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地味女、土魔法で我道を拓く  作者: 泉井 とざま


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第1話:土魔法使いの少女の静かな門出

数多の物語より出会えた、めぐり合わせに感謝を。

レビューやフォローお待ちしてます。

 一人の少女が冒険者ギルドの門をくぐった。

多くの人が乱暴に使った草臥れたドア。

木目は擦り切れ、軋む音は誰にも気にされない。

けれど、それは長い間、使いこまれてきた証と言えるかもしれない。


 朝の終わり――勤勉な者は仕事に出かけ、そうでない者は惰眠を貪る頃。

人が一番少ない時間と聞いてきた。

私は重いドアをゆっくりと押し、人目から逃れるようにひっそりと中へと入った。

誰の視線も向いていないことがわかると、ホッと息をついた。

折り目のついた地図を丁寧にカバンへしまい、荷物の紐を結び直し、ギルドの受付へ目をやる。


「……よし」

小さくつぶやいて、受付へと歩みを進める。


 灰茶色の髪は、光の加減で土埃のようにも見える。

その髪は肩口で切りそろえられているものの、前髪は目元まで伸びており、表情は前髪の陰に隠れている。

しかし、小さな体をさらに丸めて歩く様子からは、緊張と恐怖が歩き方に滲んでいたのかも。

同時に、これから待ち受ける冒険者の世界へ想いを馳せると、すこしだけ胸があたたかくなった気がした。


 きょろきょろと周りを見ながらも、ゆっくりとした私の歩みは止まらなかった。

酒と脂が染み込んだ、わずかに光沢を返すいくつものテーブル。

座り心地よりも支えることを重視した武骨なイス。

掲示板として使われているであろう壁の一角に張られている沢山の小さな紙。

あれが、依頼票…なのかな?

話に聞いた以上の野性味を感じさせる内装に、隠れた瞳に光が宿る。


 彼女の目標は、冒険者生活を楽しむこと。

もともと石工職人の実家には兄が二人いて、後を継ぐ必要もなかった。

さらに、私の小さな体では工房の作業は危険で、家業を手伝うこともあまりできない。

けれど、私には土魔法の才能があったらしい。


 家族の応援もあって、魔法学校に入学し、無事に卒業した。

魔法学校は、文字通り魔法の知識と使い方を学ぶ場であり、

三国共同出資による「冒険者大学校」には劣るものの、

一端の魔法使いになるには十分な教育が施されている。


 学校の先輩には、孤児出身なのにもかかわらず優秀な成績を残して、

冒険者として活躍している人だっている。

私はそんな先輩に憧れて、冒険者としてさらに魔法の腕を磨くことを決めた。

そして、冒険で見た様々な景色や経験を家族に持ち帰り、話すこともまた、私の目標だった。


 受付の男の人は、人当たりのよさそうな笑みを浮かべて、明るく声をかけてくる。

笑みには見定めるような視線が含まれるけど、私のローブが魔法学校卒業者の物と知っているのか、

侮りは……少なくとも、今のところ感じられない。


「あの……私、サナって言います。魔法使いで……その、冒険者になりたくて……」

一息吸った後に、小さく、しかしはっきりと私は声をあげた。


 この時の私は、まだ知らなかった。

自分の魔法が、誰の役にも立たないってこと。

いや、正確には――邪魔にならない程度にしか使えないってことを。

ギルドを訪れた新米冒険者の一幕。

初々しさとドキドキ……投稿を始めた作者と同じですね。


☆や感想を頂けましたら、これ幸い。

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