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第8話 救急搬送


 救急車を呼んでしまった。


 8月19日。

 今朝目覚めると、左足首の激痛に加えて、右くるぶしの鈍痛が激痛になっていた。


 イスにしがみついて立ち上がろうとするが、中腰まではいけても、激痛のためにそれ以上踏ん張れない。


 後ろにひっくり返った。

 焼酎のペットボトルが背中に刺さった。


 小便がしたいが、どうすることも出来ない。

 しばらく観念して横たわっていた。


 夕方、どうにもこうにも尿意を我慢出来なくなり、バファリンを飲んで、効いてくるまで待った。


 あまり変化は感じなかったが、意を決してイスにしがみついて、うぁ、とか、ぐあ、とか呻いてようやく立ち上がることが出来た。


 立ってるだけで精一杯だったが、小便をまき散らすわけにはいかない。


 足首が動かないように、すり足でトイレまでようやく移動した。


 便座に腰を掛けて用を足したが、また立ち上がるのが一苦労だった。和式だったらもっと早くに詰んでいただろう。


 もう限界かな? と思った。


 すり足で玄関まで行って、カギを開けて、119番にコールした。

 

 これ以上は動けなかった。


 救急隊員の方々が到着した。


 脈や血圧、体温を測り、いくつか問診されたのち、尻の下に袋状の救命器具を入れ、男性隊員2人がそれごと私を持ちあげ、担架まで運ばれた。

 

 救急車が病院に到着し、担架から車いすに移った。


 他にも夜間救急で来た人や、その家族がいた。


 車いすに乗ったまま、看護師さんに渡された体温計で体温を測り、いくつか問診された。


 私の番になり、先生に症状を説明すると、採血とレントゲンを撮ることになった。


 それらが済み、再び診察室のカーテンをくぐって診察を受けた。


 先生曰く、痛風は発作を起こすと尿酸値が下がるんですよ、とのことだったが、それでも尿酸値は7.9だった。


 今日は水しか飲んでいないことも影響したのだろうか。


 診察の結果は、痛風だけじゃなくほかの可能性もあるので、明日整形外科を受診してください、とのことだった。


 そして、痛み止めとしてボルタレンの座薬を看護師さんから渡された。座薬のパッケージには要冷蔵と書かれていた。


 自分で入れられるよね、と言われたので頷き、トイレまで車いすを押してもらって、個室の中で肛門に入れた。

 

 座薬を入れた指を嗅ぐと臭かった。念入りに手を洗った。


 薬が効いてくるまで待ってていいと言われたので、しばらく待っていた。


 廊下で車いすに座っていると、急患の家族の方が看護師さんに入院についての説明を受けていた。


 20分も待つと、痛み止めが効いてきた。痛いことは痛いが、立ち上がれるし、よちよち歩けるようになった。


 それを看護師さんに伝え、明日の分までの痛み止めとシップを貰い、タクシーで帰宅した。


 帰宅したのは20時を過ぎていた。


 夕方の状態よりはマシになったので、この文章を書き始めた。


 少し心配なのは、明日の分までの痛み止めとして渡されたのが錠剤であることだ。


 しかも、カロナールとかいう薬であることだ。


 ネットで調べると、効き目が穏やかな薬とか書いてある。


 当然、座薬より効果は落ちると思われる。


 すると、座薬の効果が切れたあとの痛みを抑えることができるのだろうか。


 明日、通院できるのだろうか。


 座薬の効果が切れるまでに、2日間入れなかった風呂 (いつもシャワーだが)に入っといた方がいいかもしれない。


―――――


 第5話の続き


 車券で食っていく、という愚かな夢を見て、先輩と共に競輪場に行った私。


 競輪のレースは同地区や同期などでラインを組んで走ることを教えてもらった。


 なぜラインを組むのかというと、競輪は先頭選手が1番風圧を受けるので、少しでも風圧を避けようとすれば、縦に並んで走るのが合理的だからだ。


 ラインの先頭はだいたい先行選手が走り、その後ろを追い込みや自在脚の選手が追う。


 ラインの2番手を走る選手を“番手”と呼び、格上の先輩選手が走ることが多かった。


 番手の選手は2番手につけれるかわりに、ほかのラインが捲ってきたときに、車体を振ってブロックする、いわゆる“仕事”をする役割がある。


 仕事をしない選手は、先行選手からの信頼を失い、キップよく逃げてもらえなくなってしまう。


 捲りに乗って追い込むよりは、先行してもらって直線を追い込むほうが1着を獲れる確率が高い。


 3番手の選手の役割はというと、番手の選手がブロックするために車体を振って空いたインに攻め込まれぬよう、インを閉めることだ。


 先―追―追 先―追―追 先―追―追    ※先=先行選手 追=追い込み選手


 上記のように、3対3対3に別れるのが、オーソドックスな3分戦だ。


 ほかに4対5の2分戦や、2対2対2対3などの4分戦もある。


 また、選手の思惑によっては単騎で走る選手もでてくる。


 当時はガールズケイリンがなかったため、9車立てのレースが普通だった。


 先輩は車券を買いながら基本を教えてくれた。


 この日は先輩は少し勝ち、私は負けた。


 先輩は3点くらいで車単(1着と2着を順番通りに当てる車券)を獲った。


 なるほど、詳しくなれば狙って車券を獲ることも可能なのだな、と私は車券で食うことに希望を抱いた。


 つくづくバカだったと思う。

 読んでいただき、ありがとうございます!

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