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隣の人は青い  作者: EVE
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新学期


誰しもが一度は自分以外の誰かに憧れた事はあるだろう。

その対象は人それぞれだと思う。 

スポーツ選手、芸能人、お金持ちなど、一度はそういった人達に憧れ自分もそうなれると信じて努力をするだろう。

しかし、みんな高校生位になると気づき始める。 

自分はそうはなれないと。


自分もそれに気づき始めた人間の1人だ。そして、約1年後には大学受験を控えた高校3年生。


そんな自分にとっての憧れ対象は、勉強ができる人やモテる人だ。

憧れと言いつつも、その感情の中には少なからず嫉妬や妬みの感情も含まれているのを否定できない。


そんな自分はと言うと、多分中途半端な人間だと思う。

中学の時には英語と数学が得意だったが、学年で1位を取ったことがある訳でもない。

中3の時には初めて彼女ができたが、デートする事も無く自然消滅した。

そして、今日に至るまでの高校生活はありきたりの物だと思う。

基本は男友達と過ごし、勉強もしつつたまにはハメを外す。


恵まれてるかもしれない、しかし人によってはつまらない人生と評価するかもしれない。

そんな人生を昨日まで歩んできた。



そして今日から、新学期が始まった。



今日から新学期ではあが、いつもと変わらない朝だ。

1回目のアラームでは起きることができず、2回目のアラームでようやくベッドから出る事が出来た。

スマホでSNSをチェックしながら2階の自室から1階のリビングへと向かう。

今日から新学期だからなのか友人達の投稿が朝から多い気もするが、これといって面白い投稿があるわけではなかった。

「おはよう」 リビングに入ると同時に母さんに言うと、そのまま朝食が置いてある席に着いた。

「おはよう。仕事に行くから戸締りだけよろしくね。」そう言うと母さんは仕事へと向かった。

父さんは朝早くから仕事に向かってしまうため、ギリギリまで寝ている自分と会う事はない。

これが我が家にとっての普通である。

行儀が悪いのを知りつつも、家に親は居ないのでスマホを見ながら朝食を食べる。

溜まっている通知を1つ1つ消化して行く。

新学期という事もあり、大抵内容は同じだ

今日から新学期頑張ろう。 受験嫌だな。などである。

高2の段階で文理選択し、卒業までのクラスが決まってしまうので3年に上がったこのタイミングでクラス替えが無い。

ちなみに自分は理系選択だ。理系選択する人は少なく、1クラス28人でクラス構成は男子20人女子8人だ。

そのせいなのか、進級した事を実感しにくい気がする。

そんな事を考えているうちに自分も家を出る時間が来てしまった。



駅まで自転車で向かい、電車で1駅隣に移動し、駅からは徒歩5分くらい歩けば高校へと到着だ。

今日も同じルートで高校へと向かう。

電車を降り改札に向かっていると、後ろから声を掛けられた。

「よっ! 久しぶり」声を掛けてきたのは同じクラスのナオキだった。

「一昨日、ラーメン一緒に行ったばかりだろ」俺の返事に対して、ナオキは笑っていた。

「進級してもクラス替えないし、せめて可愛い転校生とか来ないかなー」

「志望校ちゃんと決めた?」など、ふざけた内容を話しつつも時折、現実的な内容の会話を繰り返しつつ高校へと向かった。

ナオキを先頭に俺達は教室へと入った。

まだ数人はいなかったがクラスにはほとんどの生徒がすでにいた。

そんな久しぶな気もしないが他の友人たちと挨拶を交わすし、その流れで予鈴がなるなでの間、春休みの思い出などを話した。

予鈴が鳴ると同時に担任が教室に入って来た。

それと同時に俺たちも自分の席へと帰っていく。

「今学期も私が担任だからよろしく。担任も変わらず、クラスメンバーも変わらずだけども

いよいよ今年は受験生だから気持ちを引き締めて頑張っていきましょう。」

そんな担任の言葉に、みんな少しは気が引き締まっただろうか。

少なくとも自分は焦りを感じた気がした。


担任の正田(しょうだ)先生は3年後位には定年を迎えるベテラン教師だ。

声を荒げる事はなく温厚な性格だが、言葉には重みと説得力が感じられる。



担任のそんな発言もあってなのか、昼休みには受験の話で持ちきりとなった。


「ナオキは進路決めた?」返って来る返答はある程度予想できていたが俺から聞いた。

「俺はもちろん医学部だよ。どこの大学かはまだ考え中だけど」ナオキは即答だった。

「やっぱりそうだよな」

ナオキの家が医者家系なのは高1の時から知っていた。

「ユウはどうすんの?」

「それなー、、。学部関係なく、とりあえず偏差値高い大学とか?」

自分でもまだハッキリとした答えが出ていない。

「アスカはどうすんの?」咄嗟に俺は隣にいたアスカに話題をパスした。

「化学好きだし、そっち系に行ければ理想かなぁ。」

ここまで経過したところで、話が盛り上がらないことに気づいたナオキが急に話題を変えた。

「ズバリ!!皆さんは春休み中に女子と何かイベントはありましたかね?」

「「ない」」 みんなが声を揃えて言った。

そもそもだが、この高校は全国的には無名だが地元では進学校と言われてる。

そのせいなのか、恋愛経験ある人は少数派だ。しかも理系となれば女子の割合も低く、お出会いそのものがない。

「大学行ったら遊ぶ」最早これがみんなの口癖となっている。


真面目な話から笑い話になったところで昼休みは終わりを迎えた。


その日の放課後、いつもなら学校に残って勉強してから帰宅するのだが今日は気分が乗らない。

「今日、先に帰るわ」 ナオキ達にそう伝え、1人で駅へと向かった。


この時間帯で帰路に着く生徒は少ない。

後輩達は部活に打ち込み、部活を引退した3年生は受験のために自習学習している。

自分も普段なら自習しているのだが今日は違う。


お昼休みにした進路の話題のせいだろうか?

自分だけが、自分の将来の事を何も決められていないような気がして取り残されている様な気がしたのだ。


ナオキの事が羨ましい気もした。

祖父も父も医者のナオキの進路が医学部なのは小さい時からの既定路線なのだろう。

しかも、ナオキは本当に医者になりたいらしく勉強を苦にしていない。

さらにナオキは良いやつだ。

誰にでも平等に接しているし、損な役回りですら嫌な顔せずやる。


入学当初、ナオキの事を金持ちのボンボンだと勝手に決めつけていた自分をぶん殴りたくなる。


ナオキ以外の友達もみんな、自分には持ってない何かを1つは持っている気がした。

「俺って何になりたいんだろ」そう考えたところで答えは出ないのは分かっているが、この自問自答を何回繰り返したか分からない。


いつもより早く帰宅したから家にはまだ誰もいなかった。

リビングに行く事もなく、自分の部屋へと直行し、ベッドへとダイブした。

学校を出てからずっとスマホを見ていなかった事を思い出し、急いでスマホを取り出した。


同じクラスの仲良い男友達5人で構成されてるグループLINEにある連絡が来ていた。

「今度、予定合わせて大学見に行かない?」 提案者はユウヤだった。


5人の中では真面目なキャラであるユウヤらしい提案だなと思い、実際にキャンパスを見れば受験モチベが上がることに期待をしつつ賛成した。


学校主体で、2年生の時にクラスのみんなんとオープンキャンパスに参加はした事あるのだが、その時はあまり自分達の自由がきかなかったので不完全燃焼で終わってしまった。


それもあり、みんな乗り気なのだろう。

その後も、日程や見学に行く大学の候補についてやり取りが続いていたが睡魔に襲われたので一旦自分はスマホを置く事にした。




バチッ!!

「いっっ」声にならない声を出し、いきなり後ろから頭を叩かれる衝撃で目が覚めた。


叩かれた箇所を手で庇い、痛みに耐えながら状況を確認する。

目の前の机には数学の参考書が開いて置いてあるのが分かった。そして自分は見た事もない部屋の勉強机に座っているようだ。


「ちゃんと私が言った事理解してるのか?!」さっき自分を叩いたであろう人間が声を荒げ、更に1発平手打ちが飛んできた。


「ゔっ、、」 突然の痛みに必死に耐える。

咄嗟に頭はガードしたが、さっきと違い今度は右の肩甲骨あたりに当たってしまった。


声色からして自分の後ろに立っているのが、男の人なのは分かる。

さらに暴力を振るわれる恐怖から、後ろを振り向く事もできずにいた。

「やめてください」必死に絞り出した言葉はその男に聞こえていたかは最早分からない。


「私に口答えするのか?なあぁ!」さらに激昂した男が、拳を振り上げるのは容易に予想できた。


自分にできるのは机に突っ伏し頭も守る事だけだと、その瞬間に理解した。



「夕飯できたわよー」


扉の向こうから聞こえる母も声で目が覚めた。

「わ、わかった。」

母の声で夢から覚め、咄嗟に返事はしたもののこの状況に理解が追いつかない。


夢というにはあまりにもリアルすぎた。

叩かれた場所に痣がないか咄嗟に確認したが、その形跡はなかった。

スマホをで時間を確認するも、帰宅した時から約3時間経過していただけだった。


「まだ食べないのー?」母から催促で再度現実に戻される。


「お待たせー。あ、お帰り」すでに父も帰宅していた。


「ただいま。今日から新学期だったのか」


「うん。」


「受験どうするか少しは考えてるのか?」

 基本的に放任主義の両親だが、やはり大学受験となると少しは気になるようだ。


「なんとなくは。今度、模試もあるしその結果次第で具体的に決めるよ」


「そうか。」

そう言うと、父は缶ビールを飲み始めた。


父は基本、自分がやりたい事に口を出してこない。

「自分の人生を生きろ。ただ警察のお世話にはなるな」そう言われて育てられた。


「何かあったら母さんに言え。その方が言いやすいだろ」

 ボソッと父が言った。


「うん。わかった。」 

 父とこれまで進路の話などした事なったからか少し恥ずかしい気もしたが、少し嬉しい気もした。


 「今日はカレーよ」

 母が運んできてくれたカレーから良い匂いがする。


 「いただきます」

 悪夢を見たせいだろうか。小さい頃からの食べ慣れた味で安心した。

 

その後、父の職場での愚痴で会話が盛り上がり、家族3人で楽しい夕飯の時間が過ぎた。



 夕飯も食べ終わり部屋に戻る途中、家族揃って夕飯を食べるのも久しぶりな気がしたな。と思った。

普段は放課後も自習したり、友達と寄り道してるので夕飯のタイミングが父と被る事も減ってきていたのだ。


そんな事を思いつつも、階段を一段登るたびにさっきの夢の事が脳内をどんどんと侵食してきた。

過去に悪夢を見た事なんて何度もある。けど今回のはいつものと違うという確信がある。

夢なんて内容に限らず、時間経過と共にその内容なんて忘れていくものだ。

しかし、さっきの夢の内容はいまだにハッキリとおb覚えている。

男の顔をは見えなかったが、その男の声。そして何よりもその男による暴力の痛みは夢とはおもえなかった。

夢から覚めた時、体に痣は無かったものの、痛みだけは残ってる気さえした。

思い出すだけで、心拍数が上がるのが分かる。 


いつもと違う悪夢なのは間違い無いが、受験によるストレスを少なからず感じているのかな?とも思った。

だからこそ、勉強していない事に対して暴力を振るわれていた悪夢なら納得できる。

結論、受験は憂鬱。 受験生なら誰しもが思うであろう結論が出たところで、これ以上は考えるのをやめた。

部屋に戻りスマホをチェックすると、大学見学の詳細についてある程度話が進んでいた。

医学部もありながら、他の理系の学部もある程度揃っている私立の総合大学。

もう1つは何故か私立の有名大学、しかも文系のキャンパスに行く事になりそうだった。

まあ、後者の大学に関しては華やかな文系のキャンパスライフを見ておきたいおいった所が本心だろう。

日程を決めるにはもう少し時間が掛かりそうだったので、とりあえず自分が行ける日を送り、スマホの画面を消した。

その後、就寝する頃には悪夢の事などほとんど思い出す事なく1日の終わりを迎えた。













 







読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字があったらごめんなさい

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