0dBの君へ
春の午後、突然の雨。
傘も持たず立ち尽くす詩音に、ひとりの青年がそっと傘を差し出した。
「入んなよ、びしょ濡れになんぞ」
生まれつき、音のない世界に生きる少女。
音に生きる青年。
数日後、街角のカフェで再会。
声ではなく、スマホの文字で交わす会話。
──音楽は、どうやって感じているの?
振動。景色。表情。
音はなくても、感情で感じることができる。
その答えが、彼の胸にひとつの旋律を生んだ。
「君にだけ届く音を作ってみたい」
夕暮れのスクランブル交差点。
巨大スクリーンに映し出されたのは──彼だった。
耳には届かない歌声。
それでも、心は確かに震えていた。
やがて彼は、無音の世界に自ら身を沈める。
君の世界に、どんな音が鳴っているのかを知るために。
名前も知らなかったふたりの距離は、
静かに、しかし確実に近づいていく。
0dBから始まる、静寂と旋律の物語。
傘も持たず立ち尽くす詩音に、ひとりの青年がそっと傘を差し出した。
「入んなよ、びしょ濡れになんぞ」
生まれつき、音のない世界に生きる少女。
音に生きる青年。
数日後、街角のカフェで再会。
声ではなく、スマホの文字で交わす会話。
──音楽は、どうやって感じているの?
振動。景色。表情。
音はなくても、感情で感じることができる。
その答えが、彼の胸にひとつの旋律を生んだ。
「君にだけ届く音を作ってみたい」
夕暮れのスクランブル交差点。
巨大スクリーンに映し出されたのは──彼だった。
耳には届かない歌声。
それでも、心は確かに震えていた。
やがて彼は、無音の世界に自ら身を沈める。
君の世界に、どんな音が鳴っているのかを知るために。
名前も知らなかったふたりの距離は、
静かに、しかし確実に近づいていく。
0dBから始まる、静寂と旋律の物語。
【作品に関するご案内】
2025/08/01 21:00
(改)
1dB ◆ 0dBの君へ ―音のない世界で、君と出会った―
2025/08/01 21:00
(改)
2dB ◆ 共鳴のはじまり
2025/08/02 21:00
(改)
3dB ◆ まだ知らない君へ
2025/08/08 21:00
(改)
4dB ◆ 君の名前が、音になった
2025/08/09 21:00
(改)
5dB ◆ 君に届ける、最初の一音
2025/08/15 21:00
(改)
6dB ◆ その響きに、触れたくて
2025/08/16 21:00
(改)
7dB ◆ その音は、沈黙を越えて
2025/08/22 21:00
(改)
8dB ◆ 君に音が、届く日まで
2025/08/23 21:00
(改)