普通に、一時間目から寝る奴
朝っぱらから、数学の授業。
普通にダルい。
「ふぁあーっ」
あまりに退屈で、眠気が襲ってくる。まだ一時間目というのに、既に限界だった。
「ま、後ろの席だしバレないか」
幸い、前の席の飯沼は大柄な体格だ。まず教壇から俺の姿など見えるはずがない。
でも念には念を入れておくのが、鉄則だろう。
「おい..飯沼ぁ....」
声を潜めて、前の飯沼の背中を叩く。もちろん、細心の注意を払っての行動だ。
もしかしたら、生真面目な奴なんかが告げ口するかもしれない。俺は用心深い男なのだ。
「..なんだぁよ、阿莉之?」
「あ、あのな。今から俺寝るから....危なそうになったら起こしてくれない?」
「呆れた..お前いい度胸してんなぁ....」
「まぁね」
「誉め言葉じゃないからな」
若干飯沼に引かれながらも、俺は無事任務を遂行した。これで安心して寝ることができる。
「じゃ、お休みっと」
誰にともなく、そう呟いてみた。