第九章 進路の悩み
三年生になって、進路の話が本格的になってきた。
時子ちゃんは文学部を目指すことを決めていた。陽菜ちゃんは体育大学かスポーツ系の専門学校。わたしは……まだ決めかねていた。
「歩未ちゃんは、どうするの?」
進路相談のあと、陽菜ちゃんが聞いてきた。
「美術系の大学か、写真の専門学校か……迷ってる」
「歩未さんなら、どっちでもやっていけると思います」
時子ちゃんが励ましてくれる。
「でも、親は大学に行ってほしいって言ってて」
「そっか……」
わたしの両親は、できれば普通の四年制大学に進学してほしいと思っていた。写真を続けることには反対していないけれど、将来のことを考えると不安だと。
「うちも親と揉めたよ。体操とかダンス系のスポーツインストラクターになりたいって言ったら、もっと安定した職業にしなさい。スポーツに関わるなら、体育の先生の方がいい。公務員だし、将来も安心でしょうって言われて。でも、諦めなかった」
「どうやって説得したの?」
「本気だって示した。体育の先生が嫌なんじゃない。でも、うちがなりたいのはそれじゃないの。決まった授業を教えるだけじゃなくて、もっと近い距離で支えたいの。できなかったことができるようになる瞬間を、一番そばで一緒に喜びたい。安定してるかどうかより、続けたいって思えるかどうかで選びたい。逃げじゃない。本気なんだよ。ちゃんと勉強もするし、資格も取る。途中で投げ出したりしないって主張した」
「すごい……」
「歩未ちゃんも、本気なら親はわかってくれるよ」
その言葉に、勇気が湧いてきた。
家に帰って、両親と話した。写真の道に進みたいこと、それがわたしの夢だということ。
「お父さんたちは、歩未の幸せを願ってるだけだよ」
父が言った。
「でも、写真だけで食べていくのは難しいんじゃないかって心配で」
母も続ける。
「わかってる。でも、やってみないとわからない。挑戦させてほしい」
両親は顔を見合わせた。
「じゃあ、条件がある」
「何?」
「四年制大学に行きなさい。芸術系の大学でいいから。そこで写真も学べるし、他のことも学べる」
「それなら……いい?」
「ああ。ただし、本気で取り組むこと。中途半端はダメだよ」
「ありがとう!」
両親の理解が得られて、心が軽くなった。
芸術系の大学を調べて、オープンキャンパスに参加した。陽菜ちゃんと時子ちゃんも一緒に来てくれた。
「すごい、こんな施設があるんだ」
暗室、スタジオ、ギャラリー。写真を本格的に学べる環境がそこにはあった。
「歩未さんに合ってますね」
時子ちゃんが微笑む。
「ここ、いいね!」
陽菜ちゃんも賛成してくれた。
「ここで学びたい」
わたしの決意が固まった。
その日から、受験勉強に本腰を入れた。写真の実技試験もあるから、作品づくりも並行して進めた。
忙しい日々の中でも、二人とは必ず連絡を取り合った。励まし合い、支え合った。
「頑張ろうね」
「三人とも、夢を叶えよう」
「絶対に」




