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第4章 風が二人を結ぶ時 ①王城からの呼び出し
再会の夜から三日後。
王都は不穏なざわめきに包まれていた。
――王子が、庶民の娘に会っているらしい。
――雑貨屋の娘だとか。
――王が激怒しているらしいぞ。
そんな噂が、風のように町を駆け抜けていた。
ミナは朝の店を開けながら、胸の奥がざわついていた。
昨夜、エリアスが残していった言葉が耳から離れない。
> 「私は君を、城へ招きたい」
――それは夢のような誘いだった。
けれど今、その夢は現実に変わろうとしていた。
昼過ぎ。
リオが息を切らせて店に飛び込んできた。
「ミナ! 大変だ!」
「え……?」
「王城からの使いが来てる! “雑貨屋リリィ堂の娘、ミナを王宮へ召す”って!」
頭の中が真っ白になった。
リオの言葉が遠く聞こえる。
まるで自分だけが別の世界に取り残されたように。
外を見れば、王城からの馬車が停まっていた。
衛兵が二人、静かに立っている。
「……行かなくちゃ」
ミナは小さく呟いた。




