公園での恥辱と後悔
僕は…僕は…
ごめんなさい。自己紹介ができません。実は僕、名前も家も、何も覚えてないんです。
というのも、昨日からの記憶が、全くないんです。
一応、仮名として西村さやかっていう名前をもらった。僕男なのに、見た目から女の名前をもらった。
早く記憶が戻って、本当の家族や友達と会いたい
ある日の夜、記憶がなくなっているから、本能に従って動けば何か証拠が掴めるんじゃないかと思って、道を適当に歩いてみるとある公園にたどり着いた。
公園といってもブランコが二つ、鉄棒が一つ、砂場が一つ、ベンチが三つの小さな公園だ。
僕は、なんとなくブランコに乗って、しばらくぼーっとしていた。
「ソコニイルノハ、ダレダ」
突然僕の頭の中に誰かの声が響いた。周りを見渡してみても誰もいない、なんだか怖くなってきたので公園から出ることにした。
「イクナ」
声に惑わされ、一瞬止まってしまったが、再び歩き出したら
「イウコトガキケヌカ。ナラ、シカタガナイ」
僕はそのまま走り去ろうとしたが、何者かに足を捕まえられ、その場で大きくこけてしまった。
そして何かに引っ張られ、鉄棒にT字に拘束された。
「ワタシハオマエヲシッテイル。ダカラウソヲツケバスグニワカル。ショウジキニコタエロ。オマエノナマエハナンダ」
抵抗のすべがなかったので、答えることにした。
「僕は、西村さやかです」
本当は違うけど、覚えていないから仮名を言うしかない。
「ウソヲイッテイルナ、ナゼホントウノコトヲイワナイ」
「分かっちゃった?自分の名前、分からないんだ」
「ナニヲミエスイタウソヲイッテイルンダ。オマエハワタシタチニシツレイヲハタライタ。ワスレタトハイワセナイゾ。アノトキアレダケニドトクルナトイッタノニナゼキタ」
「本当に、本当に分からないんだ。来ないって言われてるならすぐ帰るからお願い離して」
「マダシラヲキルツモリカ。ソレナラゴウモンヲハジメルシカナイナ。ミンナクルノダ」
その声を合図に僕の周りに人の手の形をした半透明の物体が近づいてきた。
「ソイツガホントウノコトヲイウマデ、クスグルノダ」
その手の形をしたお化け達は僕の横腹をくすぐり始めた。
「くふっ...ッひひっ......ホントにっ...知らないからっ......ひっ...くすぐりだけはっ...」
「マダトボケルツモリカ、ナラシカタナイ、ゼンインデクスグルノダ」
そういうとその幽霊たちは僕の服の中に入ってきて僕の全身をくすぐり始めた。
それに耐えきれず、僕は公園で大声を上げて笑ってしまう。
「ぎゃはははは!だめええええええ!あははははははははははは!服の中入らないでええ!ひひっひいいいい!ははは!もうゆるじでよおおおおおおおおお!きっひひひひひいいいいい!」
「ヤメテホシイカ」
「はいいいいいい!ひひひひいいいいいいいいいいいいいいい!やめでぐだざいいいいいいい!おねがいじまずうううううううううう!」
「ナラホントウノコトヲイエ。オマエノナマエハナンダ、ソシテナニヲシニキタ」
「いひひひひ!し、しらないがららああああああ!ひひいい!」
「ワカッタ。ソレデハコノナマエヲオシエテヤロウ。タナカ リュウセイ」
田中、流星?…
あ、あ、思い出した。全部思い出した。
僕は田中流星。先日この公園が神の宿る神聖な公園と言われていることを知りながらこの公園で立ちションをし、その罰で今と同じくすぐり拷問を受け、もう二度とこの公園に立ち入らないと約束した。その帰り力の入らない体で歩いていると自転車とぶつかった。幸い怪我はなかったが記憶が飛んでしまった。そういうわけだ。
「シャベリニクソウダナ。イチドワタシノスガタヲキミニミセヨウ」
くすぐりの手は止まり、僕の目の前には人の形をした影が現れた
「そろそろ吐いてもらおうか、ここへ何しにきた。」
「わからない、何かあったかと思って」
「何を訳のわからないことを言っているんだ。まあ結局あの時の約束を破ったことには変わりない。さあ、天罰を食らうが良い」
それを合図に僕の服が全て破れてしまった。
「や、公園でこんな格好、恥ずかしいよう」
「さあさっきのやったげな」
すると、その幽霊たちはさっきよりも数が増え、僕の周りを隙間のないくらいに埋め尽くし、僕をくすぐり始めた。
「あはははは!むり、ぐずぐっだいいいいい!いいいはははははは!おおいよおおおおお!はあは!はははははは!」
服が破れて拘束は解けたので、くすぐったいのは暴れまわって誤魔化そうとしていたが、相手は幽霊、しかも手だけ、いくら暴れても離れることはない。きっと普通の人には、全裸の僕が一人で暴れまわっているようにしか見えないだろう。
「まだ甘かったかな、空中にに固定してやれ」
僕は四つの幽霊の手によって空中に大の字に拘束された。くすぐりの手は収まらない。
「ぎゃははははっは!だめえええ!こんなとこで、はずかしいいいよおおおお!はははははぎゃはああああああ!もうやめでええええ!」
すると、僕の下の方で何か水が落ちる音が聞こえた。
「はっ、またやったなお前は。」
自覚はできなかったが、どうやら漏らしてしまったみたいだ。
「ずっと続けろ、思い知らせてやれ」
「ぎゃはははは!ごめんなざいいい!もうやだめええええ!ははははは!げんがいいいいいいいひひひひいいいいい!ゆるじでえええ!あああっはははははは!」
そして、それは僕が気絶するまで続いた。記憶が戻ったのは良いが、もう二度とこの公園に来たくない。