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Scarlet seasons  作者: 有河 さくら
序章~プロローグ~
4/8

secret episode1

9月〇〇日 ㈭ 曇り後雨


この家で日記を書くのは今日で最後です。

なんだかんだで長く暮らすと恋しくなるもので。

昔だと考えられないくらいに離れるのが辛いです。

放課後には美里ちゃんが私にプレゼントをくれました、大切にしてたアルパカのぬいぐるみです。

これを見て私を思い出してね!って。

凄い嬉しかった!

RAINはしっかりあるから、あっちに行ってもちゃんと話ししよう。


それにしても、本当に盛城町に帰れるなんてこの前まで思ってなかったよ。

守君元気にしてるかな、こっちに来てから連絡とか全然取らなかったから、もしかしたら引っ越しちゃってるかな。


でも、約束があるから絶対に居るよね!

手元には約束の証もあるし。


お母さんと一緒に帰りたかったな




ー物語が始まる一日前ー


 駅から一人、身長の低い少女が出てくる。

服装は涼しげで白い麦わら帽子に水色のワンピースを着ている。


「うーん、久しぶり~」


 彼女は大きと深呼吸をして周りを見渡す。

 駅前ではあるが人気ひとけはあまりなく、建物よりも山々の自然が目立っている。

観光客が居ない時期はただの田舎である。


「ただいま、盛城町......」


 彼女は愛しそうに町々を見る。


「久々に故郷に戻ってきたんだから、少しぐらい寄り道しても罰は集らないよね!」


 そう言って少女は歩き始める。


「うーん、どこにしようかな......商店街に学校に盛城公園......うーん、悩むな~」


 少し悩んだ後彼女は近くのそば屋に入る。


「悩んでても仕方ないし、とりあえず食事を取りながら決めるとしましょう! おじさん、かけそば一つお願いします!」

「はいよ! 少し待ってな!」


 店のおじさんは元気な返事をして仕事に取り掛かった。

 店の中は風鈴があり落ち着いた雰囲気だ。


「はい! お待ち!」

「ありがとうございます」


 五分程度で注文したそばが木製のテーブルの上に置かれた。

彼女はその光景を確認すると笑顔を浮かべてお礼をする。


「ところでお嬢ちゃん、この辺じゃ見かけない顔だね。」


 おじさんは暇なのか、もしくは話すのが好きなのかさり気なく訪ねてきた、彼女はその言葉に笑顔で受け答えをする。


「はい、今日ここに引っ越して来たのでお目にかかるのは初めてですね。」


 彼女は礼儀正しく引っ越してきた事を軽く説明する。


「そうかいそうかい! そりゃ大変だったろう! ささ食べて食べて!」


 おじさんはうっかりしてたようで彼女に食べるように言う厨房に戻っていく。

その言葉に甘えて箸に手を伸ばし食べ始めた。


 ..........


「ご馳走様でした! 美味しかったです」


 彼女はそばを食べ終わると、満足したようでお決まりの言葉を言う。


「あいよ! ありがとね、また機会があったら来てね!」

「はい、またお腹が減ったら来ます!」


 外に出るなり次の場所に向かう。


「とりあえずお腹もいっぱいになったし、公園で故郷の景色でも満喫しますか......」


 普通の住宅街を歩く、一人最高でも四人ぐらいの人々が通り過ぎる。

都会ではこの五倍ぐらいは人が通り過ぎるが田舎ということを再認識させるように人と会わない。


「ほんと久しぶりの景色。少し前まではこれだけでも多いって思ったけ......」


 しばらくして目的地に付く。

盛城町で一番大きい公園で山のふもとにある。

 秋である今の時期は公園にあるロープウェイで山の上まで行ける。

登山コースもあるが、あくまで観光客とかは

綺麗な紅葉などを見に来る人ばかりなので、登山はあまりしない。


 他には草野球のできるグラウンドと。

基本的な遊具がある遊び場があるくらいで。

大きいと言ってふもとだけならそうでもない。


 彼女は遊び場まで来ると、青いベンチに座る。


「ここでよく、遊んでたっけ......」


 砂場で遊ぶ子供を眺めてから彼女は昔の事を思い出すように瞼を閉じる。


「これぐらいで、どうかな? おにいちゃん」


 小さなかわいい子が、男の子に砂山を見せる。


「うん、このぐらい大きければ大丈夫、沙季姉もこれでいいよね?」

「そうだね......わたしもいいと思う」


 髪の長いかわいい女の子が言う。


「よし! トンネルほり開始! オレはこっちからほるから夏はそっちからほって、それで沙季姉は山のうえをほって!」


 リーダーシップの男の子が支持を出しながら素早く行動に移した。


「わかったよ、おにいちゃん!」


 かわいい子もそれに負けないくらい張り切って掘り始める。


「えっ? どうして......うえなの......?」


 しかし、女の子の方は掘る意味が分からなかったのだろう、男の子に理由を聞く。


「もちろん、この山は火山だからだよ」

「......うーん、よく分かんないけど、ほればいいんだね」

「崩さないようにきをつけてね、おねぇちゃん」

「うん、きおつける」


 女の子は立って掘り始めた。

しかし、かわいい子の忠告もむなしく女の子はバランスを崩し山に倒れる。


「「ああ!」」


 男の子とかわいい子の声が重なる。


「うっ、また......やっちゃった......」


 女の子の目から涙が出てくる。


「ぐすっ......ご......ごめ......なさ......い......ぐすっ」


 泣き出した女の子を見て慌てる二人。


「だ、大丈夫だよ! また作ればいいんだし!」


 男の子はフォローする。


「でも......」


 女の子は治まるどころかさらに泣く。


「ボ、ボクがダメに作ったからつぶれただけだよ!」


 かわいい子もフォローする。


「でもぉ~......」

「また、作れば大丈夫だから......」

「そうだよ! だから......ね! おねぇちゃん!」


 二人が優しく慰める。


「......ぐす......うん......ひっく」


 ..........


 思い出から帰ってくる彼女。

どうやら少し眠って居たようだ。

 さっきまでいた子供の姿はもうなく、周りはすっかり夕日に包まれてベンチは紫に染まっていた......


「今の夢。懐かしいいな、あのあとまた転んでたっけ......」


 彼女は少し沈黙したあと、周りが暗くなってることに気が付く。


「あれ? もうこんな時間?」


 時間を見る彼女


「十七時? ……!! 大変! さすがに早く行かないと、お兄ちゃんに怒られる! ……!」



 慌てて走り出す彼女。

すれ違う人達。

 

住宅街は青く染まり、家の明かりが付く頃。

当たり前のことを繰り返す世界で彼女は走り、新たな一歩を踏み出す。


物語が始まる前の。小さな小さな里帰りの話。

今回はsecret episodeということで、メイン以外を描いてみました。


ある意味では、番外編みたいなもんですね。


それと、自分は日記を書いた事無いので。

前書きの日記はこんなんでいいのかなと少し苦戦しております。


あくまで、沙季ちゃんの気持ちで書かないとなので難しいです。



secret episodeはこの物語の秘密を描いたものなので、今後も良ければ楽しみにしていて下さい!



それでは、次回からもよろしくお願いします!

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