなかった。
好きな時にオンオフできるのが最大の特徴だが、乳首ということを考えると、電源の確保が問題になる。
電気ウナギみたいな動物もいるので、生体電流でも可能かもしれないが、ラッキースケベが起こしにくいという別の問題も出てくる。
例えば、あなたが道端でうっかり転んだとき。
ネオジム磁石ならうっかり女子高生にくっつくかもしれないが、電磁石ならそのままゴテンとこけるだけだ。
恋のトキメキとは、不意と偶然の積み重ねだ。
断言しよう。乳首が電磁石の世界では人々は恋を忘れてしまうと。
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◆マグネットバー
少し方向性を変えて考えてみるぞ。
乳首がマグネットバーということは、素っ裸でも自然と乳首が隠されるということだ。
いや、隠されてはいないのだが。
見えるようで見せない。見せないようで見えている。なによ、丸見えじゃない!(はあ、どすこいどすこい)というやつだ。
では、乳首がマグネットバーだった場合のサンプル写真を見てみよう。
さてこの場合、18禁の基準というやつを見直さないといけない。黒塗りだが丸見えだということになるからだ。
表現の自由という言葉でどこまで立ち向かえるか、興味深いところだ。
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さて、色々見てきたが、皆さんはどういう結論を出しただろうか。
私としてはやはり、実用性重視のピップエレキバンを推す。……おい、今私の胸を見ただろう。バレているぞ。ええい、うるさい。肩こりはこれからなるのd―――ん?
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その時私は、ぺたりと強力にくっついたネオジム磁石を見つけた。
力を入れても、ちっとやそっとじゃ離れない。
……マジで取れない。
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!!!
閃いた。やはり乳首はネオジム磁石にすべきなのだ。
これで敵の乳首を奪って自分の乳首に吸収していけば、私だって夢のBカップになれるのだ。
ブラがいらないなんてもう言わせない、ぷっぴどぅなレアリー様の誕生なのだ!