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POISON GIRL  作者: 紙谷依
1/1

歌舞伎町No.1こと俺

とんでもねえ美少女軍団とおっさんの話です

毒々しいショッキングピンクの店内。人工的な甘ったるい匂いと煙草の煙が混ざり合う。フリルのミニスカート、媚びる様な猫撫で声。どこを見ても一面女、女、女。露出された肌に、客は皆欲を孕んだ視線を向けている。ここは歌舞伎町一番人気と謳われるガールズバーpinkshock。オープンからわずか半年でこの街のトップへと登り詰めた、伝説の店。務めている女達は皆恐ろしい程に美しく、接客スキルも一流。一度入ったら最後、女達の色香にあてられ破産するまで通い続けてしまうと噂されている。この店で働くために歌舞伎町に足を踏み入れる少女も少なくない。しかしその面接は大手芸能事務所よりも厳しいと言われているほどで、接客の能力、服や化粧のセンス、SNSの内容、体型、人を惹きつけるオーラ、そして何より世間から浮いてしまうほど美しいルックスを持ち合わせていない限りはこの店で働くことは難しいらしい。そして、そんな全てが完璧すぎるpinkshockのキャストのなか、一際目立つ女が1人。客と自分の間にカウンターを挟んで柔らかく微笑む美女に、店内にいるほとんどの者が目を奪われていた。

艶のある黒髪に白く陶器のような肌。華奢な体とスラッとした長い手足。伏し目がちな目はくっきりとした二重で、長い睫毛はまるでベールだ。スッと筋の通った鼻はしかし他のパーツを邪魔する無駄な存在感は無く、ピンク色の唇は見つめているだけで吸い寄せられるよう。まさに誰もが羨む圧倒的美少女。近くにいるだけで眩暈が起きそうなほどに魅力的。

ーーーーそう、彼女こそがpinkshock不動のNo.1キャスト、北條雪子である。


「もしもし、店長?ああ俺。そう、雪路。今月のシフトなんだけどさ、思ったより腫れ引くの遅くて……え?だから二重!切開したって言ったろ?うん、だから今月半ばまで休み貰いたいんだけど。え、おいマジかよ明日から出勤?!だからダウンタイム中なんだって!は?!眼帯つけてってそんな………………あ、ちょい待てまだ話は終わってねえ!」

眠らない街にゆっくりと朝日がのぼり始めたころ、酒瓶と煙草の吸殻がそこらじゅうに転がる薄汚いワンルームの床に転がる薄汚い人間が1人。

酒と煙草のせいでパサパサの髪と肌。ガリガリの体に成人男性特有の骨ばった手足。いつも眠たげな目は一重で細く、瞼はアイプチの使いすぎで荒れていて、右目は二重全切開の整形手術を終えたばかりでとても見られる状態では無い。鼻筋の通った綺麗な形の鼻はしかし毛穴の汚れが目立ち、唇は皮が剥け血が滲んでいる。

そして彼こそがpinkshock不動のNo.1キャスト北條雪子こと、家に男を連れ込み女装をしてアナルセックスをしていたところ親にバレ、22年のヒモニート生活に終止符を打たれた哀れな29歳、本名林雪路である。趣味は女装とアナルセックス、パチスロ。酒と煙草をこよなく愛し、幸せそうな人間たちをこよなく怨む男。

続きます✌️

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